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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第8章 迷宮攻略 

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第37話 第三階層

 ケバブサンドをアンジェおすすめの『野菜全部盛り、にんにくソース』で3個。

 あとは『もうひとつ買うのなら、野菜は生野菜のみ、ソースなし、フレッシュチーズなのですよ』というアンジェの助言通りのものを3個購入して、ダンジョンへと向かう。

 いつもの受付で、今回はこう申告。


「今日は4人で、第三階層です。魔物を倒しながら、第四階層の入口まで行きます。午後2の鐘ころ戻ってくる予定です」


「わかりました。お気をつけて」


 あっさり門を開けてもらって、そして中へ。

 転移の魔法陣で第三階層へと向かい、そして今日は正面の通路を進む。


「第二階層は、昨日の午後に行ったのですか?」


 そう言えばアンジェは参加していなかった。

 なのでここで簡単に説明。


「ああ。そんなに難しい階層ではなかったから、さっさと通過した。あとこの後、第五階層までは、こういった地下道みたいな作りだ」


「暗くて魔物が多い場所には、それなりに高価な薬草が多いはずなのです。そういったものも採取していいですか?」


 勿論だ。

 というか、アンジェには思い切りそっち方面で期待している。

 ただ注意事項があるので、ここで説明しておこう。


「ああ、頼む。ただここからは、デミオークが出てくる。あれは今使える攻撃魔法では一発で倒せない。だから薬草を採取するのは、安全だと確認出来る場所だけにしてくれ。採取する場所まで行ったら、俺の方から指示する。だから採取は、それまで待って欲しい。

 あと攻撃時には、シャルとクリス、二人とも同時に魔法を使うつもりでいてくれ。デミオークは、どの属性の攻撃魔法でも、同程度に効果がある」


「なら私は、薬草採り専従なのですか?」


「今日のところはな。ただこういう場所で採れる薬草で、アンジェは戦闘に便利になる薬品を作れるはずだ。今日は採取と薬品製造に徹してもらって、明日の第四階層からバリバリと活躍してもらう。あっちはデミオークが集団で出てくるから、攻撃魔法連射でも危険な場合がある」


 そこでアンジェが、わざとらしいため息をついた。


「なんというか、すべてフォルティに先回りされているのです。薬師でもないのに、薬草の種類と特性、作れる薬品についても熟知しているのです。今の言葉は、ここで採れる薬草とその薬草で作れる薬品を知らなければ、出ない言葉なのです」


「先回りをしているのは俺じゃない。そうやって攻略できる様に、迷宮(ダンジョン)を作った存在だ」


 そう、少なくとも『パルティカ』の場合はそうだ。

 『パルティカ』では、プレイヤーキャラの初期配置場所の最寄りにある迷宮(ダンジョン)は、各職業がバランス良く揃ったパーティが攻略しやすい様に設定されている。


 薬師がいれば、第三階層で手に入る薬草で睡眠薬を作って、第四階層以降の耐久力が高いデミオークの集団と戦いやすくなるとか。

 そうやって第四階層でレベルを上げてることによって、魔法使いや戦士が第五階層で通じる様になるとか。


 第四階層と第五階層で採取出来る薬草で、より強力な睡眠薬を作れるとか。

 第五階層には装備が出てくるミミックその2があり、最初の武器や防具より数段強力な装備が手に入るとか。

 この毒薬と新たな武器で、第六階層の『階層全体が巨大な広間で、全体から大量の敵がパーティ目指して襲ってくる』のに対抗するとか。


 これはゲームとして、そのようにデザインしたのだろう。

 以前の俺は思っていた。

 しかしこの世界が現実となった今は、何がどうなっているのか、わからなくなっているというのが本音だ。

 自称ファルマさんと話した結果、余計に混乱した気がする。


「ところで第三階層では、どんな感じに進むのでしょうか?」


 これはクリスだ。

 それでは説明するとしよう。


「第三階層には、冒険者ギルド公認の安全な部屋(セーフルーム)が2箇所ある。その部屋を拠点にして、周囲の魔物を狩るという形で魔物討伐をするのが、冒険者ギルドが推奨する第三階層での戦い方だ」


「ということは、フォルティはそうする気がないということなのですね」


 アンジェの言葉に、俺は頷く。


「ああ。ああいう場所は、面倒な輩が溜まる。誰の場所でもないのに、この辺は古くからいる俺達の縄張りだという主張をする、活動歴は長いが腕はさほどでもない冒険者とか。

 もちろん冒険者ギルドも、そういった自体が起きることは把握している。時々は冒険者ギルドから、そういった事態がないか確認に出ることがある。だいたいその翌日には、数組の冒険者パーティが冒険者資格を剥奪され、引退となるわけだ」


「稼げる場所に固執するのは、理解は出来るのですよ。許せるかどうかは、また別の問題として」


 アンジェ、貧乏暮らしをしていただけあって、その辺の道理がよくわかっている様だ。

 良くないから、してはいけない。

 そうあっさり割り切れないのも、現実なのだろう。


「だから面倒を避けるため、違う場所を使う。完全に安全な場所とは言えないが、魔物が発生しない袋小路の通路を使って、前から来る敵を攻撃する方法だ。クリスやアンジェは、昨日やったな」


 クリスとシャルが頷く。


「あれと同じ方法を、3箇所でやる。場所を変えるのは、第三階層内にいる魔物をより効率よく倒すためと、薬草の採取のためだ。2箇所目で薬草を採り終わったら、近くの比較的安全な場所で間食を食べて休憩。3箇所目へ向かって、薬草を採り終えるまで魔物を倒したら、第四階層へ行って今日は終了」


 なんて説明したところで、前方に魔力を感じた。

 

「話しながら歩いていたから、声を聞いた魔物がやってきた様だ。次の交差点まで30mあるから、問題はないだろう。クリスとシャルで、攻撃を頼む」


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