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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第5章 追加戦力

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第24話 勧誘と説明

 「ならあとの問題は、アンジェさんが私たちと一緒にこの街を離れたり、国外に出たりしても大丈夫かです」


 うんうん、クリスがうまく引き継いでくれた。

 ゲームのキャラクターをイメージすれば結構話せるのだけれど、慣れない方向に頭を使うので疲れる。

 だから本当は、会話は最小限にしたいのだ。

 

「私の方は、何処へでも行って構わないのです。親にすら、こんな国は機会があったら脱出しろと言われているのです。そして出来れば国外で成功して、妹たちだけでもいいから呼び寄せてくれと。冒険者になったのは、他に簡単になれる職業がなかったからだけではなく、国を脱出しやすい職業だったからなのです」


 なるほど。

 そう思ったけれど、アンジェの言葉はまだまだ続いている。


「しかし本当に私が一緒でいいのですか。正直なところ、私が出来るのは何種類かの薬草を見分けるのと、乾燥させたり刻んだり水に浸けたりして、材料として使いやすい様に加工することだけなのです。薬師なんて技能も知識も全く無いのは、私自身が一番わかっているのです」


 残念、ここは俺が口を出す必要がある。

 ということで、必要事項を思い出して、それから口を開く。


「心配ない。何なら、お試しで一緒に活動してみればいい。明後日の夜までに、最低でも初級薬品(ポーション)が作れるようになるのを、俺が保証しよう」


 初級薬品(ポーション)とは、この世界では初級回復薬と初級魔力回復薬のことだ。

 初級、一般、中級、上級、特級とあるうち、一番簡単に作れるかわりに、効果はそれなり。

 見習い薬師程度の能力があれば作れるものの筈なのだが……


「えっ!」


「!」


「なっ!」


 アンジェ本人だけでなく、クリスとシャルも驚いている。

 そして次に口を開けたのは、アンジェではなくクリス。


「薬品(ポーション)は初級であっても、魔道学園で1年は勉強や実習をしないと、作れないと聞いています」

 

 この国では魔道学園1年終了で、見習い薬師レベルになる。

 その上の一般薬品(ポーション)が作れるようになるのは、2年終了くらいから。

 ただし俺は攻略Webで、あるクエストに出てくる人物が、これと似たような状況を説明した言葉を知っている。

 だから返答は簡単だ。


「悪いがマルド王国の魔道学園は、無駄な行事や授業が多すぎる。クリスはそう思わなかったか、今日1日でシャルが攻撃魔法を使える様になったのを見て。そういうことだ」


 ただ薬品(ポーション)の場合は、追加説明が必要かもしれない。

 こんな感じで。


「むろん薬品(ポーション)作成には幾つかの道具が必要だ。しかし迷宮(ダンジョン)を正しく攻略すれば、その程度の道具を準備する資金くらい、簡単に手に入る。だから心配はいらない。ということで、とりあえず初級薬品(ポーション)が作れるかどうか、明後日の夕方まで付き合ってみるのはどうだ?」


 アンジェは少しだけ考えた後。


「なら、よろしくお願いするのです。正直一緒に組んでもらえるだけで、十分以上にありがたいのです」


 そう言って頭を下げ、そしてまた口を開いた。


「ただひとつ、疑問なのです。このパーティは、年齢的にはクリスさんが一番上に見えるのです。ですがどう見ても、冒険者にやっとなれた程度の年齢に見えるフォルティが一番上で、知識も経験も多そうに見えるのです。ひょっとしてフォルティは、エルフか何かなのですか? 隠しているなら言わなくてもいいのですが」  

 

 しまった。

 確かにここまであれこれ言えば、とんでもなく知識を持っていることがバレバレだ。

 クリスやシャルは何も追及しないので、つい気にせずあれこれ言ってしまった。


 どう言い抜けすればいいのだろう。

 クリスやシャルには、今までどう説明していただろうか。

 何か適当にごまかして、あとはクリスやシャルが深く追及しないでくれているだけだった気がするけれど。


 うーん、ここは……

 こういうのはどうだろうか?


「エルフではない。ただあまり深く追及しないでくれ。上手い嘘をつくのは得意じゃない」


 もともとの俺なら絶対言わないが、ゲームのキャラクターならありだろう!

 と思っても、なかなか恥ずかしい台詞という気がする。

 しかしここは、シリアスに言い切らなければならない。

 表情きりっ! という感じで。


「わかったのです。どちらにせよ、知識が確かかどうかは3日経てばわかるのです。それにさっきも言ったとおり、一緒にパーティを組んでくれるだけでもありがたいのです」


 これで大丈夫だろう。

 そう思ったところで、料理がやってきた。

 ちょうどいいタイミングだ。


 なおメニューは、

 ○ ふかしたジャガイモ(ハーブ塩入りラード付)

 ○ 鳥肉香草焼き

 ○ 豆と野菜と鴨皮入りスープ

という代物。


 なお鶏肉ではなく鳥肉なのは、鶏ではなく鴨やアヒル系統の肉だから。

 この辺はそこそこ寒いから、米は出来ないし、パンなんて手間がかかるものも作れないから、主食はジャガイモ。

 貴族連中は小麦で作ったパンを食べているという設定だけれど。


 だが食べてみると、案外美味しい。

 ハーブ塩入ラードをつけて食べるジャガイモは、じゃがバターに似ているけれど、もっとパンチを感じる味。

 鳥肉香草焼きは塩とハーブだけのシンプルな味だが、そこがまたいい。

 スープは中華のチキンスープに似た味だけれど、具だくさんで案外いける。


 この国の経済情勢的には、これでも十分な方だろう。

 味は悪くないし、量もそれなりにある。

 ただ味のバリエーションは乏しそうだし、いずれパンとか米とか食べたくなるかもしれない。

 なんて思いながら、とりあえず思い切り食べる。

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