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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第7章 警告?

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第36話 貧乏暮らしの食生活?

 言葉の割に、アンジュはそれほどいっぱい食べなかった。

 どうやら早々に、胃袋の限界を迎えてしまったようだ。


「貧乏暮らしが長いので、お腹いっぱい食べるということがなかったのですよ。だからいざ食べられるという時でも、あまり食べないうちに限界が来てしまうのです。すべて貧乏が悪いのです」


 本人による言い訳というか、理由説明は以上。

 せっかくのケーキまでたどり着けなかった結果、本日の朝食は、部屋でケーキを食べることとなった。


 窓を開けて、クリスの魔法で空気を入れ替え、応接セットの上もきれいにして、ケーキと食器類を置いて朝食開始。

 

「うんうん、贅沢の甘い味がするのですよ」


「朝から甘いのも、美味しい」


「確かに美味しいですね。値段を考えると、毎日は出来ませんけれど」


 俺は食事はスイーツではなく、しっかりしたものを食べたい!

 というのが本音なのだけれど、残念ながら皆さんの意見は違う様だ。

 仕方ないから個人的意見は、俺の心の底に仕舞っておこうと思う。


 あと今日の昼食は、早めに食べよう。

 何なら途中、10時くらいに、おやつ代わりにテイクアウトを食べてもいい。

 今日は第三階層だから、抜けるのに第二階層より時間がかかる。

 そこそこ耐久力があるかわりに経験値が美味しいデミオークが出てくるから、討伐も思い切りやっておきたい。


 あと第二階層は天井も壁も床も石造りだけれど、石と石の間のつなぎ目に、薬草の一種であるコケ類が生えていたりする。

 もちろんアンジェに採取してもらうつもりだから、これを下処理する時間も欲しい。


 それなら今日は、途中でテイクアウトを食べて、13時過ぎまで迷宮(ダンジョン)に入るという予定にしよう。

 これなら第四階層の入口まで行くとしても、じっくりデミオーク狩りをすることが可能だ。

 しかも昼食は空いている時間に食べられるし、薬草の処理もその後にする時間を取れる。

 

 ということで、ケーキを口に運ぶ手を止めて、本日の予定の説明だ。


「今日は第三階層だが、ここは第二階層よりだいぶ広い。デミオークという耐久力強めの魔物が出てくるし、石壁の隙間に生えるコケ状の薬草も採取したい。だから途中で休憩を入れつつ、13時過ぎくらいまでかけて、第四階層の入口まで行きたい」


「迷宮(ダンジョン)に入って4日目で、D級の昇級基準に到達してしまうんですね。出来ることを考えると納得は出来るのですけれど、世間の常識は何だったのだろうと感じてしまいます」


 それについては、正直失敗したと思っている。


「今思えばあの時、昇級を断っておけば良かった。全員がE級なら、第四階層到達でアンジェもD級になれたのだが」


「薬師はD級昇級の資格にはならない?」


 これはシャルだ。


「残念だが、ならない。薬師や錬金術師の場合、素材を自分で採りに行くのではなく、冒険者ギルドを通じて買い取るのが一般的だ。自分で採取に行く薬師や錬金術師もいるが、そういった者は概ねD級以上の冒険者級を持っている」

 

「私としては、全く気にしていないのですよ。どうせフォルティのことだから、全員がC級になる道筋くらい立てていると思うのです」


 アンジェの言葉に、クリスが頷いた。


「私もそう思います。もともと冒険者C級になって、テオトゥラ中央学園に入るのが目的でしたから」


 うーん、何か完全に信じられていると言うか、疑っていないというか……

 こういう感覚は、慣れていない。

 でも否定するのは、多分この場にそぐわない。

 だから今は、この程度で軽く流しておこう。


「期待に添えるよう、努力する」


 ◇◇◇


「今日は少し長丁場だから、テイクアウトを一食分買っていこう」


「了解なのです。このパーティくらいにお金を使っても問題ない冒険者がよく使う店は、こっちなのです」


 何か微妙な表現を聞いた気がする。

 ただここで直接的に聞くと、あまり良くない気がする。

 なら、こういう聞き方はどうだろう。


「参考までに、1人1食分でいくらくらいだ?」


「正銅貨5枚(500円)前後のケバブサンドなのです。パンに肉を挟んだものですが、オプションでスライス玉ねぎ、揚げ玉ねぎ、キャベツ、紫キャベツ、トマト、きゅうり、チーズ、揚げナスが挟めるのです。あとソースがハーブ、ニンニク、なしの選択なのです。おすすめは野菜全部盛り、にんにくソースで、正銅貨6枚(600円)なのです」


 日本でも最近増えているという、ドネルケバブっぽいものだろうか。

 食べたことはないけれど。

 そう思ったら、更に追加説明がある様だ。


「参考までに、稼げない冒険者の場合は、正銅貨1枚(100円)程度までの塩ラード揚げパン2枚が常食なのです。これだけだと体調を崩すので、適当な野草を洗ってつまんだりもするのです」


 うーん、厳しい。

 

「薬草だけでは、生活はギリギリなのか?」


 冒険者ギルドやファルマさん、まさか買い叩いていないよな。


「迷宮(ダンジョン)外の薬草は、生えている半分は残しておかないと、採れなくなってしまうのです。そんなことを考えずに採りまくっている冒険者も結構多いので、貧弱で薬効に乏しそうなのもあるのです。結果として、植生を考えながら探し回っても、採取できる薬草はそう多くないのです」

 

 なるほど、納得だ。

 ならアンジェの貧乏症改善のためにも、これからはいいものを食べる様に心がけよう。

 どうせレベルアップのため、ガンガン魔物を倒すつもりなのだ。

 それくらいは十分、儲けられるだろう。

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