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1章 6話 死闘

(ここ…どこだろう…駅…の…線路?

私…何でこんな所に居るの?

あっ…そうだ…魔物と戦っていたんだ…

それで……そうだ…魔物が赤から黒くなったんだ

あの魔物…Sマイナスだったんだ……

そこからは…わからない…思い出せない…)

意識を朦朧とさせながら氷雨は今さっき起こった事を思い出していた

氷雨は黒い魔物に攻撃され今は線路に転がってる

体の至るところからは血を流し

全身の骨と言う骨は折れている

生きているのが不思議なくらいの状態だった

(体は…動かない…言葉も)

「…………ヒュ……ァ……」

(出ない…意識も……今にも……

私……このまま…死ぬのかな?……嫌だな…

まだ…いっぱいやりたい事あるのに……

まだ……恋愛もしたこと……無いのに…

みんな……ごめんなさい……)

氷雨は声も出せずに涙だけ流した


『安心しろ、今止めを刺してやる』

突如氷雨の目の前に黒い魔物が現れた

魔物はどこからか剣を出して構える

(あぁ……やっぱりこの魔物にやられたんだ

私にもっと力があれば勝てたのかな?

そういえば……あのGランクの人は逃げられたかな?

いや…あの人は逃げないで戦ったんだろうな……

すごく弱いけど……ふふふ♪変な人だったな)

氷雨は護を思い出して笑みを浮かべた

(この魔物の事悪いやつじゃない!

とか言ってたな、ホントに変な人……

でも……真っ直ぐで優しい人だったな)

そして氷雨は目を閉じようとした……

その瞬間…魔物の背後に人影が見えたのだ

(あっGランクの人……)



『終わりだ』

魔物は氷雨の首を落とす一撃を放つ

一瞬で切り落とせる


はずだった…その声は突然聞こえた


《一時停止》


突如魔物の体は金縛りにでもあったかの様に動かなくなってしまった

『どう……言う……事だ!

なぜ…………体が動かない!』

魔物は困惑した

『女はもう死にかけで何も出来ない

何が?誰だ?…………まさか!?』

魔物が頭を無理矢理左に向けた

そこには鼻と口から大量の血を流している男

護が右手を魔物方に向けていた

そして何より異様なのは体から真っ黒なオーラを放っていた事だ

『お前……何だ…それは…何だその能力は…

まさか!お前……魔力を使ってるのか!

いや…違うな…何か違う…何だお前はなん…

『グアアアアアアアアアアアッ!』

突如魔物は命が削られる様な感覚に襲われ

身体中にとんでもない激痛が走る

『ガハッ!何だ今の痛みは…はぁ…はぁ…

なっ!?体が動く?どういう事だ…

何をした貴様!!私を騙していたのか!』

魔物はあまりの痛みに激怒し

その鋭い眼光で護を睨み付けた

「はぁ…はぁ…知らねえよ…ボケが…

ただ俺のゴミみたいな…はぁ…ガハッ!

はぁ…権能を使っただけだ…

良く分からないが…お前には良く…効くみたいだな」

護は口から血を吐きながら答えた


魔物を必死に追いかけ

そして魔物が氷雨を殺そうとした時に

自分でもわからない…何故か一時停止の権能を魔物に対して使っていたのだ

その瞬間とんでもない激痛に護は襲われた

まるで自分自身の能力を喰らったかのように


護の権能、標識の権能は召喚したその標識を車の運転手が違反したら固有技能

(限定懲罰空間)

対象に最大体力の1/6の固定ダメージを与える能力

対象は車を運転し違反した(人)だ

なのに何故か魔物に一時停止の能力が効いていた

(どういう事だ?俺の能力は人間の運転手にしか効果がない能力じゃないのか?)

護は不思議に思いながらも魔物の問いに答えた


『くそっ…だが、私の体はもう動く

お前は何故か今にも死にそうだな』

実際、魔物は虚勢をはっていただけだった

氷雨の攻撃はかなり効いていたのだ

そして護のあの一撃…魔物の内心は焦っていた

「俺が…死にそう?笑わせんな…

まだ…全然余裕だけど…なっ!」

護も護でかなり不味い状況だった

今にも意識が飛びそうだったが左手で腹を爪が食い込むくらい強く握り、無理矢理意識を保っていた

『強がりは止めろっ!今すぐその強がりを…

止めさせて…やるっ!!』

黒い魔物は勢い良く魔物に飛びかかる

だが黒くなった時の速さではない

まだ護の身体強化でもギリギリ見えるくらいだ

「そっちがその気ならやってやるよ!

同じ標識は使えない…なら!」


《制限速度20㎞/h》


『グアアアアアアアアアッ!!!』

「ぐうぅぅぅあああああっ!!!」

魔物は先ほどの様な急激な激痛にまた襲われた

そしてそれは護もだ、更に血を大量に流し苦しむ

そして…護は魔物に呟く


「お前が…ゲートに今すぐ…帰る…なら…ゴハァ!

はぁ…はぁ…ぺッ!もう…止めてやる…よ…」

護は魔物に提案していた

『ふ…ふざけ…るな…貴様を殺し…あのおん』

「何度も言ってるだろ!

俺は…お前に人を殺して…はぁ…はぁ…

欲しくない!水神さん…も…見殺しに…したくない

あと…はぁ…はぁ…お前にも…死んで欲しくない!」

護は最後の気力を振り絞り叫ぶ

その気持ちは誰にでも分かるくらい正直だった

そして護は…そのまま前に倒れた

自身の血の海になっている地面に…

『何なのだこいつは…本当に変なやつだ

私に死んで欲しくないだと!?私を殺す前に倒れたくせに何を……言っているんだ……………………』

魔物は倒れている護に対して文句を言うだけ言って

無言になった…


そして今までの戦いを氷雨はぼんやりと意識を失いそうになりながらも見ていた

(どういう…事?

Gランクの人が…あの魔物と戦ってる?

何でそんな事出来るの?あの人…やっぱりおかしい…

それに…また同じ事言ってる…変な…人……)

そして氷雨も意識を失う



『…………』

『特別だ…今回はお前の望みを聞いてやる

確かに…死闘が出来たからな…特別だ

だが次はもう手加減などしない!油断もしない』

『…………』

『こんな所で死なれたらまた死闘が出来なくなるからな、今回だけ……特別だ、しょうがない…お前も』

黒い魔物は1人自分を納得させる様に呟く


『次は確実にお前を殺す、それまでに私とまともに死闘が出来るくらい強くなれ…………マモル』

そして魔物はゲートの中に消え

ゆっくり門が閉まった……

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