↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「青年サン・ジェルマンと黄色いワンピースの雪女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編④)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/25

③ 説得する伯爵

「……時を旅するって、昨日に行ったり、明日に行ったりするって事?」

 訊き返す王妃。


「はい。まさにその通りです。なんなら、もっと遠くの未来でも、過去でも、お望みのままです。」

 ついつい、少し得意げに言ってしまう伯爵。まだまだ若いから仕方が無いのである。


「そんな夢みたいな話、にわかには信じられないわ。」

「ごもっともです。しかし、充分に発達した科学技術は、もはや魔法と、見分けがつかないのですよ。」

 ますます胸を張る伯爵。


「何か証拠を見せなさい。でも、体よくこの場から逃げられても、何だか癪に障るわ……そうね、この真夏に、この場で雪でも降らせる事が出来たら、貴方の事を信用してあげてもイイわよ?今ちょうどこの庭園に、雪景色が欲しいと思っていたところなの。」


 彼女はそう言うと、口角を片方だけ上げて、少しイジワルな顔で笑った。


 サン・ジェルマンは、正直、この無茶ぶりには困った。もちろん、降雪機は考案済みだ。しかしそれは、元の時空の屋敷内に保管してある。そこに戻る事は、一度この場から消える事を意味する。


 そんな事をすれば、間違い無く、彼女の信用は失われるだろう。それに、ポータブルタイムマシンで、あんな重い機械を運んだ実績が無い。出来るかどうか不明だ。どうする?


 その時、彼の耳元で小さく囁く声がした。

「私に任せて。アナタはただ、自信満々に、両腕を空に向かって、突き出せばイイのよ。」


 ソレは、先程の京子さんの声だった。どうやら姿は見えないが、すぐ近くに居るようだ。彼は、雪子の仲間だと言った彼女を信じ、言う通りにした。


「なあに、そのポーズは?降参するって事?それなら貴方、可愛らしいお顔をしているから、私専用の、奴隷にしてあげてもイイわよ?」

 王妃はそう言いながら笑っていたが、次の瞬間、その笑顔が引きつった。


 何故ならそれは、空から次々に、ひらひらと雪が舞い降りて来たからだった。やがて静かに雪は積もり始め、最終的には、テラスから見える20m四方程の面積が、すっかり雪景色になってしまったのである。


「……いかがでしょうか?」

 言いながら、サン・ジェルマン自身も驚いていた。


 すると、それまで美しい唇をポカンと開けて、雪景色に見惚れていた王妃が、突然、大声で笑い出した。もしもここが本殿内なら、はしたないと、陛下から大目玉を食らうところだ。しかし、ここは離宮。彼女が自由に振る舞ってもイイ場所なのだ。


 そして目に涙を浮かべる程の笑顔で、「ああ貴方、素敵ね。気に入ったわ。今日から私の客人として、このプチトリアノンに出入りする事を、許可してあげる。有り難く思いなさい。」と言ったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。