第四章 幕間「破信の徒」
薄暗い聖堂の中で円卓の元に複数の人が現れる。どの人物もフードを目元まで深々と被り、口以外見えない。
「どうやら翁殿の計画とならは御破産になったようです」
どこか冷静であって、神経質そうな声が淡々と告げる。その者たちは用意された円卓の席に各々座り、唯一その場にいない者が仕掛けた戦争の総評をしていた。
「意気揚々としてたジジイのくせに、今じゃしわしわの爺さんだぜ。って元からだったな!」
ガッハッハとそれを煽るように無神経で快活な男の声が響く。顔を隠すフードすら意味をなさない笑い声に、神経質な男は眉を潜ませる。
「でも普通は落ちると思うけどねー」「どの国だって酷いことになると思っていたわ」「でしょ?」「ね〜」
二人の女の若い声はその事実を再確認し、失敗について懐疑的であった。それを神経質な男は即座に否定する。
「使い魔からの情報では、かの伝説の英雄たちに並ぶ強さの強者がいて、翁殿の魔王候補が悉く滅されたとか。名を黒騎士と」
神経質な男は都市側にいた黒騎士なる人物の存在を皆に告げる。
その存在の真実を持って、懐疑的であった問いを否定する。それを聞いた一同は静まり返るが、翁のことよりも黒騎士なる人物に興味深々であった。
彼らは同僚であって、仲間ではないのだ。翁が失脚してもどうということはなかった。
「なんと!人間側にそのような逸材が…!?是非とも欲しいものです」
フードから髪の毛を垂らした女がその事実に震え、声帯を震わし、歓喜によがるようにうねりながら自らの手でその者を射止めようとする。
それから勝手に盛り上がる同僚たちに頭を悩ませていると、今まで黙っていた人物が杖で床を叩く。
「皆静粛に。それでは会議に移る。今回の議題は翁の計画を邪魔した、この黒騎士なる人物について、語ろう」
最後に統括たる男による会議の始まりを持って、円卓は静まり返っていく。




