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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第7章 警告?

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第32話 第二階層

 その後、もう一度迷宮(ダンジョン)へ。

 受付で冒険者証を出して、今回はこう申告。


「3人で、第二階層メインです。魔物を倒しながら、第三階層の入口まで行きます。夕方までには戻ってきます」


「わかりました。お気をつけて」


 あっさり門を開けてもらって中へ。

 そのまま階層移動用の魔法陣を使って、第二階層入口に到着。

 念の為、第二階層から第一階層や出口まで遠見魔法を使えるか、確認してみる。


 大丈夫、問題なさそうだ。

 なら転移魔法も使えるだろう。

 最初の安全な狩り場は、ここを右だったな。

 そう確認しつつ歩きはじめつつ、クリスとシャルに説明を開始。


「天井も床も壁も石造りですと、圧迫感がありますね。ここから下の階層は、全部がこんな感じなんでしょうか?」


 クリスがよくある質問をしてきた。

 ちょうどいいから説明をしておこう。


「そうとは限らない。たとえばカリミナス(この)迷宮(ダンジョン)の場合は、第二階層から第五階層はこういった作りだが、第六階層は天井が低いが柱がなく、天井も壁も床も土や岩で、端にしか壁がない、巨大な洞窟内広場といった構造だ。そして第七階層から第十階層は、第一階層と似た感じの空がある屋外になる」


「洞窟の中に、空がある?」


 シャルが不思議そうに尋ねる。

 その通りだ。


「ああ。どう見ても本当の空にしか見えない空があるらしい。太陽は見えないが、ちゃんと昼になったり夜になったりするそうだ。何故そんなことが出来るのかは、よくわかっていないらしい」


 そこまで話したところで、遠見魔法が獲物を見つけた。

 コボルトが3匹、この先20mにある十字路の右側から近づいてきている。


「ここで停止だ。まもなくこの先の交差点の右側から、コボルトが3匹出てくる。ここはシャルに任せる。魔力や音で出てくるタイミングを確認して、攻撃魔法で倒してくれ。クリスはいざという時のために、攻撃魔法をいつでも放てる様に準備」


「わかった」


「わかりました」


 シャルは少し足を開いて立って、前方を凝視する。

 会話を止めると、周囲の音がわかるる様になった。 

 よく聞くと、コボルトが走っている足音とか息遣いなんてのが聞こえる。


 なお変わった臭いは、特に感じない。

 もっと近づかないと、わからない様だ。


 第二階層に出てくる魔物程度なら、攻撃魔法さえ使えれば全く問題はない。

 強いて言えば、曲がり角や交差点等で不意に敵と遭遇した場合が危険ではある。

 ただ今の俺やクリスは、10mくらいの距離なら、見えない場所にいる魔物でも魔力を感じることが出来る。

 だから注意深く歩けば、不意打ちで襲われるなんてことはない。

 魔力を隠す敵とか遠隔攻撃を持っている敵は、第四階層まで出てこない筈だし。


 コボルトが出て来た瞬間、シャルが魔法を発動した。

 風刃魔法が、曲がり角から出て来たコボルト3匹を襲う。

 もしも威力が足りなければ、追加で渦巻き魔法を放とうと心の準備はしておく。

 しかし見たところ、その必要は無さそうだ。


 コボルトは3体とも、胴から上と下に両断されて倒れた。

 手製のボロ槍が床に転がる。

 それでは注意をしてから、戦利品を回収するとしよう。


「こういった壁や天井がある迷宮(ダンジョン)の中では、倒した魔物の処分方法が屋外とは異なる。掘って埋める事は出来ないし、大々的に火で焼くこともしない方がいいらしい」


「埋めないのは土がないからですけれど、大々的に焼かないのは、いわゆる『悪い空気』が逃げないからでしょうか」


 クリスはそういった理屈で、酸欠の危険性を知っていた様だ。

 ここは否定する必要はないだろう。


「ああ。だから燃やすとすれば、魔石を取り出すため、胸に最小限の熱を加えるという形になる。その程度の火なら、風魔法で周囲の空気を流してやれば問題ない。

 迷宮(ダンジョン)でこういった土がない場所の場合、だいたい30分以内で、魔物や生物の死骸は迷宮(ダンジョン)に吸収されて消える。だから基本的には放置だ。それで魔物が寄ってくるとまずい場合、乾燥魔法で死骸をカラカラに干からびさせる。完全に乾燥させれば、ほとんど臭わないから、他の魔物も寄ってこない」


 今回は右胸部分だけに高熱魔法を当て、身体組織を熱分解して魔石を取り出す。

 収納魔法で魔石を収納した後、今回は、死骸をそのまま収納する。


「今回は乾燥させないで、死骸をそのまま収納するの?」


 これはシャル。

 これまでのあれこれで大分慣れてきたのか、今までに比べて喋る様になったなと思いつつ、こう返答。


「ああ。この階層でもまた、魔物の討伐訓練をするのにいい場所がある。そこで魔物を寄せるのに使いたいから、今回は死骸をそのまま回収する」


「怪我人では無く、魔物の死骸を使った囮箱みたいなもの?」


 言われてみると、確かに……


「原理はその通りだな。囮箱と言われると印象は悪いが」


「それでその場所は、ここからどのくらい先ですか?」


 クリスがそう質問。

 確かこの先を行き止まりまで進んで、右へ曲がって行き止まりまで進んで、左へ行って行き止まりであることを確認して……


「10分程度だと思う。ただ話に聞いただけで、実際に自分で歩いたわけじゃないから、だいたいの目安だ」


 あと、どんな場所かも説明しておこう。


「今回向かうのは、行き止まりの通路だ。最後の分岐から奥までの通路は、魔物は通るが発生はしない。そして分岐のすぐ近くに、コボルトが複数で発生しやすい場所がある。

 その行き止まりまで行って、魔物がいたら倒して、魔物がいなければそのまま最後の分岐近くまで戻る。あとは分岐の場所にさっきのコボルトの死骸を置いて、俺達は通路の奥へ入って魔物が来るのを待つという形だ。後ろからは絶対に教われないから、安心して戦える」


「万が一、前方から対象に魔物が来て逃げられなくなっても、フォルティと一緒なら転移魔法で逃げられるということですね」


 クリスの言葉に、俺は頷く。


「ああ。ただ第二階層の通路は壁と天井がある。魔物はそこまで強くないし正面からしか来ない。攻撃魔法が使えれば、倒せないということはないだろう」

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