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「青年サン・ジェルマンと黄色いワンピースの雪女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編③)  作者: サナダムシオ


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㉕ サヨナラ

「次に目を覚ました時には、アナタは私の事を、すっかり忘れているわ」

 眠ってしまったサン・ジェルマンに向かって、京子が語りかける。


「……そういう細工だったの。もっとちゃんと、お別れの言葉を言うつもりだったのに……段取りを間違えちゃったわ。でも楽しかった。これからも元気でね……知ってるけど」


 最後は、一人でノリツッコミのような変なセリフを言って、京子はその場から消えて行ったのだった。そして、残された白い袋には、スペイン語で"サンタクロースより愛を込めて"というメモが書かれた張り紙が、貼り付けてあったのである。


 さて、京子はその後、無事に2005年のクリスマス・イブの、名護屋テレビ塔の亜空間レストランに戻って来た。


 彼女が窓際のテーブルに座って、何食わぬ顔でレモンティーを飲んでいると、やがて地下の研究室から、永遠の35歳のサン・ジェルマンと、同じく永遠の35歳の杉浦鷹志の二人が、エレベーターで上がって来た。


「いやー、せっかくのクリスマス・イブなのに、遅くまで待たせて済みませんね?」

 と言う伯爵。

「イイわよ……別に」

 そう言いながら、少し膨れてみせる京子。


「あのお、ボクはウチにユリちゃんを待たせてるんで、先に帰りますね?」

 鷹志はそう言って、挨拶もそこそこに、本当に急いで帰って行った。

 多分、由理子も自宅で彼を待ちながら、頬を膨らませているに違いなかった。


「……さて、どうでした京子さん?」

 変なセリフを口にする伯爵。

「えっ、何が?」

 ホントに訳が分からない京子。


「若い頃の私は、可愛かったですか?」

 尚もそんな事を言う、サン・ジェルマン。

「えっ、何で……?記憶は消した筈なのに」

 ホントに驚く京子。


「一体、誰がタイムマシンを、開発したと思ってるんです?」

 ニヤニヤしながら続ける伯爵。

「あ……ああ、そう言う……」

 解って来た京子。


「全てのビートルの運用状況のデータは、この私が把握しているのですよ」

「……そうだったわね」


「まあ、以前、雪子さんも似たような事をしてますから、アナタのやった事だけを咎めるのは、不公平ですよね?」(第15巻 参照)

「そうよね?」


「ましてや、アナタはボクの妻だし……今回の事は内緒にしておきましょう」

「ありがとう」


「……で、満足しましたか?」

「ええ、アナタが如何に、バイオリンとマリー・アントワネットを愛しているのか、よく理解出来たわ」

「それはもう……勘弁してください」


 そして笑顔の二人は、肩を寄せ合い、窓の外で静かに降る、粉雪を見つめるのだった。

 以上でこのエピソードは完結です。

 最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 次回「25歳のサン・ジェルマン」にご期待下さい!

 (>_<)

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