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審判魔法は偽らない  作者: 於田縫紀
第2章 再び王都へ

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第15話 準備完了

 なんやかんや話した結果、今後についてはこんな形でまとまった。

 ○ 3人で冒険者登録をして、シルケンゾーの街へ行く

 ○ とりあえずはその後、D級になるまではシルケンゾーの街でカリミナス迷宮(ダンジョン)に通う

 ○ その後どうするかは、D級になった後に考えるが、いずれはテオトゥラ中央学園へと向かう

 ○ あくまで対等なパーティの一員だから、依頼料などはなし


 つまり迷宮(ダンジョン)で目指すのを、C級にするかD級にするか決めるのは後回し。

 しかしそれ以外は、俺の意見が通った形になる。

 ただし少しばかり気恥ずかしいというか、俺らしくないオプションがついてしまった。


「それでは、よろしくお願いします。なお以降、私とシャルロットのことは、クリス、シャルと略称で呼んでください。シャルと私もそう呼び合っていますから」


 女子の名前を愛称で、敬称なしで呼ぶなんてのは、ぼっちだった俺にとってなかなかハードルが高い。

 しかしここで断るというのは、現在の話の流れ上、まずい気がする。


 ここは進藤(しんどう)颯人(はやと)ではなく、フォルティというキャラクターを演じることで乗り切ろう。

 そしてこういう場合、ゲーム『パルティカ』上のキャラクターであるフォルティなら、どう反応するべきだろう。

 思いついた台詞を、フォルティらしい態度で口に出す。


「なら俺もフォルでいい」


 特に感情を出すことなく、素っ気なく言うのがフォルティらしいだろう。

 あとついでだから、今まで気になっていたけれど聞けなかったことについて聞いておこう。


「ところでクリスとシャルは、どういう関係なんだ」


 シャルはあの商家の娘だろうと思う。

 そしてクリスは、シャルのお付きというか、家庭教師的な存在だろうと予想している。

 ただ確かめたわけじゃないから、本当のところはわからない。

 なので今の悪くない雰囲気の間に、確かめておこうと思ったのだ。


「私はヴァルテ家に住み込みの使用人で、シャルの補佐兼家庭教師です。テオトゥラ中央学園に入るまでの間、勉強や魔法を教えるとともに、シャルがヴァルテ家の業務を行う際の、補佐と助言役をしていました」


 その辺も微妙な気がする。

 補佐を兼ねるには若すぎるし、家庭教師というには近すぎるし、住み込みの使用人という感じではない気がするのだ。

 クリスの説明は、続いている。


「元々私の家は騎士侯だったのですが、2年前に発生した魔物の大量出現(スタンピード)で、領地だったシルル村ごと家がなくなりました。路頭に迷ったところを父の知人であったシャルの父に拾われ、シャルの家庭教師兼補佐として雇っていただいた形です」


 しまった! 辛そうな事を思い出させてしまった。

 クリスは特に感情を込めることなく淡々と説明しているけれど、ここは謝っておいた方がいいだろう。


「悪かった」


 何故悪かったかは、付け加えない。

 そこで理由を説明すると、余計に過去に触れることになるだろうから。

 これ以上どう言えばいいのかわからない、というのも大きな理由だが。


「いえ、確かに説明しないとわからないでしょう。でもこういう状況ですので、他に頼ることが出来ません。ですのでよろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


 シャルもクリスとともに頭を下げる。

 だから俺もこう言いつつ、頭を下げておく。


「こちらこそ、よろしく頼む」


 さて、重い話をあまり続けると、精神衛生上良くない気がする。

 だからここで、話題を変えておこう。


「ところで少し早いが、下の食堂で飯を食べないか。何なら軽くつまむくらいでいい。昼を食べる暇がなかったから、腹が減った」


 ◇◇◇


 翌日の朝、起きて朝食を食べた後。


「この街の冒険者ギルドで、冒険者登録をしておいた方がいいと思います。シルケンゾーの冒険者ギルドはカリミナス迷宮(ダンジョン)があるせいで、かなりガラが悪いと聞いていますから」


 ということで冒険者ギルドに立ち寄り、3人とも登録。

 なお俺の出身地は、クリスの家があったシルル村にした。

 滅亡した村だから、いざ調べられても情報が確認出来ないだろう。

 そんな理由である。


 あっさり登録が終わって、一応依頼掲示板を見て、薬草や魔物討伐などの常時受付依頼を一通り確認した後。


 村を出て、周囲が林で人の気配がなくなったところで。


「それでは、転移魔法でシルケンゾーへ向かおう」


「お願いします」


 シャルも頷いたのを確認して、俺は転移魔法を発動させる。

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