⑥戦闘
◆ 花屋防衛戦・開幕
パァンッ!!——ハート型風船が破裂した瞬間、黒い人影がガラスを蹴り破って侵入してきた。その動きは人間のそれではなく、四角い関節をカクッ、カクッと鳴らしながら機械じみたステップで床を踏み鳴らす。
妹「うわあああああっ!?客!?警察!?ゾンビ!?何これ何これ何これ!!??」
兄「黙って伏せろッ!!」
彼女はバケツの水を一気に蹴り飛ばす。水しぶきの中で、花屋のハサミが一瞬だけ光る——いや、違う。あれは……ブレードだ。
蜂女(彼女)「——《Bloom Gear・起動》」
光の筋がスーツの上に走り、小型の装甲ユニットが花屋のエプロンの下から展開する。
妹「ちょっ……花屋の制服の下から何出てきてんだよおおおおお!!?!」兄「説明はあとだッ!」
◆ 兄と彼女の“完全シンクロ戦闘モード”
敵の一体が素早く距離を詰め、鋭い腕刃を振り下ろす。その瞬間——。
「——お前の動きは、知ってる!」俺は花束スタンドを蹴って転がし、敵の足を止める。そこに、彼女のブレードが水面のように滑り込み、敵の関節を正確に切断する。
ギギギ……!!
妹「なに今の!?今の連携何!?ふつうに息ぴったりなんだけど!!!何カップル協力技とかやってんの!!?」
兄「だから黙ってろって言ってんだろ!!!」
◆ コール&レスポンス(完全に戦隊ヒーローのノリ)
兄「右、くる!」彼女「了解」
敵の突進。俺は花の配送用カートを蹴り飛ばし軌道を逸らす。彼女はその上を軽々と跳躍し、ブレードを振り下ろす。
ザシュッ!!!
妹「ちょちょちょちょちょ!!今……今なんか映画みたいな効果音鳴ったよね!?カッコ良すぎて腹立つんだけど!!?」
兄「うるせぇぇぇぇぇっ!!!」
◆ 残り2体
『確保対象の抵抗レベル、想定外。戦闘モードへ移行』
黒い戦闘員たちが武装モードに切り替わり、肩からパルスガンの銃口を展開する。
妹「銃!?銃出たよ今!!!これもう花屋じゃねえよね!?保健所じゃ止めらんないよね!?!?」
兄「妹、伏せろッ!!」
俺は妹を抱えてレジ下へ滑り込ませる。彼女は一歩前に出て、花束を構えた。
蜂女「——《花弁シールド》」
バシュッ!花束が弾け、花びらと共に光のフィールドが形成され、銃撃を受け止める。
妹「花で防いだああああああああ!?!?!?」
◆ 最後の1体 ― “制御型幹部ユニット”
煙の中から、1体だけスーツの意匠が異なる個体が進み出た。肩部装甲には朱色のライン、手には振動剣。
『コード《Reaper-03》。裏切り個体の再処理任務を開始する』
妹「リーパー!? カタカナかっこいい感じの名前出てきた!! こいつ明らかに雑魚じゃないやつ!!」
俺と彼女は視線を交わした。彼女が言う。
「……行くよ、《花屋式連携技》」
妹「花屋式!?」
◆ 必殺技発動 ―《Bloom Impact Duo》
リーパーが突進。地面を抉る踏み込み。振動剣がゴォオオオオッと空気を裂く。
俺はその刃を花屋の棚で受け止め、同時に叫ぶ。
兄「今だ――!!」
彼女「——《Bloom Impact Duo》……解放ッ!!」
瞬間、彼女の足元から花びらが渦を巻き、跳躍。そのまま敵の死角となる頭上を飛び越えて——
ザシュン!!!
兄「《Impact Flare》(衝撃の光)》!!!」
俺が花屋の配送用カートを蹴り飛ばし、それが起爆装置のような衝撃を生む。彼女の一撃と同時に衝突し、敵は爆発的に吹き飛ぶ。
リーパー「認識不能……計算外――」
ガォンッッ!!!
黒い装甲が砕け、リーパーがスローモーションで崩れ落ちる。床に散るのは火花と——なぜか花びら。
静寂。
◆ 妹、ようやく“理解追いつきモード”へ
妹「………………………………はい、整理しまーす」
彼女はレジカウンターの下から ひょこっ と顔を出した。完全に冷静になった顔で、淡々と言う。
「兄貴 → 元・何かしらの戦闘員 彼女さん → 元・ショッカー的な組織の幹部クラス 二人 → 廃工場で出会って 逃避行からの花屋経営」
そこで ピタリ と言葉が止まり、ゆっくりこちらに顔を向けた。
妹「で――」
背後の棚には、まだ戦闘の衝撃で揺れている**「本日開店セール」**のポップ。
妹は 超真顔 で質問する。
「……手、繋いだのはどっちから?」
――そこ!?
兄&彼女「「そこかよ!!!」」
彼女、ほんのり赤面。兄、即死ダメージ。ショッカー残党よりも妹の追及の方が強いという現実。




