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1章 5話 魔力

「氷結剣!!くうぅっ!」

氷雨は瞬時に剣を召喚し

魔物の一撃をギリギリの所でなんとか防いだ

「水神さんっ!」

護が気づいた時にはもう紅の魔物と氷雨の剣はぶつかりあっていた

『ほう、今のに反応するか

やはりなかなかの強者だな、面白い

なら次は手数で勝負といこう』


瞬間

紅の魔物は護の目には捕えられない程の速度で大剣をまるで小枝の様に使用し

氷雨に剣戟の雨を絶え間なく振るう

だがその連撃に氷雨も負けていなかった

その剣戟を全て弾きその剣速を上回る速度で氷の剣を振るい反撃までしていた

「あの不意打ちには少しびっくりしたけど

もう無理、私がどうして氷剣姫って呼ばれているか分かる?私…剣技の方が得意なのよ!」

氷雨は更に剣速を上げ紅の魔物を圧倒しだした


『くっ…まだ剣速を上げるか

速度では貴様の方が上…面白い…なら少し…

力を解放するとしよう』

瞬間、紅の魔物の体が赤黒く燃え出した

その炎は徐々に黒く、黒くなっていき

最後には暗い闇の様な炎を放っていた

「くぅ…!何その…黒い炎……本当にAマイナス?」

氷雨はあまりの熱力に攻撃を止めて

勢い良く後ろに飛び退き呟いた

『これは炎では無い、私の魔力だ

これでもまだ押さえている方だがな…』

魔物の体はいつの間にか全身が黒くなっていた

そしてその後すぐに…大きな機械音が流れた


『警告イレギュラー発生

Sマイナス、未発見の魔物出現

直ちに低ランクのソルジャーは避難してください』


「「えっ!?」」

2人の声が重なった

通常、今までの魔物は最初から最後まで

ランクは変わらない…はずだった

強くなるのは人間だけの…はずだった

だがこの喋る魔物は違った

力を温存していた、いや隠していたのだ


『簡単に死なないでくれ

あぁ…そうだ貴様も教えてくれたのだ

私も1つ教えてやろう』

黒い魔物はゆっくりと言う


『私は剣を使わない方が…強い』


その刹那

氷雨は駅の線路の上にいた…


何故…答えは簡単だった

魔物が氷雨を殴り飛ばしただけ

ただそれだけだが氷雨は吹き飛び

建物を貫通し駅のホームに叩きつけられそのまま転がり線路まで落ちた…


「はっ?」

護は呆気にとられてしまった

何が起こったか分からなかった

それはそうだ、自分の何百倍も強い少女が…

魔物に攻撃されたのか、一瞬で消えた

そして遅れて轟音が鳴り響いた

護は駅の方に勢い良く顔を向ける

「なっ…なんだよ…これ…」


駅ビルの一部分が完全に貫かれていた

貫かれた穴の周りはまるで爆弾でも爆発したのかと思うほど破壊されていた

「み…水神さん…は?」

護は慌てて氷雨を探した

だがいなかった…そして震えるように嫌な予感がした

「もしか…して…あの…穴…水神さんが…?

う…嘘だろ…そんなこと」

護は分かってしまった

あの黒くなった…進化したのか?

あの魔物が駅ビルを貫通する程の威力で氷雨を攻撃し氷雨を弾丸の様にし貫いた

分かりたくなくても、分かってしまった

それはあまりにも非現実的な事実だった


『ふむ…魔力の制御がまだ難しいな

一瞬で終わってしまった…つまらん…

ん、まだ生きているな

少しは楽しませて貰った礼だ、楽にしてやろう』

黒い魔物は駅に向かい歩き始めた


「水神さん…は…まだ…生きてるのか?」

護が小さく呟いた

『むっ、変わった人間、まだいたのか

あまりにも弱くて気付かなかった…

そうだ、あの女はかろうじてだがまだ生きている

だが今止めを刺す所だ』

魔物は当たり前の様に答える

「ふ…ふざけるな!

そんな事…許すわけがないだろ!

絶対に行かせない…絶対に水神さんを殺させない!」

護は魔物の前に立ちはだかり腕を広げて先に行かせないようにした

『………』「………」

魔物は沈黙し護の瞳を見る

護も魔物の瞳を強い眼差しで睨む

そして沈黙が解かれる

『お前は何なのだ?世界一弱いと言っていたな

なのにどうして私の前に立ちはだかる

恐怖心と言う物が無いのか?』

魔物は護と言う存在に疑問に思った

「怖いよ…怖いに決まってるだろ

だけど…このまま行かせたらお前は確実に水神さんを

確実に殺すだろ…

俺は水神さんを見殺しにしたくないし…

お前に人を殺して欲しくない!

何でかは分からないんだけどな…」

護は自身の思ってる事を正直に魔物に話す

魔物の瞳を目を逸らさずに見ながら

『………やはり変わった人間だな…

お前の考えている事は分からない…が

私も魔物だ、自分の獲物は殺す

お前に止められるものなら、止めてみろ人間』

魔物は駅の方に駆け出した

氷雨に止めを刺す為にだろう

「くそっ!!ふざけるなよ!

絶対にお前に水神さんは殺させない!」

護は全力で魔物を追うように駅の方に駆け出した

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