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「青年サン・ジェルマンと黄色いワンピースの雪女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編③)  作者: サナダムシオ


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㉒ 反省会

 やがてサン・ジェルマンは、彼の屋敷の自室に戻って来た。

 少し遅れて、そこに京子も現れた。


「……あっ、でも、急に留置場から消えてしまって、大丈夫だったのかな?」

 今さらながらに、そんな心配をする伯爵。


「大丈夫よ。彼ら夜警のプライドに賭けて、逃げられましたなんて、口が裂けても言わないわ。史実では、証拠不十分で釈放した事になっているわよ」

 彼を安心させるように、京子がそう言った。


「それにしても……まさかスパイ容疑で捕まるなんて。フランス語訛りにならないように、気をつけていたんだけどなあ」

「……ごめんなさいね。」


「……えっ?なんで京子さんが謝るの?」

「私、アナタがそうなる事を知っていて、ロンドンに行かせたの」

「どういう事?」


「つまり、全ては確定した史実なのよ。でも、最初は楽しかったでしょ?」

「それは……まあ。そうか、だから最初、あんなに暗い顔をしていたんだね?」


「そういう事。でもまあ、アナタの音楽好きは知っていたし、無理に引き留めると、歴史が狂って、アナタがアナタじゃなくなる可能性もあったから」

「……じゃあ、仕方が無いね」


「この後は……どうするつもりなの?」

「その様子だと、どうせ知っているのでは?」

「1746年から1757年のアナタの活動の記録は、些かあやふやなのよ。だから出かける時には、その腕のリングを着けておいてね?」


「まるで、猫の首輪の鈴みたいだね?」

「そうよ。私の可愛い子猫ちゃん!」

「そりゃあ、笑えないなあ」


「じゃあ、今日はコレで。ちゃんと食べて、良く眠るのよ?」

「まるで、お母さんみたいだ」

「違うわ。私はアナタの……」

 そう言いながら、京子は伯爵の目の前から消えてしまったのだった。


――――――――――――――――――――――――


 それからしばらくたった、1716年のクリスマス・イブ。

 25歳になったサン・ジェルマンは、久しぶりに自宅で寛いでいた。

 そこへ突然、また京子が現れたのだ。


「は~い、お久しぶり。元気にしてた?」

 何故か、テンション高めな彼女。

「ああ、京子さん。その節はどうも」

「やあねえ。そんな事務的な挨拶なんかしないでよ」


「それより、どうしたんですか。その格好は……?」

「ああ、コレ?だって今日は、クリスマス・イブでしょう?」

 彼女は、いつもの黄色いワンピースではなく、赤い服の上下を着用し、赤い帽子まで被っていた。そして、何だか大きな白い袋を担いでいたのである。


挿絵(By みてみん)






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