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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第5章 追加戦力

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第22話 聴取完了

 素材にならない魔物の場合、死骸から魔石を取り出すのは簡単だ。

 死骸を魔法で焼けば、燃えない魔石が残る。

 ということで、俺は回収したゴブリンとスライムを出して、火炎魔法を発動する。


 あっさり燃えて、骨と魔石が残った。

 魔石を魔法で収納すれば、魔石取り出し作業は終わり。

 武器として使用していた出来損ないのショートソードは金属素材として売れるから、収納したまま。

 角ウサギは毛皮と肉が素材として売れるので、死骸のままでいい。

 ということで、あとは移動するだけだ。


「出口近くまで、魔法で移動する」


 クリスやシャルは、そう疲れてはいないだろう。

 しかし保護した彼女は、結構疲れている様だ。

 だから魔法で移動するのがきっと正しい。


 そういう判断で、転移魔法を発動。

 あっさり石壁沿いの小道に出た。


「なっ!?」


「気にしなくていい。転移魔法だ」


 本当は、もう少し丁寧な説明をした方がいいのだろう。

 しかしぼっちだった俺は、会話は不得意科目。

 なのでゲームキャラっぽい口調で、最小限の説明にとどめたところ。


「そういえば、私をいきなり移動させたり、その後いきなり魔物のところに移動したのですね」


 どうやら自己解決した様だ。

 助かるなと思いつつ、説明を追加。


「そういうことだ。俺は転移魔法の他に、収納魔法、遠見魔法が使える」


 そんな話をしているうちに、迷宮(ダンジョン)の出口に到着。

 出る場合はゲートの手前、迷宮(ダンジョン)内部側の受付カウンターで受付をする必要がある。

 ここで確認してからゲートを開けて外に出すことで、『入ったけれど出てきていない者』を確認出来るというシステムだ。

 

 また、ここで倒した魔物の魔石や死骸を出して、報奨金を貰うことも出来る。

 そして迷宮(ダンジョン)内で発生した事件の報告についても、ここが窓口のはずだ。


 さて、ここで彼女の囮箱事案と、あの冒険者3人が死亡した件について、報告する必要がある。

 口下手な俺としては、クリスあたりに全部任せてしまいたいところだ。

 しかし遠見魔法で状況を把握したのは俺だから、俺自身が説明する必要がある。


 面倒だしやりたくないが、仕方ない。

 例によってゲームの主人公になったつもりで、対処するとしよう。


「お疲れ様でした。お帰りですか」


 そう言って会釈した受付嬢さんに、俺は告げる。


「そうだが、その前に提出物と報告事項がある。この彼女が装備を奪われた上、足を切られて動けなくなり、囮箱のエサにされていた。なお犯人の3人パーティはその後、全滅した。冒険者証や装備は俺が持ち帰ったが、中には彼女がそのパーティから奪われた物も含まれている様だ」


 受付嬢さんが、すっと表情を変える。


「わかりました。詳細について伺う必要があります。出口ゲートを出た場所でお待ちください。係員が参ります。あと迷宮(ダンジョン)を出る手続きをしますので、こちらで冒険者証を提出してください。中で倒した魔物がある場合は、お預かりして精算します」


 なるほど、分業体制ということか。

 確かにここであれこれ取り調べというのも、難しいだろう。

 この場所は、迷宮(ダンジョン)から出る者に対する受付に過ぎないし、他の冒険者が通る。

 時間がかかる事情聴取を行うには向かないだろう。

 今はまだ時間的に早いから、他の冒険者がいないけれど。


「わかった。では頼む。あとこっちの2人は俺と同パーティだ。功績も平等に配布で頼む」


 そう言いつつ俺たちは、それぞれ冒険者証を出す。


 ◇◇◇


 あれこれやって、ほぼ1時間経過した後。

 俺たちは何とか、事情聴取プラスαから解放された。

 正直、無茶苦茶疲れた。

 もう宿を取って、そのまま寝たいくらいに。


 しかし残念なことに、事情聴取プラスαのおかげで、あれこれとおまけがついてしまったのだ。

 そこを整理する必要がある。


「とりあえず、飯を食べながら話すとしよう。アンジェはどこかいい店を知っているか?」


「肉食亭(カルニボス)というお店があるのです。夜は酒を出すので入りにくいですが、この時間なら安くて量が多くて、お勧めなのです」


 囮箱の犠牲者になっていた女子冒険者は、アンジェという名前で15歳。

 見かけより年長だったというのは、まあ置いておいて。

 彼女が事情聴取の、最大のおまけだ。


 ◇◇◇


 食堂へ行く途中だの、食事をしながらだので話を聞いた結果、だいたい今までの状況とか背景とかが判明した。

 アンジェは1ヶ月前に近くの村にある実家を出て、シルケンゾーの街にやってきたそうだ。

 実家を出たのは、税金の臨時徴収のせいで、このままでは家族5人が食べていけなくなったから。

 最年長の彼女が、人減らしということで実家を離れたそうだ。


 しかし特に技能のない初心者の冒険者に出来る仕事など、そう多くはない。

 なので街門のすぐ外辺りで薬草を探すのをメインにして、ぎりぎりの生活をしていたとのこと。


 そうして何とかお金を貯めて、最小限の装備を調えて、でも迷宮(ダンジョン)はE級冒険者1人では入れてくれないから、しばらくはお預けかなと思ったところで。

 あの冒険者パーティに『一緒に行かないか』と薬草採取中に声をかけられて。

 これで迷宮(ダンジョン)に入れるし、薬草取りよりはお金が稼げるだろうと、一緒について行ってしまったそうだ。


 その後、魔物討伐で安全に稼げる場所があるということで、あの草地へ連れて行かれ、隊列で後ろを歩いていた戦士に足の腱を切られて。

 そこで悲鳴を上げたのを俺たちが聞いて、あとは体験した通りとなる。


 なおあの冒険者パーティは、冒険者ギルドによると、過去に2人未帰還者を出しているそうだ。

 いずれも新しく加わった新人で、おそらくは……ということらしい。


 このあたりの事情聴取は、俺もクリスもシャルも聞いていた。

 そして特にシャルが、アンジェに思い切り同情してしまった状態だったりする。


 ◇◇◇


 それ以外のおまけとは、冒険者級の変更だ。

 今回の事情聴取で、俺もクリスもシャルも、冒険者D級に昇格してしまった。


「攻撃魔法や治療回復魔法を実戦で使用出来る冒険者は、D級以上と認められます。ですので3名とも、ここでD級に昇格します」

 

 なお更なるおまけの文言もついている。


「転移魔法や収納魔法を使用可能なフォルティは、能力的にはC級以上でしょう。しかしC級に認定するには、基本的に実績が必要です。今回の救出事案だけでは、C級と認定することは出来ません。ですのでC級に昇格するには、実績を積み重ねた後に試験を受けるか、迷宮(ダンジョン)の第10階層へ到達する必要があります。このパーティでしたら、第10階層を目指した方が早いでしょう」


 つまり迷宮(ダンジョン)第10階層を目指すことを、冒険者ギルドから勧められてしまったわけだ。


 つまりこの後、食堂で行う予定の話し合いは、

  ○ アンジェは今後どうするか

  ○ 元の3人はD級になったけれど、この後もこの迷宮(ダンジョン)でC級を目指すか

という内容になる。

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