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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第5章 追加戦力

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第23話 追加戦力

 お昼を少し過ぎた時間だったからか、店はそこそこ空いていた。

 なので一番端の大テーブルに、無事4人で陣取る。


「何がおすすめ?」


「日替わり定食がいいと思うのです。その時々で安く仕入れられた食材で、たっぷりの量を出してくれるのです」


 ということで、日替わり定食を4人分注文。

 そしてすぐ、シャルがこう切り出す。


「フォルとクリスがよければ、アンジェを私たちのパーティに入れたい。駄目?」


 思い切り直球で、こんな話が出てしまった。

 本当は、これ以上人数を増やさない方がいい。

 人数が多くなるほど、経験値を配分する人数が増えて、結果的にレベルアップしにくくなる。


 それでもクリスやシャルとパーティを組んだのは、迷宮(ダンジョン)経由で攻略することが出来るから。

 あくまで俺が、効率よくレベルアップをして、C級冒険者になることが出来るからだ。

 クリスやシャルのためではなく、依頼されたからでもない。


 だから人数を増やすのは、難しい。

 せめて何か、経験値が減ることと引き換えになるようなプラスがないと、言い訳できない。

 いや言い訳ではない。

 俺のためにならない、というべきだろう。


 ただそれでも、このまま彼女を放置するのは……

 そう思ったところで。


「確かに私にとってはいい話なのですが、それはそれで申し訳ないのです」


 俺より先にアンジェが、そう切り出した。


「確かに私にとっては、安心して稼げる環境が出来るのです。ですが全員が魔法を使えるこのパーティと、せいぜい薬草を判別して素材にすることが出来る程度の私とは、残念ながら釣り合わないのです。間違いなくお荷物になるのです」


 えっ!?

 思わずアンジェに、こう聞き返す。


「薬草を素材に加工できるのか」


 アンジェは頷いた。 

 

「私のいた村は、薬草栽培が主な産業なのです。だから一応、薬草を出荷用に素材にすることは出来るのです。

 元々は普通に芋や豆、野菜を作っていたのですが、薬草の方が金になると領主の命令で作物を変えさせられたのです。おかげで急に税金を取られたら、食べるものがなくなったのです。だから私は冒険者になったのです」


 思わずその領主に、審判魔法をかけに行きたくなる。

 しかし悪いのは、領主だけではあるまい。

 国王が更に上納金というか国税を上げたとか、国から商人が逃げつつある中、商品価値がある物を増やす必要に迫られたとか。

 それなりの理由があるのだろう。

 

 だから今、重要なのは、領主が悪いということではなく、アンジェが薬草の素材化が出来るという点だ。

 ゲームの『パルティカ』で、最初の職業に生産系の薬師を選ぶと、初期スキルに『薬草の知識』が手に入る。

 この『薬草の知識』は、まさにアンジェが言っていた『薬草を判別して素材にする』スキルだ。


 ならアンジェは、

 ① プレイヤーが生産系の薬師を選んだ場合と同等のスキル持ちで

 ② レベルアップさせると、割と簡単に薬師になり

 ③ 更に錬金術師などに成長する可能性が高い

掘り出し物の人材という可能性が高い。


 ゲームの『パルティカ』では、薬師は戦闘でも活躍する、なかなか強力な職業だ。

 武器を使っての直接攻撃は不向きだが、レベルが上がると爆薬だの催涙剤だの危険な薬? を作りまくって、ガンガンと戦闘を補助してくれる。


 更に錬金術師となると、攻撃に回復、補助と、万能に近い戦闘能力を持つ他、そこら辺の薬草等から高価な薬品をガンガン作って儲ける事が可能な、便利でチートなキャラクターになる。

 是非ともパーティに入れた方がいいだろう。

 ということで例によって、ゲームの主人公を意識して文章を組み立て、口を開く。


「俺としては、アンジェに仲間になって貰った方がいいと思う」


 シャルの表情が、ぱっと明るくなった。

 でも俺は、シャルのためにそう言ったわけじゃない。

 あくまで俺の利益になるから、そう言ったまでだ。

 それでは説明に移ろう。


「薬草を自分で取り扱える者は貴重だ。確かに当初は戦力としては弱いかもしれない。それでもすぐ、有用な能力を身につけるだろうと俺はみている。シャルが今日だけで攻撃魔法が使える様になったのと同じだ。シャルは元々魔法の知識をクリスに教わっていた。だからある程度の戦闘経験を積むだけで、攻撃魔法を使える様になった。

 アンジェもおそらく同じだろう。ただアンジェの場合は魔法ではない。調合のような、薬師としての知識を自然と理解していくはずだ。

 さて、クリスと、アンジェ本人の意見が聞きたい」


 クリスが頷いた。


「フォルティがそう判断するなら、一緒のパーティとして行動した方がいいのでしょう。ですが私たちは、最終的にはハボロネ聖公国のテオトゥラ中央学園を目指しています。ですのでアンジェさんがこの国を出たくなければ、国を出るところで別れることになります。

 現在15歳ですと、仮に国を出て聖公国へ行ったとしても、テオトゥラ中央学園への入学は出来ないでしょう。ですので一緒にパーティを組んでも、いずれアンジェさんと別れることになります」


 確かにテオトゥラ中央学園は、15歳を超えると通常の入学は出来ない。

 しかし幾つかの抜け道がある。

 クリスが気づいていない様だから、ここは俺が説明するしかない。


「15歳を過ぎていても、編入という形なら可能だ。クリスがマルド王国魔道学園の成績証明を使って編入するのと同じ様に。アンジェは薬師の更なる上級資格である、錬金術師を取ればいい。冒険者C級より若干難しいが、錬金術師持ちなら、中央学園の3年次以降に編入可能だ」


 そう、問題ない。

 その攻略方法も、俺は攻略サイトを見て知っている。

 今の俺のような戦闘系のキャラクターでは使えない攻略だから、今まで考えなかっただけで。


 ただ薬師を育成する場合、今までと少しだけ攻略方法が異なることになる。

 更に手間というか、行くべき場所ややらなければならない事も増える。

 それについても、ここで説明しておこう。


「ただ錬金術師を目指す場合、ここのカリミナス迷宮(ダンジョン)だけでは経験が足りない。上級薬品の材料となる鉱物や海産物が手に入る、南の内海沿いの街トリギアにあるレスアノル迷宮(ダンジョン)へ行く必要がある。それでも、来年の2月にテオトゥラ中央学園の入学申し込みをするには十分間に合う。そこは俺が保証しよう」

 

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