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オレはおっぱいを揉みたいんだ  作者: はれ
第二章 おっぱいの感触を確かめるって、それもうおっぱいを揉むのと同じじゃ…
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16 こちら、七瀬玲奈さんです。

 ――この寮は、壁という壁が白色に染められている。勿論、壁を他の色に染める事は許されていないし、その都合上部屋全体の印象が白っぽく思えてしまうのは、ある意味仕方のない事だろう。

 だが、それでもその部屋はピンク色に染まっていた。ピンク色のクッション、ピンク色のソファー、ピンク色のベッド。それ以外にも家具という家具が、部屋全体の印象すらピンク色に変えている。それらを買った本人は特に意図したわけでなく、『かわいい』と思ったから購入したに過ぎないのだが。

 そんな彼女は、自分の容姿に多少は自信があった。身長が低い事は少し気にしているが、愛嬌のある顔や、ゆったりとウェーブを描く髪、メロンのように豊満な胸。最後のはコンプレックスに感じる事もあったが、男子心を揺さぶるその容姿が、彼女は嫌いではなかった。


 ――とはいえ、彼氏が出来たことは一度も無いのだが。


 そんな話はさておき、(モテない事を覗けば)彼女は大学生活を楽しんでいた。講義も真面目に受けているし、寮が安いお陰で自分の好きな事にお金を回せる。思い切って安い寮にしてよかった。と彼女は思っていた。

 ――ただ、そんな彼女にも、悩みが一つあった。

 それは――



「こちら、七瀬玲奈(ななせれいな)さんです。相変わらず胸でけぇな。いつ見ても驚く」

「俺はインターホンも鳴らさずに部屋に入り、挙句セクハラを仕掛ける彰に驚いてるけどな」


 

 ――それは、定期的に彼女に絡む、おっぱいコンビの存在であった。



 「…………勝手に入ってこないでって、言ってますよねッ!!」



   

  ************************



 ――俺たちの部屋は寮の二階にあるのだが、七瀬の部屋はの一階、俺たちの部屋から見て一つ右下の所にある。

 その部屋に乗り込んできた俺たちだが――


(――それにしても、相変わらずピンクだらけの部屋だなぁ……)


 部屋の中を見回しても、目に入ってくるのはピンク色の家具ばかりだ。

 まさに女の子の部屋って感じがするよなぁ。そんな部屋にずかずか入っていく彰ってやっぱりおかしいよなぁ。


「それで、前田先輩たちは私に何の用ですか」


 部屋を見回す俺の耳に、少し刺々しい七瀬の声が響く。

 少し苛立ちも含んだ表情をしている七瀬に、彰はとぼけたように返した。


「なんだよ。せっかくの来客なんだから、茶くらい出してくれてもいいだろ?」

「なっ――!?」

 

 いきなりかました彰の爆弾発言。案の定、怒りの表情を露わにする七瀬。。

 開始五分で混沌としてきた部屋の雰囲気に、俺は慌てて収拾を図る。


「お、おい落ち着け七瀬。茶――というか、コーヒーなら俺が出すから。キッチン、借りるぞ」


 と、俺がこの空気から逃れるようにキッチンに向かおうとすると、七瀬に腕を掴まれて止められた。


「ダメです! ライタ先輩は、きっとキッチンにあるマグカップで私の事を想像して、ベロベロ舐めだすに違いありません!」

「んなことしねえよ!? 俺がそんな事しそうな人に見える!?」

「誤魔化さないでください! 彰先輩は直接セクハラをしてきますけど、ライタ先輩は隠れスケベです! 変態です! 汚らわしいです!」

「評価が地に堕ちている! ていうか隠れスケベってなんだよ!」


 ――また始まった。と、俺は思った。

 七瀬は多少臆病な所はあるものの、優しくて気配りが出来る女だ。だが、一つ問題点がある。

 それは、『被害妄想が激しい』という所だ。今みたいに俺の事をすぐ変態扱いしてくる。

 それにしても、普段からおっぱいの妄想ばかりする彰と、自分に都合のいいように物事を改変する美崎、被害妄想の激しい七瀬と、この寮の住人は妄想力が高い奴が多すぎる。マジ有泉君天使と思ったが、彼も食べ物に関しては妄想が激しいのでダメだろう。

 

「いや待てよ? 妄想する前に食べているならそれは妄想とは言わないのでは……?」

「何ブツブツ言っているんですか。とにかく、二人は動かないでください! いつどんなセクハラをしてくるか分かりませんから!」


 有泉君の妄想事情について思案していると、七瀬が厳しい表情で俺と彰にその場に留まるよう指示してきた。

 俺は「分かったよ」と彰の横に座り、七瀬には聞こえない声量で彰に話しかける。


「だから言っただろ。七瀬に胸を揉ませてもらうよう頼むなんて、無理なお願いだ。ていうか、確実にセクハラで俺たちが殺されるだろ」

「バカ言え。昔の人はこんな言葉を残しただろ? やってみないと分からない。ってな」

「この場合百パーセントダメだろうから、その言葉は当てはまらないと思うんだよなー……」


 俺は呆れたように溜め息をつくが、それでもこの状況をそこまで悲観してはいない。

 この状況、はっきり言えば彰が全面的に悪いのだ。部屋に最初に侵入したのは彰だし、この後とんでもない頼みをぶちまけるであろう人間も彰だ。それでも七瀬は俺共々セクハラだと騒ぎ立てるかもしれないが、七瀬の被害妄想っぷりを知っているこの寮の住人なら、俺の無実を信じてくれるだろう。

 ――という事で、今の俺の心情は『困ったら彰に全てをなすりつけよう』というものだ。クズのような考えだが、実際悪いの俺じゃないし。


 と、割と楽観的な考えを俺が持つなか、彰が七瀬に対して話題を切り出した。


「んで、七瀬に用があってオレたちはこの部屋に来たんだが」

「……用、ですか?」

「用っていうか、頼みって言った方が正しいな。こっちは七瀬に頼みがあるんだ」


 七瀬はどんな頼みなのだろうと、少し真剣な面持ちになる。 

 そんな七瀬の様子に満足したのか、彰は少し微笑みながら――その頼みを、ぶちまけた。


「――オレたちの頼みは……七瀬、お前のおっぱいの感触を確かめさせてほしい。俺たちが疑似おっぱいを探し当てるために、オマエのおっぱいが必要なんだ!」


 ――かっこよく言ってるけど、内容が最低だ。


 そしてやはりというかなんというか、彰の言葉を聞いた七瀬は、その顔色を怒りの色へと変えていく。

 ――最悪、彰に全責任をなしつけてこの場から逃げるか。と、俺はそう考えた。









 ――その他人を堕とす考えに、鉄槌が下ろされるとは思わずに。


 七瀬の顔色を見た彰は、その笑みを更に深いものとして――こんな一言を発した。



「…………と、ライタが言っていた」



 ………………………………は?


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