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オレはおっぱいを揉みたいんだ  作者: はれ
第二章 おっぱいの感触を確かめるって、それもうおっぱいを揉むのと同じじゃ…
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29 七瀬と俺と


「七瀬は……友達がいないんだよ」


 彰は少し俯きながら、そう言った。


「……そう、か」


 彰の言葉に、俺は独り言のような声量で返した。

 ――やっぱり。俺は少しだけそう思った。

 なんとなくそんな気がしていたんだ。七瀬が俺達を誘ったのは、友達がいないからじゃないかって。その可能性を考えられなくて、頭の中からは除外してたけどな。


「いつから知ってたんだ?」

「別に今でも確信しているわけじゃねえよ? でも、なんとなくそうじゃねぇかなって」


 やっぱり、彰は前から気付いてたんだな。

 一年前と変わらない洞察力に、俺は少しだけ安心感の様なものを得ていた。

 七瀬は友達がいない。その事実をしばしの間受け止めてから、


「しっかし、いくら友達がいないからってオレたちを誘うなんて……引きが悪いなァ七瀬も」


 彰がそう言った。

 そう。七瀬は俺達を誘った。友達がいないけど、一人で遊園地に行くのは寂しいから。

 

 ――いや。

 

 本当にそうか? 順番が逆だろ?

 七瀬は遊園地に行くために俺達を誘ったんじゃない。俺達を誘ったのは……


「俺達を、友達に……?」


 そんなバカな。と思いたい。

 普段は少しおとなしくて、時々俺たちの事をセクハラ扱いしてきて……最初に会ったのは、七瀬がこの寮に入って来た初日。彰が七瀬の事を遠目で見た途端に、彼女の部屋への突撃を敢行したのだ。当時はそんな彰の事をクソだと思ったが、今ではスーパークソだと思う。

 案の定、七瀬からはセクハラ男扱いされてしまったのだが……それでも来る日も来る日も、彰は七瀬の部屋に無断侵入していた。時々美崎も混じっていた。

 そんなセクハラ野郎でも……それについていってるやかましい男でも……七瀬にとっては、人と話すことが出来る貴重な時間だったんだろうか。

 過去の出来事が、七瀬にとっては、だから七瀬は――


 ――俺たちと友達になるために、この遊園地に誘ったんだ。


「……」


 誰もいないおっぱい屋敷を、ただただ下を向きながら俺は歩いた。

 暗い廊下を、俺と彰の歩く音だけが聞こえてきていて――


「で、どうすんだよライタ」

「どうすんだよって、お前ならどうするんだよ」

「オレか? オレは行くぜ。だってそうしないとおっぱいの感触教えてもらえねぇからな」

「あー……そういえば最初はそんな話だったなぁ」


『おっぱいの感触を教える代わりに、遊園地に行く』それが、七瀬と俺たちの間で交わされた交換条件だった。

 そんなこともあったなぁ。と、俺は少しだけ顔をほころばせる。

 

「……七瀬が逃げ出したのは、彰が胸を揉むなんていうグロ行為を行ったせいだ」

「んな事言ったって仕方ねぇだろ。俺が揉むのは、そこに乳があるからだ」

「全然かっこよくないからな。でも、その通りだよ。終わったことは仕方ない」


 目の前が明るくなる。おっぱい屋敷の出口に辿り着いたのだ。

 急激に届いてくる光に目を細めながら、俺は決意する。


「謝ろう。あんなものを見せて済まなかったって」

「オマエが謝るのか?」

「俺も彰も謝るさ。それで、改まってこう言おう」


 ゆっくりと歩き出す。俺達二人が、1年前と同じように。



「――俺たちと友達になってくれってな」


 

 

 

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