第四話「逃げろ佐圓」
ザッザッザッ.....。
子供達が佐圓から離れていく中、それとは別にこちらへと近づく人影があった...。
「戻って来たのか...少年...。本当はもっと私の話を聞きたかったんだな....。いいだろう続きを....」
「続きを聞かせてやろう...」そう言おうと"少年"の顔を見た瞬間、佐圓はありとあらゆる穴から水が吹きこぼれた。
そう、その人影は子供ではなく、会社の後輩の出来なのであった。
「先輩....。」
出来は目の前で起こっているその出来事に開いた口が塞がらなかった。
"直属の先輩が公園で変なことをしている"それは脳が理解を拒否したのであった。
「あ...えっとぉ~」
佐圓は思った。
『どっどどど!どうする!?なんでこんな事に!?ってかなんでいるの!?会社の帰り道から程遠い公園をわざわざ選んでるっていうのにッ!!!!』
そして、考えた。
『考えろぉぉ!今できる打開策は!?言い訳は!?!?佐圓ッ!一世一代の大勝負だぁぁぁ!!!』
考えに考えた結果。
普段使わない程に脳をフル回転させた結果――。
「ひ...」
「ひ?」
「ひ....」
「...ひ....?」
「ひ、人違いですぅぅぅッ!!!!!」
そう言いながらその場を全速力で離れ、解散して公園の外へ歩いて行く少年達をも抜き去っていく佐圓。
無理がある。
「せ、先輩ッ!それは流石に無理があります!!」
そういいながら出来も佐圓を追いかけ始める。
齢27の死力を尽して、佐圓は走った。
佐圓の頭は、からっぽだ。
何一つ考えていない。ただ、"この場にいたくない"と言う思いにひきずられて走った。
ボテンッ!!
「ぶべぇッ!!」
寸秒走ったところで佐圓は足を絡ませながら地面に這いつくばった。
理由は簡単だ、佐圓は絶賛腰の治療中である。
足を絡ませ、腰の痛みで立てなくなっている様は、傍から見れば命乞いをしている人と脅している人の構図である。
「ぎゃぁぁ!!私は私であって私じゃありません~!!」
佐圓は混乱している!
「せ、先輩やめてください...。近所迷惑ですし...。私何もしませんから...。」
出来にそう言われてハッと我に返り周りを見渡す。
そこには、白い目で見ている街の主婦やサラリーマンがいた。
「まま~あれなに~?」
「目を合わせちゃいけません。」
その恥ずかしさと悔しさで佐圓は真っ白になり、消えかけていた。
「あの...先輩。一回そこのカフェで話をしませんか...?」
佐圓はこくりと頷くと、とぼとぼと出来に支えられてカフェに入っていくのだった。
その姿はまるで、警察に連行された犯人のように....。
なんて情けない先輩なんだ...。




