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実は俺、最強でした?  作者: すみもりさい
第十章:バズっちゃいましたか

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初・生・配・信!


「なんだか緊張してきましたね」


「あら珍しい。でも未踏の試みは心躍るものだわ」


 画面上ではにこにこきゃっきゃと、実際に緊張しているとは思えない美少女二人の会話が続いていく。


〝ハジマタ〟

〝気づいてない?〟

〝おー、マジで可愛いな〟

〝声もいい初めて聞いた〟

〝なんか初々しい〟

〝どう見ても未成年ですありがとうございました〟

〝てかここ第一層だよな?〟

〝生配信ってマジなんか〟


 視聴者数は配信開始前から千を超え、今は三千に迫っている。コメントの流れも速くなってきた。

 しめしめ、と俺はほくそ笑む。


 配信ってのは、開始ボタンを押した瞬間から始まるものじゃない。

 ここ一週間、イリスたちには派手に暴れてもらっていた。意図的に他の探究者の目につくように。

 戦闘中に「魔法」だの「魔力」だのの存在を匂わせ、実際に使っているところを見せ、『なんだこいつら!?』と不穏な空気を感じさせるように、だ。


 でもって、「魔法」を絡めた新しい配信チャンネルへとつなげていく。

 そう、ステルスマーケティングである。


〝色違いのおそろワンピかわいい〟

〝ダンジョンに入る服じゃないけどな〟

〝もういつもみたいにここで踊っちゃえYo〟


 シャルたちはすでにChickTackerとして万単位のフォロワーを集めていたので、そこからの集客も行った。

 あえて本人たちに「ダンジョン配信をやるよ」と語らせず、『これって二人のチャンネルなの?』『なにがどうしてどうなるの!?』みたいな不思議な雰囲気を演出していたのだ。


 仕込みは上々。

 ここからは『生配信』と『魔法少女』の力で一気に同時視聴者数とチャンネル登録者数を増やしていくぞ!

 と、ようやくシャルが気づいたらしい。


「あれ? もう始まってますか?」


「あら、ホントね。みんな、こんにちはー♪ 見えてる? 聞こえてる?」


 ふふふ、これもわざとである。

 こういう『こなれてない感』であざとさを削ぎ落し、素の反応で初々しさと愛らしさを前面に押し出して老若男女問わず虜にしようって寸法よ。俺ならメロメロになる。シャルちゃんに。間違いなくね。


