Scene17 東方の風 ~ Japanese fairyland and eastern dream.
目が覚めてから1ヶ月、漸く私は退院することになった
それまで、寝続けていたために一部の検査が出来なかったのと、寝たきりだったために鈍った身体を復調させるのに思ったより時間がかかったのだ
一応毒や呪術の類は疑われていたものの、それ以上訊かれなかったという事はジャスミンも小無も黙ってくれていたのだろう
それから殆ど間をおかずに表彰式が行われた
ジャスミン、小無も同席していたが、特殊能力や原初の魔導書については言及されなかったし、言及しなかった
そして、久しぶりに学校に行くと、幾人からは心配されていたようだが、あまり気にしていない者も居た
というか、後者の方が大多数だったのだが
学校にも既に日常が戻っており、やはり数人から戦闘に関して訊かれたが、知らぬ存ぜぬを貫き通すと、半日もしないうちに収まった
学校が終わり、家に戻るとまだ誰もいないようだ
自室で原初の魔導書を呼び出す
『非常時でないのに儂を呼ぶとは何事ぞ』
「貴方って確かこの世界で唯一の禁術が記されている魔導書なんだよね」
『如何にも
じゃが、それがどうしたんじゃ?』
「次元を渡る魔術もあるの?」
『あるにはある、が、膨大な魔力が必要ぞ・・・と、汝には関係のない話であったか
加えて、契約が切れる可能性もはらんでいる事も言っておかねばならんな』
「それが理だから・・・ね?」
『如何にも』
「ありがとう、訊きたかったのはそれだけ」
そう言うと、原初の魔導書はスゥーッと消えた
とりあえず、前に聞いた『幻想郷』という所に行くためには次元を渡る必要があるようだ
そして、あの時の2人の表情を見た限りでは、あっちに永住する事になるのだろう
翌日、学校に行くと、ジャスミンも小無も居なかった
先生に話を聞くと、『既に転校届けが出ている』との返答
その日は大人しく過ごし、帰りにジャスミンの家に向かうと、まだ家に居たようだ
「ああ、アリスか
うちに来たと言うことは、返答しにきたんだな?」
「うん、私も行く
けど、先に片付けなきゃならない事があるから先に向かってて」
「いいのか?
1人で向かおうとすると膨大な魔力を消費するし、安全な所に確実に到着できるとは限らない」
「それでもいい」
「なら、決まりだな
先に幻想郷で待ってるぞ」
そんな短いやり取りの後、家に向かう
今日は既に両親共に帰ってきていたため、2人に話をした
「そうか、やっぱり向かうんだな」
「うん、お父さんとお母さんには悪いことをすると思う」
「いいのよ、貴女が元気でいてくれるなら不満はないわ
それなら、学校に届け出を出さないとね」
「ありがとう」
「気にしないで
それと、明日は届け出を出しに行くだけだから、帰ってきたら準備を始めなさい
向こうで何があっても困らないように」
「分かった、おやすみなさい」
準備・・・と言ってもそう多くはないだろう
向こう側に行くのに数日もかからなさそうだ
そう思いながら私は眠りについた
とりあえず魔法遣い編終了なので内容はさくっと
アリスが幻想郷に向かってくれないと意味が無くなりますからね
尤も、こんな長いのを書いた割に、まだ幻想郷編には入りません
当初、ここまでの話はこの二次小説に関係のない、筆者の妄想でした
なので、最初から理性を保った暴走と原初の魔導書を主人公が持つ前提で書いてます
途中でドンパチさせようと思ったのは、途中に別キャラこっそり登場させて、そのキャラクターを主人公にしたオリジナルのスピンオフ作品を書こうとしたから
・・・自己顕示欲の強いボス役のせいで、あっさり頓挫しましたけれど
サブタイトルの「東方」ですが、これは東方projectの略ではなく、西洋から見た東洋、それも日本の事を指しています
本来は日本も含めて極東と呼ばれますが、語感的に東方の方が合ってるかな、と思いましたのでこうなりました




