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Forgotten Story ~ 幻想奇忘譚  作者: 生涯迷い人
来るは幻想郷 ー異変の序章ー
29/45

#1 紅魔の血

内外を紅に支配された建物、紅魔館


静まりかえったそのエントランスホールの床が突如として光り出す


床を光の線が走り、図柄を描き始める


それがすぐに魔法陣の形を成すと、そのすぐ上の空間に光が収束し、人の形を作りだした


やがて光が収まると、そこには1人の少女が立っていた


「これは・・・成功か?」


その少女は辺りを見回すと、ハンカチを手に取り


「危ないな、銀製のナイフを投げるなんて」


ハンカチごしに何処からか投擲されたナイフを掴んでいた


「あら、突如として現れた侵入者を見逃せとでも言うつもりかしら?」


「・・・侵入者?」


「ええ、客が来るなんて聞いてないし

その様子だと門を通ったわけでもなさそうだから・・・排除させて貰うわ」


瞬間、何もなかった空間に多数のナイフが出現し、片方の少女めがけて飛んでいく


「ああ、面倒くさいな、もうッ!」


途端にその少女の周りに霧のようなものが出現し、その霧に触れたナイフは跡形もなく消え去った


「あら、珍しい能力ね」


その霧が晴れ、少女が姿を現すとナイフを投擲した少女は息を呑んだ


「驚いた?」


そう言う少女は先程とは違い、背中から黒々とした羽を生やし、口からは鋭く尖った牙を剥き出しにしていた


何よりも、先程出現したばかりの漆黒の瞳とは違う、鮮血のような赤の瞳と、縦に細長くすぼめられた瞳孔が白い肌によって際立っていた


「どうしたの、咲夜」


「・・・ッ! お嬢様、たった今、侵入者を発見し、排除を試みたのですが」


「予想外の事態に動転したって顔に書いてあるわ」


「ええ、まさかお嬢様と同族とは」


「一応、私の知り合いでもないのだけれど

・・・興味が湧いた、名は?」


「私はジャスミン・ルーナ・ノーレッジ」


「そう、うちの魔女と同姓ね

知り合い?」


「いや、直接顔を合わせたことはないし、血縁でもない」


「・・・・・

ついてきなさい」


そう言うと、一番最後に現れた少女は特に気にもせず、ジャスミンに背を向けた


「お嬢様、それで良いのですか?」


「敵意が感じられんのだから、構わない・・・そうだろう?」


少女が首だけジャスミンに向けて言う


「・・・ああ」


「そうそう、自己紹介がまだだったわね

私はレミリア・スカーレット、この紅魔館の主よ」


「そっちのメイドは?」


「咲夜、自己紹介」


「私は十六夜咲夜、この紅魔館のメイド達を取り仕切っております」


「とりあえず急だけど、応接間でいいかしら」


そう言うと、レミリアは再び背を向けて歩き出した


暫くすると、1つの扉の前で立ち止まる


最後に名乗った少女・・・咲夜が扉を開け、中に案内する


2人が席に着くのを確認すると


「では、失礼します」


とだけ言い残し、咲夜が居なくなった


「じゃあ、話を聞かせて貰おうかしら

まず、名前・・・はもう訊いたわね」


そうレミリアが言った直後、ティーカップとティーポットの載ったトレイを持った咲夜が現れ、2人の前に差し出す


すると、咲夜はレミリアに耳打ちをし

「ありがとう」と短く返した


「じゃあ、まず

貴女は門を通ることなく、直接エントランスに入った・・・と言うことは、この辺りの者ではないわね」


「ああ、異世界から術で飛んできた」


「となると、ここに着いたのは偶然・・には見えないわね」


「ああ、当初からここが目的地だった

尤も、予想外の接客方法だったが」


「事前予告も無しに入ってきたらそうなっても仕方ないわ」


「あれ、私の名前に聞き覚えは?」


「ないわ

うちの魔女と同姓なら尚更忘れるはずがないし」


「・・・?」


「その話はおいといて

どういう所から来たのか、あと、その経緯」


「そうだな、まずは・・・」


そして私・・・ジャスミンはこれまでのことを掻い摘んで話した


「そう、1300年も」


レミリアは特に同情するような表情をしたわけでもなかったが


「それで・・・貴女はどうしたいの?」


「ここの外のことは分からんし、暫く泊めて欲しい」


「成る程

どのみちまだ興味はあるし、部屋を用意させるわ・・・咲夜」


「かしこまりました」


そう言って、先程まで存在感を消していた少女・・・咲夜が居なくなった


「さて、泊める、とは言ったけど一時的に客人として泊めるのは惜しいと私の勘が告げているわ

だから、貴女は今からスカーレットの姓を名乗りなさい」


「いきなりそれは無理があるわ」


気が付くと、扉が開き、そこには紫の服を身に纏った少女が立っていた


「パチェ、まだ呼んでないのだけれど」


「わざわざ咲夜が呼びに来てくれたわ

そうでなくても建物の中であれだけの魔法が行使されて気付かない筈がないでしょう」


「と言うことは、そっちがノーレッジさんか」


「物凄く慣れない呼ばれ方ね

私はパチュリー・ノーレッジ、見ての通り魔女よ」


「・・・レミィ、いきなりだけど、いくら同族あるいはそれに近いものとはいえ、自分の姓をそのままあげるのもどうかと思うわ

で、私から提案があるのだけれど」


「ちょっと、私は置いてきぼり!?」


先程までの威厳は何処へ行ったのか、子供っぽく立ち上がって抗議するレミリア


「いいでしょ、レミィの案を完全に否定する気は無いのだし

それに、客人の前でその態度はどうかと思うわ」


「うっ・・・

と、とりあえず、パチェの案は?」


「そうね、確か貴女、ミドルネームはルーナだったわね

少し言葉は変わるけれど、それをスカーレットの姓に付ければ解決するんじゃないかしら?」


「つまり、スカーレットにルーナを・・・?」


「いくら何でもそのままでは語感が悪いから、『ジャスミン・スカーレットムーン』でどうかしら」


「紅月(スカーレットムーン)か・・・悪くないな」


「なら決まりね

じゃあ、私は失礼させて貰うわ」


パチュリーが退出し、入れ替わるように咲夜が入室した


「お嬢様、客室の準備が整いました」


「そう、じゃあ案内してあげて

それと、それの名前、『ジャスミン・スカーレットムーン』になったから」


「えっ・・・はっ、はい」



「・・・さて、これから面白くなりそうね

これのこともあるし」


咲夜とジャスミンの居なくなった部屋で、レミリアは紙切れを取り出しながら一人ごちた


紙切れにはいくらか文字が書かれていたが、中でも特に際立っている文字があった


「紅色の幻想郷」・・・と

漸く幻想郷編に入れました

・・・まあ、筆者の怠惰と発想力の悪さが原因なんですが


前々章は酷い文章だったし、前章も終わり方が・・・


人の文見てこれは酷いって思っても、自分がそれを上回れるかって訊かれると微妙ですよね

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