27 お化け屋敷が転じて「おっぱい屋敷」ここまではおk?
――おっぱい屋敷――
名前だけなら完全にヤバい店にしか見えないアトラクションを前にして、彰がそれに入りたいとほざきやがった。俺と腕を組みながら。
「ライタ先輩、あそこに入るんですか?」
俺の左腕を組んでいる七瀬がそう言いだした。ちなみに俺の右腕に彰がついている。当たり前だけど、この状況は全然当たり前じゃない。
「俺は入りたくない。俺は入りたくないし、俺は入りたくないんだが……彰の奴が入りたいと言って聞かないんだ」
「ライタ先輩そんなに嫌なんですかッ!? それなら入らない方がいいんじゃ……」
七瀬は俺を気遣ってそう言ったが、でもライタが入りたいと言って聞かないんだ。仕方ないだろう。
「ていうか、それじゃあ七瀬は入るのか? こんないかがわしい所に?」
「は、はい。前田先輩が入りたいと言うのなら……」
マジか。と俺は口に出そうになった。
セクハラには敏感な七瀬が、この見るからにセクシュアルハラスメントゥ確定なアトラクションに入るとは思わなかったからだ。
そもそも、その七瀬がこの遊園地に入ってきたことがおかしいような……何か理由でもあるのかな?
「おいライタ。はよ入ろーぜ」
少しばかり思案していると、彰が俺の腕を引っ張って来た。
――仕方ない。とりあえずこのおっぱい屋敷とやらに入るか。
俺はそう思い、片腕にゲロ、もう片腕に花を抱えながら入り口に近づいた。
「ここはおっぱい屋敷ですー! 2名様とおっぱい二つですね」
「いきなりセクハラ発言だよ! 腐ってんなこの遊園地!」
「このアトラクションでは、かつておっぱいだった場所が、月日が経って垂れたおっぱいと化した建物の内部に入る事が出来ますー!」
「その設定考えた人絶対頭おかしいよね!? どういう生活したらそんなの思いつくんだよ!」
「それでは奇妙なおっぱいの旅をお楽しみくださいー!」
「楽しめるかぁぁぁぁ――ッッ!!!」
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――こうして俺たちはおっぱい屋敷に入ったのだが……
「中は暗いな……お化け屋敷を改装して作ったアトラクションらしいな」
内部は暗い色とピンク色に染まっており、いたく――ムーディーな雰囲気を醸し出している。
雰囲気的なら間違いなくR18の店だろう。というかこの遊園地自体、おっぱいの為に生きる人しか理解できないような場所なんだからR oppaiに指定しとけよ。
「あ、そこの曲がり角……何か出そうです」
ふと、俺の腕を組んでいる七瀬がそう言った。
確かに……曲がり角で何か出てくるのはお化け屋敷の定番だしな。ここおっぱい屋敷だけど。
「オレも出てくると思うぜ――母乳がな」
「よーし彰、突っ込んでこい」
俺は彰を曲がり角に向かって突き飛ばす。何がなんでも成功させるつもりで突き飛ばしたから、避けられる事もなく彰は転がっていってくれた。
さて、突然きた彰に対し、どんなもの出てくるのか――
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁ――ッ!?」
『!?』
角に消えていった彰の叫び声が聞こえ、俺と七瀬はビクッと肩を震わせた。
そしてその叫び声が響き渡ると、辺りは水をうったように静かになった。
「……な、なんだったんでしょう……今の」
「わ、分からない……なんだったんだろうな」
一体何が起きたのか。叫び声が上がるほどだったのだ。余程の事が起きたの違いない。
(で、でも、ここおっぱい屋敷だぞ? お化け屋敷は客に恐怖と驚きを与えるためにあるけど、ここは客におっぱいを与える場所なんだ。そんな叫び声を上げる事なんてあるはずが……ない)
自分に言い聞かせるように俺は思考を巡らませるが、どうにも足が震えてしまう。
何があったんだ。彰の身に、一体何が――
進むことをためらう俺に、七瀬がそっと腕を引いた。
「い、行きましょう。ライタ先輩」
「あ。ああ」
「大丈夫ですよ……怖くないです……!」
ギュっ。と、七瀬が俺の腕を握った。
「ああ……!」
まるでお化け屋敷に入ったカップルの様に、二人は震える足を進めた。
何時間にも感じた時間の後、俺達は曲がり角を進んだ。
そこに、いたのは――
「――ッ」
――背が高く、髭をたくわえた強面の男が立っていた。……胸が膨らんでいる状態で。
……それでもって、彰がその胸を揉んでいた。
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁ―――ッ!!」
その姿想像したら自分もぎゃあああああああああああああああああ




