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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第5章 追加戦力

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第25話 質疑応答(1)

 その後、やはりアンジェに案内して貰って、宿へと向かう。

 しかしその途中で、とんでもないことが決まってしまった。

 これはアンジェが歩きながら、こんな事を言ったのがきっかけだ。


「希望通りの宿なら快適(コモドス)亭ですが、そこそこお高いのです。一人部屋でも確か、1泊正銀貨1枚(1万円)以上するはずなのです。なので私はお安いところに泊まって、明日朝来るのです」


 いや、それは個人的に好きな考え方じゃない。 


「お試し期間とはいえ同じパーティなんだから、同じ宿でいいだろう。何なら俺が一人部屋なんだから、全員一人部屋でも問題ない」


 今日はそれなりに魔物を倒しまくった上、例のパーティの死亡報告の分もあって、合計正銀貨4枚(4万円)と小銀貨6枚(6千円)、正銅貨3枚(300円)程稼いだ。

 だから1人1部屋でも問題ない。

 そう思ったところで、今度はクリスがこんなことを言う。


「私とシャルは同じ部屋でいいです。ですので一人部屋2つと二人部屋1つでいいでしょう」


「それは申し訳ないのですよ。それなら私は、安い宿に泊まって、翌朝こっちに来るのです」


 そんな感じで話が揉めたところで。


「なら全員で一部屋なら、平等で問題ない」


 シャルのそんな意見が、通ってしまったのである。


「男女一緒の部屋はまずいだろう。何なら俺は追加料金を払うから」


 俺はすぐに、そう抵抗した。

 しかしシャルに、すぐに言い返された。


「冒険者なら、同じ天幕で野宿は普通。それを思えば問題ない」


 そしてクリスとアンジェが、頷いてしまったのだ。


「確かにその方が、宿代の節約になりますね。話もしやすいでしょう」


「それは確かなのです」


 本当にいいのだろうか、それで。

 3人とも、改めて見てみると、それなりに可愛かったり綺麗だったりするのに。

 アンジェもクリスの洗浄魔法で、今はさっぱりした美少女という感じになっているし。

 

 ただこれ以上抵抗すると、逆に変な思いを抱いているようにとられてしまうかもしれない。

 ここは潔く諦めた方がいいだろう。

 

 なんとしてでも、次は個室を確保しよう。

 というのはまあ、置いておいて。


 ただ幸い、宿には四人部屋はなかった。


「五人部屋を4人で使うか、一人部屋、二人部屋、三人部屋のどれかを組み合わせて使う形になります。お値段はそれぞれ……」


 これで無事、俺は一人部屋になれるだろうか。

 一瞬そう期待したのだ。

 しかしお値段がそれぞれ、こんな感じだ。


 ○ 一人部屋 1泊正銀貨2枚(2万円)

   3泊で正銀貨5枚(5万円)

 ○ 二人部屋 1泊正銀貨2枚(2万円)と小銀貨4枚(4千円)

   3泊で正銀貨6枚(6万円)

 ○ 三人部屋 1泊正銀貨2枚(2万円)と小銀貨7枚(7千円)

   3泊で正銀貨6枚(6万円)と小銀貨7枚(7千円)

 ○ 五人部屋 1泊正銀貨3枚(3万円)と小銀貨1枚(1千円)

   3泊で正銀貨7枚(7万円)と小銀貨7枚(7千円)


