↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「青年サン・ジェルマンと黄色いワンピースの雪女」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編④)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/25

⑮ 王妃の決断

 これまでの、二回のタイムトラベルは、過去への旅だった。それも、自分がリスペクトしているとは言え、所詮は他人の、ジャンヌ・ダルクに会いに行ったのだ。だから正直に言って、お気楽な旅だった。しかも、彼女がいずれ、火あぶりの刑で亡くなる事まで、承知の上でだ。


 だが、いざ、自分の残酷な未来を突きつけられてみると、この体たらくなのか。マリー・アントワネットは、自分で自分を軽蔑した。あの誠実そうなサン・ジェルマンが、伊達や酔狂で、趣味の悪い冗談を仕掛けて来たとも思えない。しかし俄かには信じがたい事実だ。私がギロチン台に?一体何の罪で?そればかりが、頭の中でグルグル渦巻く。


「……ショッキングな事実ですが、いずれフランスで革命が起きるのです。ルイ16世は断罪され、その王妃であるアナタも、ほぼとばっちりのような罪状で、死罪になるのです。それが民衆の意思なのです。」

 サンジェルマンは、苦々しい顔で言葉を続けた。


「罪状の内訳は、他国との内通、公費乱用、背徳行為、国外脱出計画などです。もちろんアナタは、裁判において得意の話術で、一つ残らず論破し、無実を訴えましたが、裁判官にその全てを無視され、有罪にされたのです……まったく胸が悪くなる、酷い話です。」


 王妃は無言になった。

「この歴史的事実は、残念ながらもう、覆る事は有りません。ですからここで、私からご提案が有ります。」

 そこで伯爵が、少し声色を変えて、優しい声でそう言った。


「……何、何なの?」

 呆然としつつも、一縷の希望を見い出し、伯爵の言葉に耳を傾ける王妃。


「アナタがギロチン台に掛けられる直前に、この私が、タイムマシンで助けに参ります!」

 サン・ジェルマンは、自らの決意の気持ちを込めてそう言った。


「もちろん、アナタがソレを望むなら、ですが?」

「この私が……理不尽な罪状で、みすみす殺されるのを、良しとする女だとでも?」


「ソレは、イエスのお返事と受け取って、よろしいのですね?」

「ええ、お願いするわ。でも私……。」


「……どうしました?」

「やっぱり私、自分で実際に体験するまで、信じられないわ。」

「ごもっともな事です。ソレ故の、ギリギリ救出劇計画なのです。」


「委細了解よ……ありがとうサン・ジェルマン。」

「お礼の言葉はまた、近い将来、アナタを、無事に救い出したあかつきに、いただきますよ。」


 伯爵は、そう言って王妃の目を見ながら、ニッコリと笑ったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。