第八話「休日の模索」
今日も今日とて佐圓乃子はこうえ...ん...に..?
居なかった――。
そう、今日は休日。
子供たちは公園に遊びに来るが、そこには大人たちもまた目を光らせている日。
そんな中でいつもの雑学披露なんてことをしてしまえば圧倒的に不審者判定...。
佐圓はそこまで考えて土日は家で披露するための雑学を考えていたのだった――。
そんな休日の佐圓の一幕を覗いてみよう...。
「どんな雑学があるかな...。」
佐圓はスマホを手に取り様々なサイトを閲覧し次に披露する雑学を模索する。
「雑学 面白い」
安易な検索。
その中で自身が惹かれた物を題材に考える...。
クジラとイルカの違いも実は「大きさ」だけ。
世界最速のジェットコースターは時速240km。
バスケットボールは昔50人対50人でやっていた....。
「う~ん...どれも体験できないし、実感が湧かないなぁ...。」
そう、もう一つ大切にしていることがある...。
それは、自身でもある程度体験して凄さがわかるもの....。
というよりも、最近になってようやく理解してきたのだ、子供が興味を引くものの傾向というものを――。
「なんか、もっと身近なやつが良いよね~...っと」
そうやって独り言を話しながらスマホの画面をスクロールしていくと目に飛び込んできたもの...。
それは、"メロンソーダの多くはメロン味ではない"だった。
「これいいじゃん!メロンソーダは私も好きだし!」
そして、もっと深彫りするためにそのタイトルをそのままコピー&ペーストし、そのままAIに流す。
数秒も経たないうちにAIからの返信は帰って来た。
――――――
メロンソーダの多くは、果汁を使用せず、香料、酸味料、そして緑色の着色料(黄色4号と青色1号の混合など)で風味を再現しているため、実際のメロンの味とは異なります。懐かしい清涼感のある甘さが特徴で、カフェのドリンクバーやメロンクリームソーダとして愛されています。
主な理由は以下の通りです。
原料: 多くの製品は無果汁であり、メロンの果汁を使わずに作られています。
再現技術: 香料、クエン酸、リンゴ酸などを使い、メロン風の甘い香りと酸味を作り出しています。
視覚効果: 鮮やかな緑色が特徴で、見た目の涼しさや可愛らしさで人気があります。
――――――
至極、解りやすく明快な返答。
「おぉ!ってことは目を瞑っていろんなジュース飲んだらメロンソーダってわからないのでは?」
佐圓はそれをそのままAIに流し入れる。
――――――
実は、鼻をつまんで目を閉じると、判別するのはかなり難しくなります。
私たちが「メロンの味」だと思っているものの正体は、実は舌で感じる味(甘味や酸味)ではなく、鼻に抜ける「香料の香り」だからです。
なぜわからなくなるのか?無果汁のジュース(メロン、イチゴ、レモンなど)は、実はベースとなる成分(糖分、酸味料)がほとんど同じです。
視覚(緑色):脳が「これはメロンだ」と思い込む。
嗅覚(メロン香料):香りが加わって初めて「メロン味」として認識される。
そのため、目隠しに加えて「鼻をつまむ」と、多くの人がメロンソーダと他のフルーツソーダを区別できなくなると言われています。
――――――
「なるほど...鼻をつまんでやると判別が難しいのか...っていうかワンちゃんお家で作れるのかな...。」
佐圓はそれもまたそのままAIに聞く。
――――――
あの「喫茶店のメロンソーダ」の味は、お家にあるものや市販の材料で意外と簡単に再現できます。
「あの味」を再現する(無果汁スタイル)喫茶店で出てくるような懐かしい味は、実は「メロン」を分析して作られたわけではなく、「甘み・酸味・緑色」の組み合わせで作られています。
一番簡単な方法:市販のメロンかき氷シロップを炭酸水で割るのが最も確実です。
黄金比:シロップ 1:炭酸水 3〜4 の割合で混ぜます。
隠し味:少しだけレモン汁を加えると、市販のメロンソーダ特有の爽やかな後味に近づきます。
色を再現する:食用色素(黄4号と青1号)を混ぜて、あの独特なエメラルドグリーンを作ります。
――――――
「え、シロップで再現できるんだ!ちょっと買ってくるか...」
そう、佐圓の雑学作りはまだまだこれからであり、気になったものは一度試してみるという工程があるのだ。
いくつか試さずに披露しているものもあるらしい...が...。
