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オレはおっぱいを揉みたいんだ  作者: はれ
第二章 おっぱいの感触を確かめるって、それもうおっぱいを揉むのと同じじゃ…
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31 『観覧車』

「ほいじゃ、改めて七瀬を探すか……何やってんだ? ライタ」

「いや、なんでも」


 俺は背中にスマホを隠す。メッセージはもう送信しているのだ。美崎がこいつをボコすのは避けられない道だろう。安らかに眠れ。 

 俺は誤魔化す意味合いも込めて、彰に七瀬の事を尋ねる。


「七瀬は中には多分いない……って、そう言ってたよな? それなら、七瀬はどこにいるんだよ」


 彰なら分かるかもしれない。そう思いながら聞いたのだが、彰は頭を横に振って、


「いんや、正直に言うが、オレでも七瀬がどこにいるのかまでは分かんねぇ」


 そう答えた。

 そうか……なら、七瀬を探すのは至難の業だな。

 と、暗い考えが浮かび上がってくる中、彰は不敵に笑って、


「けどよ、策がねぇわけじゃないぞ」


 ビシッ。と、指を天に向かって伸ばした。


「策?」

「おう。居る場所が分からないなら、見つけりゃいいんだよ。そしてそれを出来る場所が――ここにはあるじゃねぇか」

 

 彰の言葉の意味が、俺は最初分からなかったのだが……彰が伸ばした指の先を見て――気付いた。

 ピンと立てられた指、それが指していたものは――

 ――観覧車。この遊園地で一番の高度を持つアトラクションだった。




 ************************



「彰、確かに上からなら遊園地全域を見渡せると思うよ。ああ思うさ。だけど、七瀬がどこかのアトラクションの中に居たりしたらどうするんだよ。いいやそもそもの話、あんな高さから七瀬の事を発見できるのか?」

「だからなんだよライタ。他に代案もねぇんだ。おっぱいの感触は揉んでみなきゃ分からないんだぜ?」

「揉んだことがない奴が偉そうに言うなっ!」


 ――おっぱいの形を模したゴンドラが、ゆらゆらと揺れている。どちらかというと胸の形というよりも、桃のようにも見えたのだが。とにかく、俺たちは観覧車のゴンドラの前に立っていた。

 観覧車の窓から、七瀬を探す。それが前田彰の打ち出した策であった。

 

「……確かに、他に方法があるかって言われたらないよ。だけど、これが良策って言ったらそうじゃないだろ。これで見つけられる確率なんて――」

「――出来るぞ」

「え?」

「出来るって言ったんだよ、ライタ。オレなら見つけ出すことが出来る」


 自信ありげに、そう言う彰。

 その姿は、不思議とそう信じさせてくれるような。本当に、こいつなら見つけられるんじゃないと思ってしまうほど、自身に満ちていて。


「――お客様、お乗りになるのは貧乳のお客様と男性のお客様、この2名でよろしいでしょうか?」

「え? あ、はい――ちょっと待て、今あんたなんて言った」


 遊園地のスタッフが放った言葉に、オレはスルーしきれずに突っ込む。


「ですから、男性のお客様と、ひん……微乳のお客様の二名でよろしいですね?」

「言い直した所で変わらないからな!? ちょっとグレードダウンしても意味ないから! 微もないよ無だよ! 強いて言うなら無乳と言え!」

「おいライタ! それじゃあ美崎を指す言葉になっちまうだろ!」

「お前はだまってろよおおおおお! 話が無駄にややこしくなるだろっ!」


 というかなんで微乳なんだよ。これが冗談ならせめて巨乳とでも言ってくれよ。微乳とか言い出したら、まるで本気で言っているみたいに思えてきて……


「え、本気じゃないですよね!? 冗談で言ったんですよね!?」

「それではゴンドラにお乗りください。よい旅をー」

「ちょっとおおおぉぉぉぉ――ッ!!!???」



 ************************




 結局冗談なのか本気なのかは分からず、無駄に精神をすり減らした俺を乗せて、ゴンドラはゆっくりと上がっていく。

 この観覧車は権田遊園地時代にあったものをほぼそのまま使用しているらしく、以前と違うのはゴンドラの形くらい。そこそこの高度があり、大体60mほどまで上がるらしい。

 少しだけ揺れる中で、俺は窓の外に視線を向けた。

 ――彰は、ここから七瀬を見つけ出すことが出来ると言ったけど……


「実際、どうやって見つけるんだよ。出来るって言ってたけど……」


 俺には、どうにも信じがたい。その自信にあふれた姿には少しだけ心を動かされたが、それでも、だ。

 そんな俺の疑念とは裏腹に、彰の顔には尚も確信があった。自分は見つけ出すことが出来ると。そう言うように。


「――ライタ。俺の事、理解してるんだろ?」

「――はぃ?」


 唐突に放たれた彰の言葉に、俺は素っ頓狂な声を出した。

 急に何を言ってるんだ、この男は。

 そんな彰の問いの意味を『理解できない』まま、俺はこう答える。


「まぁ……それなりには」

「なら、オマエになら理解できるさ。だってオレ――」


 すっと、彰が胸ポケットに手を突っ込んだ。

 そして――黒縁の眼鏡を取り出した。





「おっぱいの事、大好きだからなッ!」



 

  

 眼鏡をかけながら、彰はそう答えたのだった。


「……」



 …………はい?



 

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