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Forgotten Story ~ 幻想奇忘譚  作者: 生涯迷い人
平々凡々な魔法使い
16/45

Scene12 妖しき翼

あれからずっと広範囲制圧タイプの術を放ち続けているが、撃ち漏らしたり中途半端に攻撃をされたものが増殖してキリがない


しかも、この騒ぎは周辺に潜伏していたのも呼び寄せてしまったようで、このままではいくら多量の魔力を以てしてもいずれ底を尽きる


何より問題なのは・・・足下に動かなくなっているアリスがいることだ


自分だけなら飛んで逃げることはできる・・・が、自分と大差ない体格の人間を抱えたままでは些か無理がある


そう考えつつ、一瞬アリスを見た瞬間、アリスの服の襟からネックレスが飛び出しているのが見えた


それだけなら目には付かず、注意を払うこともなかっただろう


問題は光っていることだった



(・・・そういえば、エーデンとかいうのが渡してたな)


そして、考えが及ぶのとネックレスが変化を起こしたのは、ほぼ同時だった


光るネックレスの飾りから一条の細い光が放たれ、中空に魔法陣が描かれる


(この魔法陣・・・まさか!!)


そして、その考えを肯定するかのように魔法陣から魔力が溢れ出し


・・・エーデンが現れた



「・・・は?」


「このネックレスを通して危機を察知して来たんですが・・・少し遅かったようですね」


「こんな時に何言ってるんだ! 今すぐアリスを連れていけないのか!」


「不可能ではありません・・・が、恐らくその必要もないでしょう」


「どういう意味だ! もう死にかけてるんだぞ!」


「ええ、見れば分かります

ですが、この程度で死ぬような人間、果たして連れて行く意味があるのでしょうか」


「連れて行く・・・? お前、まさか」


「恐らくその考えの通りですよ、ジャスミンさん

おっと、自己紹介がまだでしたね

エーデン・アルバ・イーリィ改め、龍田小無と申します」


そう言うと、エーデン・・・いや、小無は背中から黒々とした、カラスのような翼を出した


「最初に気付かれたかとは思いましたが、私も生憎人外でしてね

・・・そもそもこっち側の生物ですらないんですよ」


「それはそうだ

そんな羽を生やした人型なんざ、見たことがない」


「詳しい話は後にしましょう

機密の件も含めて、まずは目の前の敵を殲滅しなくては」


そう言うが早いが、小無は手元に風を集め始める

だが、今までと違い、魔力を全く感じないのはなぜだろうか


「そいつら、細胞ごと木端微塵にしないと復活するぞ!」


「何ですって、それは厄介な」


明らかな棒読みの反応をした後、振りかぶって投げるような動作をみせた


いや、投げるように見えた(・・・・・・・・・)のだ


直後、彼女の腕が指し示した範囲がまるで見えない重りがのしかかったかのように潰れた


「私の能力を使って風を一点に集めたんですよ

きっと力の動きが見えなかったから避けられなかったんでしょう」


「能力?

お前能力持ちなのか?」


「ええ、でもこっち側の世界の能力とは少し異なります

私の能力は『風を読む程度の能力』

副次作用として、今のように風を使うこともできます」


「程度・・・?」


「ええ、あっちの世界は基本的に人間も含め、殆どの種族が能力持ちです

そして、その能力は基本的に自己申告制で、必ず『~程度の能力』という形式になります」


「ええ、ですから・・・」

そう言うと、次は両腕に風を纏い、大きな動作を伴いながら正面で勢いよく手を合わせた


その動きに合わせるように異形の群が舞い上がり、正面で両側から押し潰された

一気に数が減ったと思ったのも束の間


「ありゃりゃ、援軍来てますよ」


「何でそんなに余裕なんだ!?」



「だって私、妖怪ですから」

漸くエーデンの本名発覚


・・・というかさっき考えました


名前考えるのが面倒で、先に偽名にさせてもらいました


因みに、龍田小無と書いて「たつたのこなし」と読みます


龍田は風神を祀る龍田大社から

名前は面倒だったのでズミの別名の1つ、コナシに敢えて小無の字を当てました

ちなみに知ってる方がいらっしゃるかもしれませんが、ズミの別名には「ヒメカイドウ」というのもあります


・・・ああ、血縁があるわけじゃありませんよ?

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