そうして佐圓は近くのスーパーへと買い物に出かけた。
出掛ける時は知ってる顔の子供達にたまたま出会わないかとか、知り合いに遭遇しないかとか、そういう事を考えながら帽子とサングラスとマスクを装着し、逆に目立つ格好で外出をしている。
だが、佐圓は本人は目立っているという自覚がないらしい....。
ただ...時々....。
「あの~。ちょっとよろしいでしょうか?」
警察に職務質問をされてしまう時がある...。
「あ、え...っと何もしてないです!!」
佐圓はマスクと服の下をびっしゃりと濡らしながら声を掛けてきた警察へと身の潔白を言い放つ。
その警察は急な大声に身を少し引くと続けて話をした。
「えっと...最近ですね、近くで空き巣がありまして...それの調査をしているんですけど...良ければ...その...サングラスとか少し外して頂けると幸いなのですが...。」
警察は至極申し訳なさそうな声で話した。
佐圓は『丁寧な警察も居たものだな』と感じていたが、警察側は何か違うことに様子を伺っている様だった....。
「こ、この格好もしかして怪しいですか...?私はやってないので外しますね...?」
佐圓は『濡れ衣だけは嫌だ』と思いつつもその身に着けていた怪しいセットを外した。
すると、その中から出てきた顔を見るや否や警察の顔が少し明るくなった。
「やっぱり!佐圓さんですよね!私です、覚えてますか?○×交番の塚間です!ほら、公園での」
塚間は佐圓がやんちゃして腰をやった時に出会った警察。
そして、その塚間は佐圓の立ち振る舞いを見て佐圓だということを見抜いていたのだ。
「うぇ!?あ、あの時の!?あ、と....お世話になりました...。」
佐圓としては良い思い出ではない。
塚間としては"面白い人"という認識らしい。
「腰、もう大丈夫ですか?あれから特に通報は入ってないので大丈夫だとは思いますが、あまり変なことはしないで下さいね。」
邂逅からの注意。
佐圓はあの時と同じように顔を真っ赤にしていた。
「は、はい....すみません...。腰は...大丈夫です...。」
塚間はそれを聞いてにっこりと笑う。
「それならよかったです!とりあえず、先ほど言ったように空き巣があったので、あんまりややこしい格好をしないのと、ご自身も戸締りしっかりとお願いしますね。逆に、怪しい人を見かけたら交番まで連絡してください!」
ひとしきり注意を促すと、「では」と言ってその場を離れていった。
佐圓は"今の格好が怪しい"という事実と"知り合いに出会ってしまった"というダブルパンチを受けたまま買い物を済ませてそのまま家へと直帰した。
家に帰ると佐圓は「気を取り直して」と呟いて買ってきたものを机の上に並べた。
炭酸水二本、かき氷シロップ三種類、レモン汁、お菓子...。
楽しむ気満々なセットだった。
佐圓としては『かき氷シロップでメロンソーダ作れるなら他のジュースも作れるのではないか?』と考えていたのだった。
そうして3つほどグラスを用意してそれぞれを炭酸水で割っていく..。
見た目はほぼ喫茶店やカラオケ店で出てくるようなメロンソーダだった。
他にはブルーハワイとレモンも一緒に割る。
ぱっと見は色鮮やかで美味しそうな飲み物といった印象。
レモン汁をそれぞれ少し垂らし、マドラーでかき混ぜてから口へと運んでいく。
「こ...これはほぼほぼメロンソーダ!!」
驚くほどに味が似ていた。
そしてその他も少しづつ試飲する。
「案外どれもおいしい!!これ、シロップいっぱいあるし、炭酸水安いから普通にジュース買うより安上がりでは!?」
そういいながらぐびぐびと飲んでいく。
が、三杯分を飲んだところで手が止まった。
「あ...甘い...甘ったるい...。」
そう、所詮はシロップを炭酸水で割っただけ、至極甘ったるいのだ。
※実際にやるときは割合を調節する事をおすすめするよ。
「け...けどこれは話のネタになる....子供達も絶対にやりたくなる!!」
そうして、佐圓は子供達に話す話題を作ることに成功し、次の出勤日の時にまた話をするのだった――。
「少年達よ....。メロンソーダは好きか...?」
その話の結果としては、佐圓が立派に胸を張って鼻が伸びているというのを錯覚してしまうほど大盛況だったという...。
意外と美味しいから是非やってみてね。




