第43話 レオンの叫び
いつも を読んでくださり、本当にありがとうございます。
前回、アレスの子供たちによってリーが捕らえられました。
圧倒的な戦力を持つクリザード要塞ノア。
誰もが「救出は不可能」と判断する中、レオンは一人で向かう決意をします。
これは単なる救出作戦ではありません。
レオンにとっては、信仰・仲間・そして自分自身の弱さと向き合う戦いでもあります。
それでは、第43話をお楽しみください。
夜の宇宙。
小型艦の内部で、レオンは震える手で通信装置を起動した。
青いホログラムが展開され、最初に映ったのは――ローラの顔だった。
「……うそ……」
彼女は泣いていた。
「レオン、お願い……違うって言って……!」
レオンは目を閉じ、息を整えてから答えた。
「……リーが捕まりました。
アレスの子供たちの罠にかかりました。」
その瞬間、通信画面が揺れ、ヴァロンの姿が割り込む。
普段冷静な彼の顔には、明らかな焦りが浮かんでいた。
「まずい……まずいぞ……!
もしアレスがリーを手に入れたら、奴らは止まらん!
レオン、絶対に……地下牢に連れて行かせるな!」
次に映ったのはララだった。
涙で顔が濡れている。
「レオン……お願い……!」
声が震えている。
「リーを失いたくない……あの人は道を間違えたかもしれない……でも……でも、私の兄なの……!」
だが、低い声がそれを遮った。
「やめろ。」
ヴァンダーだった。腕を組み、冷たい目でレオンを見る。
「自殺行為だ。ノアの要塞は基地じゃない。墓場だ。
リーはもう終わりだ。帰還しろ。」
さらに画面が分割され、エクスプリアン評議会の面々が映る。
「我々も同意見だ。
突入は無意味。生存確率はゼロに等しい。」
静寂が流れた。
レオンは何も言わず、ゆっくり膝をついた。
通信の向こうで全員が息を呑む。
彼は頭を下げた。
「……主よ……」
震える声。
「どうすればいいのか分かりません。
でも……俺はリーを見捨てたくない。
道を示してください……」
その瞬間だった。
艦内の光が、ふっと弱まる。
柔らかな光がレオンを包んだ。
そして、声が響いた。
――「レオン。」
優しく、しかし確かな声。
――「行きなさい。あなたの力で。わたしが共にいる。」
レオンは顔を上げた。
瞳に、迷いはなかった。
「……分かりました。」
通信を切る。
彼は静かに立ち上がった。
「俺が……助ける。」
ノア惑星。
巨大なクリザード要塞が、夜の中にそびえ立つ。
その上空の崖に、レオンは立っていた。
目を閉じる。
次の瞬間、五つの光が彼の周囲に現れる。
炎。
水。
風。
土。
そして雷。
空が曇り、風が渦を巻き始めた。
レオンは一歩踏み出し――そのまま崖から跳んだ。
落下と同時に、風が爆発する。
地面に着地した瞬間、衝撃波が要塞前の広場を吹き飛ばした。
警報が鳴り響く。
「侵入者だ!!」
だが遅かった。
レオンは右手を振る。
炎が螺旋を描き、外壁の塔を爆破する。
続けて地面を踏み込むと、水が刃となって空へ跳ね上がり、飛行ドローンを切り裂いた。
拳を地面に叩きつける。
岩柱が噴き出し、守備兵を空中へ弾き飛ばす。
さらに、風が渦となり要塞門前の兵器群を巻き上げた。
最後に――
レオンの瞳が光る。
雷が天から落ちた。
要塞のエネルギー装置が爆発し、結界が大きく揺らぐ。
だが。
要塞が唸り声を上げた。
地中から巨大砲台が出現し、光線がレオンを直撃する。
「っ――!!」
彼の身体は岩壁へ叩きつけられた。
血が口元から流れる。
それでも、レオンは立ち上がる。
「まだ……終わってない……!」
彼は再び走り出した。
炎と雷が背後で爆ぜる。
一人で、帝国へ突撃する。
その頃。
要塞内部の牢。
鎖に拘束されたリーは、遠くの爆発を見つめていた。
目を細める。
「……まさか……」
彼は小さく笑う。
「レオン……お前……本当に馬鹿だな……」
外では、煙の中でレオンが門を見上げていた。
満身創痍。
それでも、その瞳は折れていない。
――戦いは、ここから始まる。
(続く)
後書き
第43話を読んでくださりありがとうございます!
ついにレオンが単独でアレスの要塞へ突入しました。
これまで「救われる側」だった彼が、初めて自分の意思で“不可能”に挑む回です。
リーは力で進み、
アレスは支配で進み、
そしてレオンは――信念で進みます。
この三人の思想が、ここから真正面にぶつかっていきます。
また、キャラクタープロフィール・設定資料・世界観補足、
さらに作中音楽や短編(one-shot)は作者ページに掲載していますので、よければそちらもぜひ!
感想・ブックマーク・評価、本当に励みになります。
次回、第44話もよろしくお願いします!
第43話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回のエピソードは、レオンの「覚悟」を描いた回です。
彼はまだリーほど強くありませんし、アレスのような支配力もありません。
それでも、彼には諦めない心があります。
リーは“力で未来を切り開こうとする者”。
アレスは“支配によって平和を作ろうとする王”。
そしてレオンは“信じることで救おうとする者”。
三人の価値観がここから本格的に交差していきます。
なお、作者ページでは
・キャラクタープロフィール
・世界観設定
・作中音楽
・ワンショット短編
なども公開しています。興味があればぜひご覧ください!
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次回の更新もぜひお楽しみに!




