↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第2章 再び王都へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/38

第16話 シルケンゾー到着

 転移魔法を5回発動して、魔力の残りが半分くらいになったかなと思ったところで、俺達はシルケンゾーの街近くに到着した。

 最後の1kmは歩いて、街門で冒険者証を提示して、街の中へと入る。


「活気がある」


 シャルが言う通り、街に活気が感じられる。

 王都であるトラルテスコと比べると、背が高い建物は少ないし、建物そのものも石造りではなく焼土壁で安っぽい。

 しかし人も馬車も多く行き交っているし、ざわめきというか賑わいの気配を感じられる。


「まずは装備を調えて、冒険者ギルドでダンジョン講習を受けましょうか。フォルが依頼金を受け取らなかったので、装備を調える程度のお金はあります」


 クリスの発言は、冒険者として正しい。

 この街には、カリミナス迷宮(ダンジョン)がある。

 だから冒険者装備の需要が多く、安いものからかなりいいものまで、そこそこ揃っている。

 つまり装備を揃えるのに適した場所ということだ。


 それに冒険者の装備は、命綱のようなもの。

 だから少しでもいい装備を揃えておくのは、間違いなく正しい。


 そして講習を受けるのも、間違いなく正しいだろう。

 迷宮(ダンジョン)内では知識の有無が生死を分ける、なんて場合も往々にしてあるから。

 しかし俺の攻略知識を使う場合は、話は別だ。


「クリスが言っていることは正しい。しかしここは俺に任せてくれ。上手くいけば、金も時間も大幅に節約できる。だからこのまま、カリミナス迷宮(ダンジョン)に向かおう」


「失敗したら危険な目に遭う、ということはないですか」


 大丈夫、危ない状況にはならない。

 何せ今回向かうのは、『パルティカ』のチュートリアルで使う場所のひとつ。

 最低レベルの冒険者であっても、問題ない場所だ。


「失敗した場合でも、危険なことはない。迷宮(ダンジョン)に寄り道した時間が無駄になる程度だ」


「わかりました」


 クリスだけでなく、シャルも頷いた。

 どうやら俺の知識を信用して貰えた模様。

 ということで、まっすぐ街の中心にあるカリミナス迷宮(ダンジョン)の入口へ。


 迷宮(ダンジョン)の入口部分には頑丈そうな石造りの小屋があって、中に入ると大きめの受付窓口と、魔法開閉式の門がある。

 この受付で正規に受付しないと迷宮(ダンジョン)に入れないという仕組みだ。


 幸い受付は空いている。

 朝一番の入場ラッシュが終わった後だからだろう。

 ということで受付カウンターへ行って、冒険者証を見せる。


「E級冒険者、3名です」


 受付嬢さんは俺たちの冒険者証と外見をさっと見た後、無表情で口を開いた。


「記録によると3人とも、この迷宮(ダンジョン)は初めてのようです。それにE級冒険者でその装備では、危険と判断します。せめて装備を調えて、出来れば冒険者ギルドで迷宮(ダンジョン)講習を受けてから挑戦することをお勧めします」


 ここで危険と判断されると、中に入れて貰えない。

 ここの受付嬢さん達には、冒険者ギルドの職員として、明らかに実力不足と認められる者の立ち入りを拒否する権限がある。


 そして俺たちは平服だし、武器すら所持していない。

 だから立ち入りを拒否しようとするのは、ごく当然だ。

 しかし平服のE級冒険者だろうと、正しい知識を持っていれば通して貰えるのだ。


 ゲーム『パルティカ』でマルド王国がスタート地点だった場合、先輩冒険者に連れられて、この受付を通ることになる。

 その時の台詞というか言い訳を、俺は知っている。


「今日は迷宮(ダンジョン)のお試しで、東側を外壁に沿って行って、東南角付近にあるセルジュ草とエルバ草の採取に行くつもりです。他には寄らず、採取だけしたら帰ってきます」


「わかりました。気をつけて行ってきてくださいね」


 あっさり態度を変えて、ゲートを開いてくれた。


「ありがとうございます」


 どうやらここでも、『パルティカ』の攻略情報は使える様だ。

 そう思いつつ、開けてくれた門を通って中へ。

 門の内側にある受付の横を通り、階層移動用の小部屋はまだ使えないから入らず、出口っぽい扉から迷宮(ダンジョン)の第一階層へ。


 第一階層は、石壁に囲われた森といった雰囲気の場所だ。

 正面に幅2m程度の道があるけれど、俺達は左側の、石壁沿いにある獣道っぽい小道に入る。

 少し歩いてから、クリスが俺に尋ねた。


「先程の東側を外壁に沿ってというのは、どういう意味があるのでしょうか」


 確かに、ここに来たばかりの一般人は知らないだろう。

 秘密にするほどのことでもないから、説明しておこう。


「カリミナス(この)迷宮(ダンジョン)には、魔物が発生しないし近づかない場所がいくつかある。東側の壁沿いと、その先にある広場はそのひとつだ。そこで薬草を摘んで戻ってくる分には、魔物に襲われることはないし、罠の危険もない」


「幾つかの避難所的な安全地帯があることは聞いています。ですがそんな通路があるのは、初耳です」


 まあそれが普通だろう。

 だから俺は頷きつつ、説明を続ける。


「通路と言うか、壁際にある獣道的な場所だがな。冒険者ギルドも把握している。ここの迷宮(ダンジョン)講習で『第一階層東側で非常事態に襲われた際は、とにかく東側の壁に向けて走れ』と教えているくらいだ。ただこれは、厳密には正しくないんだが」


「どう正しくないのでしょうか」


「大体の迷宮(ダンジョン)は、魔物が出現する場所と徘徊する場所が決まっている。そこ以外では魔物に遭わない。魔物に追いかけられている時は別、って場合もあるが、そういった魔物すら入ってこれない場所もある。冒険者ギルドの講習では、そこまで厳密には教えない」


 魔物がポップする場所、徘徊する場所は、各迷宮(ダンジョン)ごとに決まっている。

 これらの場所を外せば、魔物に追いかけられ(をトレインし)た冒険者がやってこない限り、魔物に出遭うことはない。


 更にそういった場合であっても、魔物が入って来ることが出来ない場所も存在する。

 そのひとつで、冒険者ギルドでも把握している場所のひとつが、第一階層の東の壁直近というわけだ。


 なおゲームの『パルティカ』では、テオトゥラ中央学園の図書館にある本で、こういった説明を読めることになっている。

 まあチュートリアルに便利な場所が各迷宮(ダンジョン)にある、制作側の言い訳みたいなものかもしれないけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。