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5.まさかの関西ガール

 使いが出された次の日。あたしは、退屈なのでメイドちゃんと町に出かけることにしたんだ。

 このメイドちゃん、名前はリネット。業務的なことしか話してくれないけど、しつこく聞いたら名前を教えてくれた。

 小柄で細く、肩ほどに切り揃えたボブカットがよく似合うキリッとした綺麗な顔。エレーナ様が女神過ぎて霞んでるけど、この子もかなりの美少女。


 やっぱ美少女はいいね〜、眼福眼福♪


「ねえ、リネちゃん。今日はどこに行こっか?」

「……そうですね。良いところがあります。私に付いて来てください」

「ほ〜い」


 言われるがまま、後ろを付いていくと、どんどん町から外れていくようだった。


「町はあっちだよ〜?」

「……」


 あたしの問いかけに答えないリネちゃんは、スタスタと前を進む。少しすると、向こうに柵で囲まれた花園のような場所が見える。


「なになに〜、観光地? ヤバ、ワクワクするんですけど」


 到着すると、一転。花は咲いてたけど雰囲気は重く、あちこちに石碑が建っている。え、なんか、ここって――


「……ここは、歴代の聖女の墓地とされている場所です。通称、希望の園と言います」

「希望の園?」


 あたしの質問と同時に、あたしに向けてリネちゃんの手がかざされていた。そして、既視感のある空間の歪みが起き始めている。えっ!? まさか、魔法っ!?


「……貴女は一体、何者ですかっ!」


 何者ってなにごとっ!? あたしを見る彼女の目はマジのマジ。これ、めっちゃヤバ過ぎる展開。本当のことは、エレーナ様と二人だけの秘密だし。どうしようどうしようっ!


「あ、あたしは、敵じゃないよっ! 落ち着いて、リネちゃんっ! ほんと、敵じゃないからっ!」

「……何のために、エレーナ様に近付いているっ! 白状しなさいっ!」

「えっ!? えっ、どうしよう、何のためって聞かれても、あたしも知らないし…… エレーナ様に聞いてもらった方がいいかもっ!」

「……貴女は、ユリウス陛下の刺客でしょうっ!」


 え。まさかの疑い。さすがのあたしもログアウト。誰、ユリウスヘイカって。


「えっと、だ、誰? ユリウ、スヘイカ?」

「……白を切るつもりですかっ!」

「やめとき、リネットッ!」


 どこからか声が響いた。芯のある勝気な声。


「……なんで止めるの、ミラージュッ!?」


 ハラッと風を切るマントの音がしたと思ったら、目の前の墓石の上に人影がある。なになにっ!?


「そいつは敵やないからや」


 うっは、めっちゃ関西弁来たぁぁぁぁぁぁぁっ! てか、ビジュ盛りすぎでしょっ!

 髪は左が白、右が紫のアシメなツインテール。顔の半分には白い不気味なマスクとピエロメイク。全身は真っ黒のコートで、吸血鬼コスみたい……

 えっ!? てか顔どっちも真っ白じゃんっ! 半分に分けた意味あるっ!?

 それに墓石の上に立ってるんですけどっ!


 「うちには分かる。証明したるさかい」


 彼女はコートの中から、一つの道具を出した。え? おでこで熱測る、アレ?


 ピッ――


 音もアレだったぁぁぁぁぁぁっ!


「ほら、見てみ。黒やで…… って、黒っ!? ほんまかいなっ!」


 ピッ――


「うちの間違いやない、これはきっと神さんからのうちへの試練や」

「……どういうことですか、ミラージュ?」


 ミラージュと呼ばれている子は、リネちゃんの両肩を掴み、熱弁する。


「無なんや。魔力が、無なんやで? 無なんやで?」

「……信じられませんね」

「せやろ、リネット。せやけど、とりあえずはこいつは基礎魔法すら使えん魔力や。刺客とは考えにくいやろ?」

「そうですね」


 リネちゃんがあたしを見つめて謝る。


「……手荒なことをしてしまってごめんなさい、ぴかりん」

「あ、うん。大丈夫、何もなかったし。てか、ユリウスヘイカって誰?」

「……ユリウス陛下は、この国の国王です」

「あ、陛下ね〜。でも、なんでエレーナ様に刺客を送り込むの? だって、聖女は国を守るための存在でしょ? 守るべきものじゃないの?」


 何の気なしの質問だった。だけど、彼女たちには、深刻な質問だったのか、視線を合わせて頷いている。


「……救世主召喚の儀で失敗したということで、次の聖女と交代させるためです」

「あれ? エレーナ様は、降ろされてから暗殺されるかもって言ってたけど?」

「……あの方は、そこまであなたを信頼しているのですね」


 リネちゃんは、覚悟したように頷いてポツポツと語り始めた。その話によると、あのイケオジ執事は、国王側から送り込まれたスパイらしく、不祥事を常に探しているんだって、怖っ! スキャンダル追ってる新聞記者かよっ!

 そんな中、突然、あたしが屋敷に現れた。客人であること以外は全てが謎に包まれていたため、何か良からぬ動きを起こす前に、先手を打って処理しようとしたと、リネちゃんは改めて謝罪していた。


「せやから、最初から敵やないゆーたやんか。堪忍してーな、この子、思い込み激しいところあんねん」


 それで、このコテコテの関西弁を操るマッドなピエロなのかヴァンパイアなのか微妙な彼女が、まさかのエレーナ様が紹介してくれた錬金術師だった。テンプレ超えの怪しさに全く信用できないんですけどっ!

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