 二人の言葉に、コメントがあいさつで一気に加速した。同時視聴者数は五千を超えましたね。

 ただ好意的なコメントが多い中、やはり人が増えてくると否定的なコメントもちらほら目についた。


〝みんないつまで茶番に付き合ってんの?〟

〝ダンジョンで生配信なんてできるわけないわな〟

〝てか子どもやん。資格取れるワケねーのよ〟


 アンチコメには見向きもせず、二人はにこにこしながらくるりと反転、歩き出した。ドローンカメラが正面に回りこむ。


「攻略配信の一回目だから、本当ならこの第一層からスタートするのがいいとは思ったの」


「でもわたくしたちはもう、そこそこ進んでしまったのです」


「ぶっつけ本番も悪くはないけれど、視聴者(みんな)を不安にさせるのは本意じゃないもの。だから、ね♪」


 並走するドローンカメラにユリヤがウィンクをひとつ投げた。

 ぴたりと足を止め、二人が「「じゃじゃーん♪」」と手のひらを向ける。ドローンカメラがぐるんと回り、大きな扉を画面に捉えた。


〝おー、『転移門』じゃん〟

〝もう転移門使えるんだ〟

〝五層まではクリアしたってことか〟

〝誰に連れてってもらったのかな?〟


「む、失礼ね。ちゃんと二人で行きましたー」

「ズルはよくないですし、やはり自らの力で踏破してこそ、ですからね!」


 二人はコメントが表示されている半透明ウィンドウを見ながら、しばしの間リスナーと会話する。

 いちおう俺の指示だ。ここでちょっと溜めるのと、『生配信』であることを強調しておくためにね。 


〝さすがにリアルタイムは確定か〟

〝つってもダンジョンの中とは確定してないやろ〟

〝グリーンバックで背景差し替えとはまた古風な〟


 ユリヤがドローンカメラをがしっとつかむ。自撮りをするように自分たちへ向けたまま、二人は互いに顔を見合わせると、にぱっと笑うや。


「それではー、しゅっぱーつ!」


 手をつないでぴょん、と転移門の中へ跳びこんだ――。




 転移門を抜けた先は、荒廃した現代都市だった。

 高層ビルやらアスファルトの道路やらが、蔦やらなんやらの植物に侵食され、まさにコンクリートジャングルがいっぱしの密林(ジャングル)になってますね。


〝おい待て十層じゃないかここ〟

〝この子らレベルいくつよ?〟

〝最低でも30はある……よね?〟

〝もう嘘松確定やんけ〟


 ざわつくコメント欄をよそに、二人はカメラ目線で告げる。


「ここから先は危険がいっぱい」


「というわけでして、わたくしたちも戦闘準備をいたしませんと」


 どこかから(俺の謎時空からだがリスナーには見えない)小さな魔法のステッキを取り出した。


 ドローンカメラが大きく引いて二人を映す。一方で別のドローンはシャルへ急接近。カメラを切り替えた。


 シャルの全身が画面の中心に。

 ステッキを持つ手で大きく円を描くと、天高く掲げる。


 ぺかーっと。

 まばゆいばかりのピンクの光粒があふれ出す。


〝お?〟

〝まさか……〟

〝変身バンクきちゃー!?〟


 光粒は桜の花びらに変じてシャルの周りで帯を成す。ワンピースが弾け、小躯が光に覆われた。桜の帯が細腕やなだらかな体躯、腰回りや脚へと巻きついていく。


 カメラが腕に、胸に、腰に、脚に、順番に接近するや、それぞれ桜の帯がピンクを基調とした衣装へと成り変わった。

 最後に背中に小さな翼がぴょこんと現れて。


 きゅらりん、と横ピースで決めポーズ。


 うおぉーーーーーっとコメント欄が爆速で走り出す。同時視聴者数はついに万を超えた。てかまだ増えてるぞ。


 すぐさまカメラが別の少女に切り替わった。

 今度はユリヤだ。

 こちらも似たような変身バンクだが、金の粒子が金木犀の花びらに変わる。小さな星みたいな花びらが大量に舞い、帯というよりは鎖みたいになって細い体に巻きついていった。


 こっちもコメントがすごいな。〝ユリヤ様……〟とか〝踏んでください〟とかちょっとヤバめのやつもちらほら。

 最後に小さな翼を生やし、カメラが引くと二人そろっての決めポーズで後光のエフェクトをやっといた。


「魔法探索少女、シャルロッテ! と~?」

「わたしはユリヤ♪」


「「侵界実況〜~、始まるよ!」」



 またもやコメントが爆速で走りまくる。同時視聴者数が二万を飛び越して三万に迫っていた。


 新しい魔法少女衣装だけどなかなかいい出来だな。

 前に比べて少しだけスカートを短くしたけど下はスパッツでいやらしさを抑えている。やや大人っぽさを入れることで、愛らしさを残しつつもダンジョン攻略での違和感を軽減したのだ。

 いちおう成人ってことにしてるしね。


 衣装と変身バンクの監修には天由良(あまゆら)ノエルさんにも協力してもらった。

『肌の露出は抑える! 光で体のラインが見えるのはギリギリ許容するとして、他の演出でそっちに目線が向かないよう誘導すること。ただでさえ幼い容姿なんだから、性的に見られたら即BANされると思いなさい』

 などなど、いやあ、協力的だったなあ。


 コメント欄が徐々に落ち着いてきた。


〝かわいすぎて草〟

〝草じゃなくて花咲いた〟

〝リアルっぽく見えるけどVの技術使ってんじゃね?〟

〝中身おっさんだったら全俺が泣く〟

〝さすがに超技術すぎるやろ〟

〝そうだぞ、おっさんがこんな可愛い声になるはずないだろ〟

〝そっちじゃねえw〟


 議論にも花が咲きそうではあるが、どうやら二人の実力を早速見せるときが来たようだ――。



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アニメ化したよーん
詳しくはアニメ公式サイトをチェックですよ!

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