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1.女神、降臨

「大丈夫ですか?」


 あたしはその声で目覚める。え、倒れてる? 何で? そんな疑問を抱えながら、ヨイショと立ち上がる。


「怪我は…… ないようですね?」


 何この澄んだ森林に響く神の如き声。振り返ったあたしは、バビッた。

 だって、マジヤバい、何この美貌。見たことないレベルで鼻血が出そうなんだけど。

 黄金比の顔に雪みたいな白くてプルプルの肌。ツケマみたいにワサ〜っと広がるまつ毛。

 腰まである金髪は、シルクのようにサラサラな上、スタイル抜群。少し露出の多い白いドレスに加えて、いい匂い。盛りすぎ大魔神かっ!


 思わず尋ねた。


「あの…… 髪の手入れは、どうされてあらせられますか?」

「え? 髪の手入れですか? 毎日クシを通しているだけですが」

「え? それだけ?」

「はい」


 ヤバっ! 天性の才能だった。あたしにも適応できるかもと期待したのが愚かでした、すみません。それにしても、眼福ぅ〜。


「ご教示いただき、ありがとうございます」

「いえいえ、お気になさらずに。そういえば、名乗っておりませんでした」


 そう言うと、天使様は胸に右手を当て――


「わたくしはエレーナ・ローゼンタールと申します」


 眩しい。笑顔がまるで太陽のよう。溶ける〜。


「失礼ですが、貴女のお名前は?」

「あ、あたしですか? あたしは観月ぴかりって言います。ぴかりんでお願いします」

「分かりました。では、ぴかりん。あそこにある馬車に乗ってください。わたくしが保護いたします」

「え、あ、はい」


 ……保護? てか、今ってどんな状態? うーん。


 馬車に揺られながら、思考にふける。しばらくすると、ゆっくりと馬車は止まり、ドアが開いた。


「おかえりなさいませ、エレーナ様」


 その向こうにはこれまた可愛らしいメイドちゃんが待っててバビるんですけどー! はぁ〜♪ 百合展開もアリかよ……


「その、状況はどうでしょうか……」


 馬車を降りながら、落ち込んだ様子のエレーナ様がメイドちゃんに聞いた。


「……エレーナ様、申し上げにくいのですが――」

「構いません、言ってください」

「……今回の失敗は、何故かすでに市中に広まっているようで、聖女を交代させよという声が大きくなっております」


 長い廊下の後、連れていかれた部屋には、マジで高そうなソファーがあった。エレーナ様はそれに倒れ込んだ。メイドちゃんに言われるまま、部屋に入る。


「お嬢様、この方は?」


 中に待っていた量産型のイケオジ執事が尋ねた。エレーナ様は、客人だと答えて、ソファーに顔を埋めている。


 近くの椅子に座るよう言われ、あたしはやっと落ち着いて周りが見られる。壁には旗や鹿の首が飾られ、床には毛皮が敷かれているんですけど。さすが天使様、いや女神様…… 懐も厚いみたい。


「わたくしの命も、もう長くはないかもしれませんね……」

「エレーナ様……」

「……そんなことはありませんっ! お気を強く持ってくださいっ!」


 執事とメイドちゃんがエレーナ様を励ましている。え、出会って間もないのに、もしかして、病気…… ヤダ、泣きそう……


「ごめんなさい、一人にしてください」


 皆が出ていく。あたしはメイドちゃんに引っ張られる。


「待って、ぴかりん。貴女はここにいてください」


 あたしだけ、エレーナ様と部屋に残された。


「え、ちょっ…… 二人きりですかっ!? これってもしや、あたしへの告白タイムっ!?」

「告白、タイム? ごめんなさい、なんだか分かりませんが、告白ではあります」

「うっひょ〜いっ!?」

「実は、国家をかけた救世主召喚の儀で失敗しまして…… 近いうちに、わたくしは聖女から降ろされるでしょう。過去の聖女は皆、交代になって間もなく死んでいます。国は内情をよく知る者を放置できないのでしょうね」

「え? 暗殺されるってことですか? 酷いっ! てか、エレーナ様、聖女様なんですかっ!? 尊みぃぃぃぃぃぃっ!」


 思わずあたしはエレーナ様の隣に座った。もっと近くでじーっくり見たくなっちゃって…… でも、なんであたしを残したんだろ? はてなはてな?


「エレーナ様っ! なんで、あたしを残したんですか?」


 そう聞くと、エレーナ様は真剣な眼差しであたしを見つめる。ヤダ、恥ずかしいっ! ドキドキしちゃう♡


「ちょちょちょ、そ、そういう事は、もう少し心の準備を――」

「……変なことを言っていると思わないでください」

「え、あ、はい。それはもちろん、女神様のお言葉になんの疑いもありません」

「貴女は別の世界の人ですよね?」


 その言葉は、あたしの頭をカキーンとホームランした。激ヤバ、緊急エラー通知を受信したんですけどっ!


「ちょ、待ってくださいっ! あたしって別の世界の人だったんですか?」


 この展開、正直、ノーマークだったぁぁぁぁっ!


 だってだって、あたしも元リケジョ。そんな、人間一人が異空間にワープするだなんて、物理学からログアウトし過ぎてナシ寄りのナシだし。てか、それならここは何? マルチバース論? それとも、え? タイムパラドックス論? えっと、エネルギーの対価の計算とか苦手過ぎてバビるんですけどっ!


「ぴかりん? 大丈夫ですか?」

「え? あ、はい、たぶん大丈夫であります。たぶん、別の世界の人だと思います?」


 今は反証できる材料無さすぎだよね……


「良かったぁ…… やっぱり成功してたんですね」

「成功? なんのことですか?」

「わたくしが貴女を召喚しました」

「ちょっと待ってっ! え? 召喚? ちょ、え、ヤバすぎですから」


 思わぬテンプレ展開ぃぃぃぃっ! エモいけど、あたしのリケジョ魂が、今、絶滅の危機に瀕してるんですけどぉぉぉっ!?


 どこから来たの、あたしを転移させたエネルギー――


 気になるぅぅぅぅ〜!

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