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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第6章 攻略と育成

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第30話 クエスト?

「商店街ではなく、迷宮(ダンジョン)と北門の間のちょっと奥まったところにあるのです」


 そう言いながら、アンジェは勝手知ったるという感じで歩いていく。

 こっち方向の店と言うと、攻略Webにあった場所のような気がする。

 念の為、俺はアンジェに確認というか、それとない感じで聞いてみた。


「よくそんな場所にある店を知っているな」


「冒険者ギルドで紹介されたのですよ。薬草をここまで下処理出来るのなら、直接売った方が儲かるって言われて。冒険者ギルド(ここ)の売店に薬を卸している信用できる人だから、大丈夫だって言っていたのです」


 疑惑は深まった!

 確かあの『薬品(ポーション)作りマスタークエスト』は、そんなきっかけで始まるのだ。


 店を紹介してもらう条件は、『薬草を3種類以上、品質A水準で下処理済みの状態で、冒険者ギルドに納めること』。

 そして店でポーション作りを教えてもらう条件は、『レベル5以上になっていて、店で頼まれた薬草を採取し、品質A水準で下処理済みの状態で納入すること』


 なら現時点でも、クエストが発生するかもしれない。

 現に薬屋を紹介してもらうところまでは、進んでいるようだし。

 その先に進んでいないのは、アンジェのレベルが足りなかったからだろう。


 いや、待て。

 いくらなんでも、そこまでゲームのと同一ということはないだろう。

 それはご都合主義というものだ。

 そう思いつつ、適当な雑談をしながらたどり着いたのは……


 間違いなく、あの薬屋だった。

 攻略Webの画像で何回も見ているから、間違いない。

 とりあえず俺は動揺を表に出さないようにしつつ、アンジェに全てを任せる。


「こんにちは、アンジェです。今日も薬草を何種類か採ってきたのですが、大丈夫なのですか?」


 出てきたのも、攻略Webで何度も見た小柄な中年女性。

 名前は確か、ファルマさんだったと思う。


「アンジェちゃんなら大歓迎だよ。この街じゃ薬草は常に不足しているからねえ。ところでアンジェちゃん、パーティを組んだのかい?」


 ゲームのクエストとは違う台詞だ。

 でもここで安心してはいけない。

 何か起こりそうな予感がする。

 

「そうなのですよ。おかげで迷宮(ダンジョン)内に入って、思う存分採取できたのです。まだ第一階層だけですけれど、今回はいつもの5倍以上採れたのです。ということでフォルティさん、遠慮せずこの台の上に全部出して欲しいのです」


 アンジェがそう言うなら、そのとおりにしておこう。

 俺はアンジェが下処理した薬草を、全部台の上に出す。


「なるほど、確かに迷宮(ダンジョン)で採ってきた様だね。ならアンジェちゃんも、そろそろ採取だけでなく、次の知識を覚えてもいい頃だね」


 こう来たか!

 流れも、理由も、ゲームとは全く違う。

 それでもこれは間違いなく、薬品(ポーション)作りを教えるよという意味だろう。


「どういうこと、なのですか?」


 アンジェは何が起こっているか、わかっていない様だ。

 でもここは、同じパーティの一員として、頭を下げておこう。


「お願いします。必要なものがあったら用意しますし、買うべきものがあったら支払います」


 お店のおばさん、おそらくファルマさんは、にやりと笑みを浮かべた。


「こっちのお兄さんは、わかっている様だね。大丈夫、アンジェちゃんには、今まで品質のいい薬草を納入してもらっているからね、サービスさ。それじゃ夕方までアンジェちゃんを借りるけれど、それでいいかい?」


 やっぱり『薬品(ポーション)作りマスタークエスト』が、始まってしまった様だ。

 なら初級より上の、一般薬品(ポーション)が作れるようになる可能性が高い。

 こちらとしては大変にありがたい、のだけれど……


「もちろんです。なんでしたら、昼食を買ってまいりましょうか」


 昼食前という、非常に間の悪い時間だ。

 なので念の為、そう聞いてみた。


「こっちは大丈夫さ。食べて確認することも、薬品(ポーション)つくりには必要だからね。そっちはそっちでしっかり昼を食べて、それから少し鍛えておきな。あんたなら忠告しなくても大丈夫そうだけれどね」


 何か引っかかる。

 ここは思い切って聞いてみた方がいいかもしれない。

 そう思ったところで。


「ひょっとして、薬品(ポーション)作りを教えてもらえるのですか?」


 やっとアンジェ、気づいたようだ。


「ああ、そういうことさ。もちろん半日ちょいで私が教えられることなんて、限りがある。それでも初級薬品(ポーション)なら確実に、上手くいけばもっと上級の薬品(ポーション)まで覚えられると思うよ」


「ありがとうございます」


 もう一度俺は、彼女に頭を下げる。


「それじゃ細かい話は後ということで。17時ころ、ここへ戻っておいで」


「わかりました。それでは昼食を食べたら迷宮(ダンジョン)を少し回って、それから戻ってこようと思います。それではアンジェを、よろしくおねがいします」 

 

 俺はもう一度、頭を下げた。

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