 それでも一応、一人部屋を推して見る。


「四人部屋は無いし、やっぱり一人部屋4つにしないか?」


「一人部屋を1つでも、思っていたのの倍額だったのです。そんな高い部屋を4部屋も取るなんで、神も恐れない行為だと思うのです」 


「この値段なら、やっぱり五人部屋」


「そうですね。五人部屋を1部屋がいいでしょう」


 ということで、あっさり五人部屋に決定。

 俺の希望は、儚く潰えた。


 ただ案内して貰った部屋を見て、少しだけ気分が軽くなった。

 5台のベッドが並んではいるけれど、ベッドとベッドの間に人が歩ける位の空間があって、かつベッドごとにカーテンで仕切れる様になっていたのだ。

 つまりカーテンで囲ってしまえば、一応は個室もどきになる。


 なおこの部屋、他には6人くらいで囲める、簡単な応接セットと、2人分の机があるというつくりだ。

 俺の日本人的な感覚では、そう豪華には見えない・

 ただそれでもお値段が高い理由は、攻略Webにあった解説を読んで知っている。

 

 この程度でもお値段がそこそこ高めなのは、

 ① 街の中心近くの安全な場所にあって

 ② 部屋の鍵がしっかりしていて

 ③ トイレが室内にあること

が理由。

 つまり全ては、安全対策みたいなものだ。


 トイレが安全対策というのは、共同トイレに出た場合、トイレや廊下などの共用部分で襲われる可能性があるから。

 このクラスの宿はそんな事がない様に、一応は館内専用の警備員がいるそうだけれど。

 なんというか、日本では考えられない治安だなと感じる。


 さて、俺は部屋に入って室内を確認した後、問答無用で端のベッドを確保。


「悪い。今日は少し疲れたから、休ませてもらう。夕食は勝手に食べに行くから、明日の朝まで気にせず放置していてくれ」


 そう宣言して自分のベッドの周囲のカーテンを引っ張って個室状態にして、服や装備を含めて全てに洗浄魔法をかけた後。

 下着以外のものを全て収納に入れて、ベッドに横になったのだった。


 いや実際、疲れていたのだ。

 他人と会話なんていう、慣れない作業をやりまくったから。

 魔法も何気にガンガン使ったし、疲れているのは当然だろう。

 ということで、おやすみなさい……


 ◇◇◇


 早く寝ると、早く目が覚める。

 ということで、目が覚めたら真っ暗だった。

 何時かはわからないが、まだ夜中の様だ。

 

 この世界は常夜灯なんて便利なものは、一般の宿にはついていない。

 透明な窓ガラスなんてものも、この世界では一般的じゃない。

 窓についているのは、木製の雨戸っぽいものだけ。


 昼間は明かり取りと通風のため、この雨戸は開けてある。

 しかし夜間は安全のため、この雨戸を閉めているのが普通。

 だから真っ暗なのは仕方ない。


 俺は暗視魔法は、まだ使えない。

 灯火魔法は使えるけれど、他の3人が寝ているのを起こしたら申し訳ない。

 というか3人とも寝ているのだろうか。


 横になったまま、3人の魔力を確認。

 すぐ横、その隣、その隣に魔力を確認。

 せっかく5人部屋で5台ベッドがあるのだから、男女で間を開けて欲しかった。

 夜でベッドで隣に女子が寝ているなんて、もうエロい妄想しない方がおかしい。


 なんて考えた次の瞬間、俺は気づいた。

 すぐ隣のベッドのクリスの魔力、これは起きている時の魔力だと。

 

 このまま寝たふりをした方がいいだろうか。

 そう思ったところで、クリスの声が聞こえた。


「フォルティさん、起きましたでしょうか?」


 気づかれた。

 クリスは元々魔法を使えたし、魔力をみて起きているかどうかくらいわかるだろう。

 ごまかしはきかない。

 ということで、俺は仕方なく返答する。


「ああ。早く寝たからな」


「まずは質問です。フォルティさんは自分が何者なのか、明らかにしたくない。そう考えていいでしょうか」


 いきなり厳しい質問がきた。

 でも既にクリスやシャルには、普通の冒険者と違う魔法や知識を、これでもかという位に見せてしまっている。

 そして会ってすぐの頃、かなり怪しい説明をした記憶もある。


 だから今の質問を否定するのは難しい。

 ということで、ここは素直にこう返答。


「ああ。その通りだ」


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