表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界で生きる少女  作者: あまね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/22

白き友を得て、旅は寂しからず

森に入り、川に沿って下りながら街に向かって歩く。

途中で休憩して昼ご飯を食べ、また出発する。

日が暮れてきた。

森の中は暗くなるのが早く、しかも肌寒い。

私は鞄から上着を取り出した。

「夜の森は冷えるからね。これを持ってお行き」

出発前日、メアリーおばあちゃんがそう言いながら、この厚い上着を渡してくれた。

ふぅ〜。

森の中って本当に寒いね〜。

でも、この上着のおかげで少しは暖かく過ごせそうだ。


周りが暗くなってきたので、初日の旅は川のそばに泊まることにした。

何時間も歩いたから疲れたし、お腹もペコペコだ。

歩く途中で採った果物を川で洗い、持ってきたお弁当や木の実と合わせて今日の晩ご飯にした。


森の夜は思った以上に恐ろしい。

虫の鳴き声があらゆる方向から聞こえて体が震え、狂ってしまいそうになる。

あぁ、おしっこが漏れそう……。

とりあえず目を閉じて何も見えないようにすれば、少しは恐怖を感じなくなるだろうと思った。

でも耳が敏感になって、余計な音が次々と耳に入ってくる。

い、今、誰かの話し声がしたかな……?

余計に怖くなり、私は必死に目を閉じて、畑のトマトを数えながら眠ろうとした。

……あぁ、友達が本当に欲しい。


翌日も、ひとり。

翌々日も、ひとり。

その次の日も、ひとり。

私はこの三日間まともにしゃべっていない。

「あっ、ラングだ!」

私は声を出してみた。


……あら。

三日喋らなくても、声が普通に出せるみたいだわ。

私は弓矢を取り出し、木の上にあるラングの枝を狙った。


——ピシッ!


ラングは地面に落ちた。

皮はぼこぼことした緑色で、中身は淡い黄色の丸い木の実だ。

皮は硬くて苦くて食べられないけれど、身は柔らかくて甘い。

私はさらに二個のラングを狙った。

手で皮を剥き、そのまま食べながら前へ進んだ。


日中の旅はなんだかんだで楽しい。


――だが。

夜になると。

「……ひくっ……おじいちゃん……さびしいよ……」

小さく泣きながら、頑張って眠りにつく。




そして五日目。


川を下って歩いていると、真っ白で大きな犬ちゃん二匹に出会った。

犬って普通、森の中にいるものなのだろうか……

と思いつつ近づくと、犬ちゃんたちは私に気が付いた。


「こんにちは。どうして君たちはここに?」

女の子の犬ちゃんが小さく唸った。

(タビ、ダ)

どうやらこの二匹の犬ちゃんはあちこちを旅しているらしい。

「旅?いいな~。私も一緒に行ってもいい?」

男の犬ちゃんが首を傾げた。

(……ニンゲンノコ)

「そうだよ~。人間の子だよ~。リーマというの。これから君たちはどこへ旅するの?

私はトレストという街に行くんだけど、一緒に行かない?」

犬ちゃんたちはしばらく迷っていた。

そして、警戒する様子もなく私に体をすり寄せてきた。

私はしゃがんで犬ちゃんたちをワシャワシャすると、犬ちゃんたちは私のほっぺにキスしたり、舐めたりした。

尻尾も激しく振っているので、一緒に来てくれる前向きな答えだと判断した。

私の名前がリーマだから、

男の子の犬ちゃんを「リオ」、

女の子の犬ちゃんを「リア」と名付けた。



最初の三日間は一人だったから、周りを観察する余裕なんてまったくなかった。

けれど、今はリオとリアも一緒だから、心に余裕ができた。

「うわっ!さすが森の奥だね!

珍しい植物がたくさん生えているじゃない!

ね、リオ!リア!わっはぁぁ!」

珍しいものを見つけると、その植物に飛びつき、鑑賞したり絵を描いたり、どこで見つけたか記録したりする。

そんな私は、森で植物を見つけるたびに絵を描く。

あまり先に進まない気もするけれど、リオとリアがいるから安心だ。

この子たちは私を守ってくれるし、夜の森のことや街のことも、もうあまり心配しなくていい気がする。

もはや、このまま森で暮らしてもいいんじゃないかな?

川のそばなら水の心配もないし、洗濯もできるし、料理も作れる。

道に迷った〜と言って村に戻っても、おじいちゃんに怒られないかもしれない。

どうしても街に行けと言うなら、今度こそおじいちゃんも連れて行こう。

おじいちゃんも一緒なら心強いし、やる気も出る。

うんうん、そうしよう!


リオとリアと一緒に行動することになってから、夜の一人泣きはなくなった。

「リオ、リア。おじいちゃん。お休み~」

リアを、ときどきリオを抱きつきながら、眠りにつく。

二匹がいてくれると、本当に心強い。



のんびり森を歩いていると、少し先にフォレストディアちゃんが二匹いるのを見つけた。


――ヒューッ!


口笛を吹いてフォレストディアちゃんを呼ぶ。

この口笛は、以前ニックお兄ちゃんが吹くのを見て、かっこいいなと思い、三か月かけて、やっとできるようになった。

「剣術も武術もこれぐらい頑張ってほしいんだが」

――おじいちゃんの呟きは、聞こえなかったことにした。

フォレストディアちゃんたちは私の口笛を聞くと振り向き、二匹とも歩いてきた。

「こんにちは。君たちはどこに行くの?夫婦かな?」

私がフォレストディアちゃんたちに話しかけると、二匹は頷き、私にすりすりしてきた。

可愛い〜。

——ゴローッ!

リオとリアが威嚇した。

フォレストディアちゃんたちは少し怖がり、逃げようとした。

「リオ、リア、やめて!フォレストディアちゃんたちをいじめないであげて」

私が注意すると、リオとリアはちゃんとやめてくれた。

この子たちは本当におとなしくていい子だ。

「もう大丈夫だから、怖がらなくていいよ。リオとリアはいい子だから、安心してね」

念のため、フォレストディアちゃんたちにリオとリアのことを紹介しておいた。

「私はトレストまで行くんだけど、一緒に行く?私とリオとリアだけだから寂しいの」

私がそう言うと、フォレストディアちゃんたちは何度も頷いた。

一緒に来てくれるみたいだ。

旅の仲間は四匹になった!


そんなこんなで、私一人と四匹は森の旅を続けた。

「うわっ!あそこにもある!すごっ!みんなこれ見て!」

こんなふうに飛び跳ねたり観察したりしていると、リオとリアの目がだんだん冷たくなった気がした。

……まあ、きっと気のせいだろう。

だってフォレストディアちゃんたちは相変わらず澄んだ瞳で、私を見守ってくれているのだから。

「あっ、これ虫除けの材料だよ。持っている分はそろそろなくなっちゃうから、ちょっと採るね。みんなちょっと待っていてね」

私は遊んだり、真面目に植物を採ったりしながら、そんな日々を過ごした。



そして、村を出発して十日目の夜。


私たちはご飯を食べ、体と髪を洗ってさっぱりし、

川の近くでリオ、リア、フォレストディアちゃんたち、そして他の小動物たちと一緒に寛いでいた。



……しかし。


……リオとリアが突然低く唸り始め、森の奥へ睨みつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