アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第17話「混沌の訓練」
前書き:
第17話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回は少し雰囲気を変えて、コメディ回になります。
普段は真剣に戦っているメンバーたちの、日常の一コマを描いたエピソードです。
戦いの合間の休息として、気軽な気持ちで楽しんでいただけたら嬉しいです!
第17話「混沌の訓練」
アルファ組織の基地には、珍しく穏やかな空気が流れていた。
宇宙を救う戦いの合間。
ほんのわずかな休息の時間である。
――しかし。
その平穏は、長くは続かなかった。
訓練場の中央に、リーが立っていた。
手には笛。
「今日は軽めの訓練を行う。
戦術中心だ。無理はするな」
レオンが大きくあくびをする。
「つまり……走るだけですよね?」
リウが肩をすくめる。
「安心して。私、全力で負けるから」
次の瞬間。
ゴゴゴゴ……。
レオンが地面を操作しようとして――
巨大な岩が浮き上がる。
そして。
ドンッ!!
岩がそのままリーの背後に落ちた。
「……」
リーは固まった。
レオンは青ざめる。
「すみません」
リーが顔を押さえる。
「始まって五秒だぞ……」
レオンは訓練用の障害物を作ろうとした。
だが計算を誤る。
石の壁が崩れ、リウの上に直撃した。
ドサァ!!
しばらく沈黙。
瓦礫が動く。
中からリウが立ち上がった。
髪は逆立ち、煙が上がっている。
「レオン……」
低い声。
「これは訓練じゃない。
暗殺だ」
リーが頭を抱えた。
「だから無茶するなと言ったんだ……」
そこへララが現れる。
手には皿。
その上に、小さなチョコ菓子が一つ。
「この訓練に勝った人に、これをあげるわ」
レオンの目が輝く。
「……菓子」
リウの闘気が変わる。
「絶対に負けない」
リーが遠い目をした。
「これは……荒れるな」
競争が始まった。
レオンは全力で走る。
しかし自分が作った根に躓いて転倒した。
一方、リウは鎖を使って空中移動。
だが鎖が絡まり、リーを巻き込む。
二人はそのまま水槽へ落下した。
バシャーン!!
リーが水から顔を出す。
「なぜ私まで……」
次の瞬間、レオンとリウは菓子へ一直線に突進した。
レオンが土の波を起こす。
リウは鎖で水桶を引き寄せる。
リーが叫ぶ。
「やめろ!訓練だぞ!」
――バシャッ。
水風船がレオンの顔に直撃した。
レオンの前髪が垂れ下がる。
沈黙。
「……戦争だ」
土が爆発的に舞い上がる。
リウが笑いながら回避し、リーは全力で逃げた。
その時。
ララの手から菓子が滑り落ちた。
全員が叫ぶ。
「待てぇぇぇ!!」
菓子は地面を転がり、鎖の間を抜け、レオンの足元を通り――
最後に、リーの前で止まった。
リーは飛び込み、掴む。
ゆっくり立ち上がる。
握られているのは、潰れた菓子。
リーは高く掲げた。
「勝利は……私のものだ」
その後。
三人は中庭に座っていた。
泥だらけ、びしょ濡れ、ボロボロである。
リウが呟く。
「結局、誰も勝ってない」
レオンは潰れた菓子を食べる。
「いや、勝者はいる」
リーも食べる。
「この訓練の目的は……空腹対策だった」
ララは遠くから彼らを見つめ、深いため息をついた。
宇宙を救う英雄たち。
だが――
混乱を起こす才能も、宇宙規模だった。
第17話 終わり
後書き:
第17話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
この回では、戦闘やシリアスな展開ではなく、
キャラクターたちの性格や関係性が少しでも伝わればと思い書きました。
アルファ組織のメンバーも、戦うだけでなく普通に笑ったり騒いだりする一面があります。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
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次回からは再び本編の物語が進んでいきますので、今後ともよろしくお願いします!




