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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第1章 襲撃の後始末

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第6話 脱出

 時間停止魔法がかかっているのは、商品価値を失わないためだろう。

 ただ縛ったりとかで他から手出しが出来る状態だと、下っ端が性欲なり嗜虐欲なりで手を出して……なんて可能性があるから。

 時間停止魔法がかかった対象に対しては、触れても指一本どころか布地1枚すらも動かすことが出来ない。

 時間が止まっているのだから、当然だけれど。


 あとこの2人を襲った時には、それなりの魔法使いもいただろうなんて事がわかる。

 時間停止魔法は、空属性のそれなりに難しい魔法のはずだ。

 かなりの実力がある魔法使いでないと使用出来ない。

 俺は空属性が使えるから、一応は使えるけれど。


 今、周囲にそういった魔法使いの魔力は感じない。

 それでもここからは、早々に立ち去った方がいいだろう。

 しかし審判魔法が終わらないと、この場から動くことが出来ない様だ。

 ならこの2人をどうするかを、早々に決める必要がある。


 ここでただ解放するというのは、危険すぎるだろう。

 野垂れ死ぬか、また悪いのにとっつかまって奴隷扱いとなるかってところだ。

 解放するならこの場を離れた後、本人の意見を聞いた上で善後策を練った後、行ったほうがいい気がする。

 

 奴隷として所持するなんてのは、とりあえずやめておこう。

 どこぞのライトノベルのチート主人公なんかだと、往々にして性奴隷確保なんてやってはいる。

 しかしこの世界の法律がもし『バルティカ』と同じなら、少なくとも主神テオトゥラ側の四カ国では、奴隷は禁止となっているはずだ。


 もちろん腐れ貴族だの犯罪者連中だのは守っていない。

 それでもいきなりアウトローに生きるのはやめたほうが安全だろう。 


 俺が今いるのは、VRMMORPGの『パルティカ』ではない。

 設定はそっくりだが、今の俺にとっては現実の世界。

 決断は慎重にやらないと、俺自身の人生がゲームオーバーになりかねない。


 とりあえず、先程出ていた選択肢、つまり[奴隷として所有する/解放する/その他]なら、選んでいいのはひとつだけという気がする。

 ということで俺は、『その他』を選択。


『2人はどうしますか? [自分の情報を漏らさないため、ここで処分する/2名それぞれ別の処理をする(奴隷として所持する/この場で解放する/この場で処分する)]』


 余計に危険な選択肢が出てきた。

 どうやら奴隷、解放、処分の3つしか選択肢が無いようだ。

 この場合の処分とは、殺害すること。

 ならば選べるのは、前の選択肢を遡って『解放』だけ。


 しかしここで、2人それぞれ別という選択肢が出たのが気になる。

 ひょっとしてこの2人、何か顕著な差があるのだろうか。


 調べる方法はある。

 審査魔法と判決魔法は、別に犯罪者専門というわけではないから。


 ただし判決が被害回復だったりした場合、俺が先程手に入れた金銭や物品類だけでは賄えない可能性がある。

 処刑して財産を没収するのが俺なら、被害回復で金を出すのも俺だろうから。

 

 審査して、判決は下さないというのは出来ないようだ。

 審査魔法と判決魔法は、審判魔法の一部で表裏一体。

 審査魔法を使用した場合、その場で判決魔法を使用しないと、問題が生じるらしい。


 どんな問題かは、わからない。

 ゲームの『パルティカ』には審判魔法は存在しなかった。

 神からもどんな問題があるか、聞いていない。

 俺に魔法とともに植え付けられた知識で、『問題が生じる』とわかるだけだ。


 ここで危険を覚悟で試すなんてのは無謀だろう。

 そうなると、この時点で俺が選べる選択肢は……

 ということで、2人とも『解放』を選択することを意識する。


 選択することを意識というのは、今回提示された選択肢には『解放する』がなかったから。

 大丈夫だろうかと思った次の瞬間、こんなメッセージが表示された。


『以上で判決とそれに伴う処分は決定しました。判決魔法を終了します』


 これで移動可能になった。

 ならさっさと移動しよう。

 ぐずぐずしていると、サタナテスの上層部がトラルテスコ支部が壊滅したことを知り、調査に乗り込んでくる可能性がある。

 この2人に時間停止魔法をかけた魔法使い、もしくはもっと上位の魔法使いとか、サタナテスの上層部に雇われた何者かとか。


 相手がレベルの高い魔法使いである場合、俺では勝てない可能性がある。

 審査魔法を発動する前に、敵の魔法が発動させることが可能だから。

 たとえば俺よりレベルが高く遠くから状況を把握可能な遠見魔法で状況を確認し、攻撃するとか。


 生活費と衣服類を確保した俺の次の目標は、冒険者C級になることだ。

 パーティではなくソロでそうなるためには、東側の地域に向かったほうがいい。

 西側より開発されていない分、魔物が出やすいから、レベルを上げやすい。


 ならとりあえずは東側の街道沿い、安全な場所へと移動しよう。

 遠見魔法で東の方をざっと調べる。

 東向へ向かう街道に隣接して、平らな玉砂利の河原があった。

 距離は大体3離(3km)、偵察魔法で見えているから転移も可能だろう。


 ここがちょうどいいだろう。

 でも逃げる前に、ささっと着替え。

 先程収納したあれこれの中から、適当な服を見繕って上に着て、ついでにサンダルっぽい靴を履いて。


 2人の方を確認、時間停止の魔法が解ける気配はない。

 ならということで、2人も一緒に転移することを意識して、俺は転移魔法を発動した。

 

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