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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第8章 迷宮攻略 

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第38話 休憩時間

 まずはデミオーク1体を、シャルの風刃魔法とクリスの氷弾魔法で倒して、死骸を収納。

 そこで俺は、まだ説明していなかった事に気付いた。


「そういえばデミオークは、食材として活用出来る。だから倒す際は、出来るだけ頭を狙ってくれ。風刃魔法なら首を狙うのも効果的だ」


 魔法は飛んでいく位置を強く意識すれば、そのとおりの場所へ飛ぶ。

 だから相手が急な動きで避けたりしない限り、まず命中する。

 そして第六階層くらいまでは、魔法を避けるような敵は出ない。


「わかりました」


「わかった。なら今倒した魔物は、売れない?」


「これでも、使えない部位は少ない。特に背中側や両脚の肉と皮は無傷だ。そこそこいい値段で買い取って貰えるだろう。

 普通に倒した場合はデミオークの胴体に、槍や剣で幾つも穴が空いている。戦士が魔法を使わず倒す場合は、よほどの腕がない限り、攻撃が当たりやすい胴体を狙うから。それにくらべれば、数段いい状態だ」


 今回のデミオークは首から左腕付け根まで、シャルの風刃による切傷がついて、首部分から大量出血。

 更にクリスの氷弾魔法によって、心臓まで穴が空いている。

 死因は怪我によるショックと、出血による失血というところだろう。

 

 あとクリス、最年長だからか魔法に慣れていて魔力もあるためか、狙いと威力が初心者の域を超えている。

 今回も実は、クリスの氷弾魔法だけで倒せただろう。

 シャルの訓練を兼ねているから、クリスだけで倒せとはしないけれど。


「良かった」


「それじゃ先へと向かう」


 歩くこと概ね5分程度で、次に討伐を行う袋小路の入口に到着だ。


「討伐をする際は、ここの分岐にさっきのデミオークの死骸を置いて、通路のこの先で魔物が近づくのを待つ。でもまずはこの通路の奥まで行って、安全かどうかを確認しよう。奥まで行ったら、アンジェ以外はこの分岐が見える場所に陣取って、討伐開始だ。アンジュは奥から俺達を追い越さない範囲で、薬草採取を頼む」


 実は俺の遠見魔法で、魔物がいないことは確認出来ている。

 だからすぐそこに陣取って、狩りを始めることも可能だ。


 ただこういった場所での行動は、基本通りにやった方がいい。

 冒険者として初心者の、クリスやシャル、アンジェに基本を身につけて貰うためにも。


「わかりました」


「わかった」


「わかったのですよ」


 皆さん了解した様なので。


「それでは奥へ進もう」


 俺は歩き出す。


 ◇◇◇


 2つめの袋小路の薬草を採取し終わって撤収した後。

 3つめの袋小路まで行って、奥まで確認した後、分岐が見えるところまで戻って。


「多少暗くて環境が良くないが、ここで休憩する。分岐の左右は俺が魔法で警戒するから、心配はいらない」


 ここから分岐まで50m以上ある。

 遠見魔法で分岐の左右を警戒して、魔物を発見してから魔法を準備しても、デミオーク程度なら充分間に合う。


 今の俺なら、氷弾魔法の連射でデミオークを倒せる。

 今日、2つめの袋小路で10匹ほど倒して確認したから、間違いない。

 

 休憩ということで、テーブルと椅子を出す。

 テーブルはサタナテスを襲撃した際、クリスやシャルごと収納してしまったものだ。

 捨てるのはもったいない気がしたので収納に入れたままだが、こういう時は便利でいい。


 なんて思ったところで、アンジェがため息をついた。


「何か問題があったか?」


「問題は何もないのです。ただ私が話に聞いている迷宮(ダンジョン)での魔物討伐と、あまりに違いすぎて調子が狂うのです」


 なるほど。


「確かにテーブルと椅子を持ち歩くのは、普通ではないかもしれない。でもこれは、俺が収納魔法を使えるからだ。それ以上の意味は特にない」


 アンジェ、またため息をつきやがった。


「それもまあ、あるのですが……。まあ、取りあえずは休憩して飯を食べるのが優先なのですよ」


 何だろう。

 そう思いつつも、取りあえずケバブサンドを1人2個ずつ、あとコップに魔法で水と氷を入れて、テーブル上に並べて、食事開始。

 全員ガシガシとがっついた後。


「うむうむ、やっぱりこのケバブサンドは、リッチな味がするのです。野菜の多さが肉を引き立てていて、美味いのです」


「確かに美味しいですし、ボリュームがありますね。あと野菜が美味しいです」


「同感」


 物そのものはクレープくらいの薄焼きの、でも気泡が入ったパンで、肉と野菜を挟み、ソースをかけたものだ。

 肉は焼いた物を削ぎ切りしたもの。

 つまりは細切れの更に小さいのという感じ。

 

 ただこれが、確かに美味しい。

 野菜は生野菜の他、揚げたものや炒めたものも入っている。

 これが肉と、やや辛めのソースとよくあうのだ。

   

「確かに美味いな、これ」


「美味いけれど、ちょっと高いのが難点なのです。だから貧乏冒険者は常食出来ないのです」


 次いで、もう一つの『生野菜、フレッシュチーズ』の方へ。

 食べてみて、理解した。

 あっちがボリューム系なら、こっちはさっぱり系だ。


 もちろん肉そのものは同じだから、それなりのボリュームはある。

 しかし生野菜とフレッシュチーズのおかげで、爽やかさと軽い酸味がくわわって、全体としてはさっぱり系。

 確かに最初のを2個食べると、少々脂や油が強すぎるだろう。


「こっちはさっぱり系なんですね。組み合わせとして、ちょうどいいです」


 クリスの言う通りだ。


「ああ。アンジェのお勧め通りにして正解だった」


「これについては、冒険者の評判そのままなのですよ。実際に食べて比べるほど、私の懐は豊かではなかったですから」


 アンジェはそう言って、そして俺の方を見る。


「さて、さっきの続きなのです。フォルティの魔物討伐は、冒険者らしくないというか、違和感を覚えるのです。これはきっと、私の気のせいではないのです」


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