アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第19話「影の秘密」
前書き:
第19話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回は物語の雰囲気が大きく変わり、少しミステリアスな回になります。
これまで断片的に描かれてきた出来事の裏側や、リーが追っている謎の一部が明らかになります。
ここから物語は新しい段階へ進んでいきますので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
その夜、アルファ組織の基地は静まり返っていた。
任務を終えた隊員たちは休息に入り、通路にはエネルギー装置の低い駆動音だけが響いている。
レオンは一人、廊下を歩いていた。
組織に入ってからの出来事を思い返していたのだ。
ずっと感じていた違和感があった。
――リーとララは、何かを隠している。
そして、その直感は正しかった。
背後から声がした。
「レオン……こっち」
ララだった。
彼女は周囲を確認し、小さく手招きする。
「音を立てないで」
いつもの彼女とは違う、真剣な表情だった。
レオンは無言で頷き、後を追う。
二人は居住区へ向かい、ララの部屋へ入る。
一見すると普通の部屋だった。
だがララが壁の一箇所に触れると、小さな機械音と共に壁が開いた。
隠し通路。
レオンは目を見開く。
「……秘密基地?」
ララは指を口元へ当てる。
「誰にも言わないで。
知っている人は、ほとんどいない」
階段を降りる。
そして、彼は言葉を失った。
地下空間は広大だった。
青いホログラムが空中に浮かび、無数の画面が宇宙地図や惑星、戦闘記録を映し出している。
基地のどこよりも高度な設備だった。
「これは……」
ララが静かに言う。
「組織のシステムだけじゃない。
リーが訪れた惑星の記録や、深宇宙の通信も解析してる」
レオンは画面の間を歩く。
異星都市。
艦隊。
未知の種族。
宇宙そのものがそこにあった。
その時、一つの映像が切り替わる。
ある惑星が映し出された。
大地が揺れている。
火山が噴き、空は煙に覆われていた。
上空には――クライザディアン艦隊。
「……まさか」
光線が地表に降り注ぐ。
地殻が裂け、海が蒸発し、惑星は崩壊していく。
数分後。
世界は消えた。
わずかな避難船だけが逃げ出し、クライザディアンは去っていく。
レオンは拳を握った。
「全部……壊したのか……」
しかし、それで終わりではなかった。
艦隊が去った後、別の船が現れる。
黒い船体。
音もなく接近する。
スピリアンのアンドロイドだった。
彼らは破片の中から光る物体を見つけ出す。
惑星の核。
それを金属容器へ収め、回収した。
レオンはララを見る。
「何をしている……?」
ララは低く答える。
「リーが何年も追っている謎」
彼女は映像を切り替える。
次は、荒れ果てた月面。
そこにクライザディアンの船が降り立つ。
そして――
子どもたちが降ろされる。
十人。
レオンは息を呑む。
「子ども……?」
「毎回よ」
ララが続ける。
「惑星が滅びるたび、十人の子どもをスピリアンへ渡してる」
「……なぜ?」
ララは首を振る。
「リーにも分からない。
だから彼は戦っているの。戦争のためじゃない――止めるために」
レオンは画面へ視線を戻す。
その時、理解した。
クライザディアンは敵ではある。
だが――
本当の脅威ではない。
もっと大きな何かが、裏に存在している。
レオンは呟いた。
「……まだ、戦争は始まっていない」
ララは静かに答える。
「ああ。
これから始まるの」
その瞬間、レオンは初めて悟った。
宇宙は、彼が想像していたより遥かに危険だった。
第19話 終わり
後書き:
第19話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
このエピソードでは、これまでの戦いの背景にある“本当の問題”の存在を描きました。
レオンが見たものは、これからの展開に大きく関わっていきます。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
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