Scene11-12A 生と死の狭間で
-貴女も1人なの?
-じゃあさ、友達になってくれない?
-名前? ジャスミン、ジャスミン・ルーナ・ノーレッジ
-そう、アリスって言うの
-え、魔法があんまり得意じゃない?
-なら私が教えてあげる
-訓練すれば多少魔力で劣っても問題ないよ
ああ、これは記憶だ
そういえば前に走馬灯という言葉を聞いたことがある
誰に教えて貰ったかはもう覚えてない
気がつくと、辺り一面、何もない場所にいた
自分以外は真っ白で、果てが見えない
そういえばここにくる直前、私は後ろから刺されたんだ
そうか、私は死んだのか
『違う』
「誰?」
『ここは汝の精神世界』
「精神世界・・・?」
『そのまま死んで貰っても構わんが、それでは我の存在意義がなくなる』
「あなたは誰?」
『覚えておらんのか・・・まあ、当然じゃな』
『儂自身が汝の記憶に封印を掛けた』
「記憶を封印?」
『如何にも
尤も、汝がその肉体に宿る前の記憶じゃがな』
「一体なにを言っているのかさっぱり・・・」
『うむ
さて、汝は知っておるか?
最高の魔導書と呼ばれた儂を』
「魔導書?
あなたは魔導書なの?」
『ええい、埒が明かんぞ
良いか、儂は魔導書
尤も、魔導書で溢れかえった今日に於いては原初の魔導書と呼ぶ者の方が多いじゃろ』
「原初の魔導書・・・
もしかして、魔導書そのものが魔力と意識を持ち、書かれていない魔術はないとされる伝説の魔導書?」
『知っておるではないか
如何にも、儂がその伝説の魔導書じゃ』
「何でそんなものが私に?」
『儂も知らぬ
じゃが、気がついたときには汝と契約を結んでおったのでな
儂自身が乱用されぬよう、記憶に封印を掛けたのじゃ』
『そして、もう1つ、汝には思い出して貰わねばならん事がある
・・・汝、特殊能力は?』
「まだ発現してない」
『うむ、これも当然と言えば当然じゃな
よいか、特殊能力は発現していないのではない、汝が忘れているのじゃ』
「それもあなたが?」
『流石に違うぞ、儂ではない
それがその特殊能力の性質じゃ
汝の特殊能力の名は理性を保った暴走
5分の制限時間と、制限時間後の反動を代償に、汝の全ての身体能力と魔力を引き上げる特殊能力じゃ』
「そういえば、活性化の術なら聞いたことはあるけれど、あれは使用するのに膨大な魔力が必要で・・・」
『それはあくまでも特殊能力を模倣した術じゃ
術なら精々2~3倍が限界
じゃが、理性を保った暴走はそうではない
汝の状況に応じて自動で倍率が変わる
・・・尤も、倍率が上がればそれだけ反動も大きくなるんじゃがな』
「まさか、最悪反動で」
『そんなことはないから安心せい
どれだけ重くても精々数ヶ月眠り続ける程度じゃ
尤も、今の汝の状態ならほぼ最大出力じゃな』
「それだと5分しか無いのは・・・!」
『汝、儂は全ての身体能力が上がると言った筈ぞ
5分となるとかなり長く感じる筈じゃ
もう余り時間がない、儂の術を使うのじゃ』
私は頷いた後、頭に浮かんだ語句を口にした
「回復禁術・Heal by absorbed power」
前回タイトル、妖しき翼のままにするか、天狗が見ているにしようか悩みました
ただ、この状態だとサブタイトルで天狗が誰なのか分かってしまうので、それではつまらないだろうと思い、最初に考えついた方にしました
今回はScene11とScene12の間のアリス視点の話です
身体は動いてませんが、死んだとも書いてません
ここで幻想郷に飛ぶと思った貴方、甘いですよ?




