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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第5章 追加戦力

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第26話 質疑応答(2)

「正直に答えていただき、ありがとうございます」


 クリスはそこで少し間をおいて、そして続ける。


「それでも私たちは、フォルティさんを信じていいと思っています。商談の帰りを襲われて、あとは奴隷として売られるだけの状態で、帰る家も無くなった私たちが、ここにこうしていられるのは、間違いなくフォルティさんのおかげですから」


 その件については、前にこう説明した気がする。


「気にしなくていい。単なる成り行きだ」


「それでもフォルティさんにとって、私たちを助けることは必要ではなかったと思うのです。私たちは、フォルティさんが手助けしてくれなければどうにもならなかったし、それは今も同じです」


 これも返答は可能だ。


「今のクリスは攻撃魔法と治療魔法を使うことが出来る。シャルも風属性の攻撃魔法を使える。もう冒険者としては中堅程度の力はあるだろう」


「そうなるのに1日しかかからないというのは、間違いなく普通ではありません。それが出来たのはフォルティさんだからです」


 確かにそれは、ゲームの『パルティカ』の知識なしには無理だろう。

 だから俺は、返答できない。


「私もシャルも、そしてアンジェさんもきっと、今後もフォルティさんに頼るのが最善なのでしょう。フォルティさんにとっては、単なる成り行きにすぎなくても。違うでしょうか」


 実際その通りだろう。

 ひょっとしたら俺は、手を出し過ぎたのかもしれない。

 でもだからと言って、見捨てれば良かったとは思えない。

 だから、やっぱり俺は、答えられない。


「無理に答えなくても結構です。無言というのも、きっと返答ですから。その上で、私からフォルティさんにお願いします。どうかシャルだけでも、テオトゥラ中央学園に連れていってやって下さい。お願いします」 


 これは返答出来るな。

 そう思ったら、更にクリスの言葉が続いた。


「むしがいい話だとは、わかっています。それにふさわしい代価や代償を用意できないことも、わかっています。それでも私は、フォルティさんにお願いするしかないのです。

 ですから私が出来ることでしたら、何でもするつもりです。もし何でしたら、性欲の解消で私の身体を使っていただいても構いません。シャルやアンジェさんには睡眠魔法をかけておけば大丈夫です。戦闘用ではない睡眠魔法なら、私にも使えますから」


 おい! 待ってくれ!

 それってまさに、今からでもエッチなことをしていいという宣言じゃないか!

 魔力を見る限り、シャルとアンジェはぐっすり眠っている様だし。


 したくないかと言われると、無茶苦茶したい。

 そうでなくともクリスの胸は大きめで、あれこれ気にならないわけじゃないのだ。

 今現在も俺の心の中のジョルジュ長岡※が、左腕を思い切り振って叫んでいる。


『お○ぱい! お○ぱい!……』 


 ……いや待て、俺。

 成り行き上、クリスとシャルを助けたのは仕方なかった。

 アンジェを助けたのも、成り行きだ。

 そしてクリスやシャルとパーテイをくんだのは、ダンジョン攻略という方法が使えるから。

 アンジェを引き入れたのは、戦力になると判断したからからだ。


 そう、パーティを組んでいるのは、あくまで俺自身に都合がいいから。

 それだけだ。


 そして俺自身の都合としては、あまり人間関係を作らない方がいい。

 下手にこじれてパーティ解散なんてことになると、予定が一気に狂ってしまう。

 人間関係のおかげで、俺が身動き取れなくなるなんて事態が生じるかもしれない。


 そう、ここはあくまで、同じパーティの冒険者にとどめた方がいい。

 だから俺は、健全な青少年男子的には血涙を流しながら、そんな内面を見せずにゲームのキャラクターっぽい口調で、こう告げる。


「気にしなくていい。俺も単独より3人がいてくれた方が、テオトゥラ中央学園を目指すのが楽になる」


「私には魅力がないですか?」


 いや違う!

 魅力があるからこそ、自制しているんだ!

 なんてことはここでは言わず、代わりにこう告げる。


「クリスは十分魅力的だ。それは俺が保証する」


 我ながらなんという言葉を吐いているんだと思うけれど、他に適当な言葉を思いつかないから仕方ない。

 ここで下手に言葉につまるよりはましだろう。

 そう感じるし。


「……まあ、それはそれとして。ありがとうございます。それでは申し訳ありませんけれど、この先もよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしく頼む」


 何かどこかで、選択肢を間違えた気がする。

 それがどこかはわからない。

 冷静に検討する頭のリソースもない。

 煩悩が暴走しているから。



※ ジョルジュ長岡

  いにしえのネットに棲息していたA(アスキー)A(アート)キャラクター。進藤颯人君の世代を考えると、少々古すぎる。しかし家が厳しすぎた颯人君にとって、娯楽は(動画が見られないから)文字主体のネットしかなかった結果、知っていた模様。

  どんなキャラクターかは、各自検索のこと。

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