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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第4章 迷宮突入

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第19話 因果応報(1)

 東側の外壁沿いの小道まで戻った後、

 俺は前に収納したテーブルを出して、その上にミミックから収納した戦利品を並べて出した。


 難燃性の革鎧と、同じく難燃性のマント、そして銀色っぽい魔法杖が、それぞれ3つずつ。


 それでは説明をしておこう。


「あのミミックから出たのは、以上だ。剣士なら魔法杖でなく剣が、槍使いなら槍が出るらしい。どれもそこそこの性能はある筈だ。ただ煤けているから、宿に持ち帰って拭いてから使おう」


 俺に対しても魔法杖が出たということは、今のミミックというかシステムというかこの世界は、現時点では俺を魔法使い認定しているようだ。

 考えてみれば、まだ魔法でしか敵を倒していない。

 だから当然だろう。


 ただ『パルティカ』で作るつもりだったフォルティは、基本的には戦士のステータスで作っている。

 今は神の勇者として魔法も使えるけれど、それだけでは魔法が効きにくい敵に出遭った場合にまずい。

 だから今後は、ある程度武器を使った戦闘もやっておこう。

 もちろん余裕がある時に、だけれども。


 なんて思ったところで、クリスがこう返答する。


「大丈夫です。私は洗浄魔法を使えますから」


 クリス、実は結構魔法を使えるのではないだろうか。

 そういえばクリスは、マルド王(この)国では最難関の、マルド王国魔道学園の元学生だった。

 なら専門だった治療魔法以外に、有用な魔法が使えても不思議ではない。


「わかった。なら頼む。サイズは調整可能だから、ここでそれぞれ合わしていこう」


 ということで、革鎧とマントと魔法杖をクリスの魔法で洗浄した後、それぞれ合うように調整する。

 革鎧の各部を留める紐を結び直し、マントの折り返し部分を調節して長さを合わせて、だいたい30分程度でひととおりの装備を装着した。


「これで装備もひととおり揃ったし、魔法も身につけた。あとは言い訳として、セルジュ草とエルバ草を摘んでから帰ろう。この次に迷宮(ダンジョン)に入る時は、フル装備だから受付でも文句を言われないだろ……」


 言葉を止めたのは、悲鳴が聞こえた気がしたからだ。

 クリスとシャルに聞いてみようかと思ったところで。


「悲鳴、あっちです」


 クリスも、そして表情を見るにシャルも聞こえた様だ。


「わかった」


 遠視魔法で確認する。

 視点を探ると……まずい!

 とっさに転移魔法を発動。


 俺達の前に、足を怪我して倒れている少女が出現した。

 年齢は俺やシャルと同じくらい、つまり12歳くらいに見える。

 革鎧とマントという、駆け出し冒険者っぽい格好だ。


「なっ!?」


 彼女は、むちゃくちゃ驚いている。

 とりあえずここで何か、うまい言葉をかけるべきだろう。

 しかし俺は、気の利いた言葉なんて思いつけない。

 だからいつもどおり、ゲームのキャラクター的な台詞でごまかさせてもらう。


「心配するな。もう大丈夫だ」


 そう告げた後、クリスの方を向いて指示する。


「もしこの傷をなんとか出来るなら、治療魔法を頼む」


 ぱっと目にわかるのは、足首より少し上、後ろ側を切られていること。

 それ以上は俺にはわからない。


「わかりました。これくらいなら大丈夫です。ただ治療中は激痛が走るので、魔法で麻痺してもらいます」


 クリスの言葉とともに、助けた彼女がふっと倒れかけた。

 そんな彼女をクリスはさっと抱きかかえ、草むらの上に横にする。


 今の抱きかかえたところで、身体強化魔法を使っている気がする。

 どうやらクリス、攻撃魔法に自信がないだけで、かなり魔法を使える様だ。


「それでこの子は、どうしたのですか? 見たところ、槍か刀のような刃物で切られた傷に見えますけれど」


 クリス、気づいたようだ。

 確かに状況を説明した方がいい。

 ということで、なかなか胸糞悪い事案だが、説明することにしよう。

 まずは現況から。


「タチの悪いパーティに、魔物を呼び寄せるエサとして使われた様だ。今、遠見魔法で向こうの様子を確認している」


「えっ!?」


 これはシャルだ。

 遠見魔法で確認した状況と、『パルティカ』の基本情報をあわせて、シャルにもわかるように説明開始だ。


「魔物は襲いやすそうな人間、単独とか怪我をしている人間、もしくは人間の死体に、強く引きつけられる。だから怪我をして動けない単独の人間がいたら、すぐに付近の魔物が集まってくるわけだ」


 一方、俺が遠視魔法で見ている先では、男2人女1人のパーティが焦っている。

 魔物を一方的に引きつける筈だった彼女が、消えたからだ。

 一方、既に魔物はそこそこの数引きつけられている。

 今の所、角ウサギ5匹とゴブリン3匹、まだまだ近づいてきそうな気配だ。


 そこまで確認したところで、俺は説明の続きを口に出す。


「その性質を利用した、タチの悪い魔物討伐方法がある。囮箱と呼ばれる方法だ。具体的には、見通しのいい場所の真ん中に、動けない怪我人を放置して、魔法や矢が通るぎりぎりの距離に身を隠す。


 魔物でもアークゴブリン以上の上位種なら、近くにいる他の人間の存在に気づくだろう。しかし第一階層にはそんな高等な魔物は出ない。だから魔物は、わかりやすい放置された怪我人めがけて集まる」


 もうシャルは、話の内容に気づいている様だ。

 しかし説明は、最後まで続けるべきだろう。

 人間性的にかなり酷い内容ではある。

 でもこの世界ではそういうことがある、という知識は必要だから。


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