アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第16話「リーの決断」
前書き:
第16話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回は救出作戦の後の出来事と、アルファ組織の新しい動きが描かれる回になります。
リーの選択が、これからの物語にどのような影響を与えるのかにも注目していただけたら嬉しいです。
また、物語の裏で少しずつ新たな脅威も動き始めています。
ぜひ最後まで読んでみてください!
第16話「リーの決断」
救出作戦は成功した。
アルファ組織の本部には、かつてないほど多くの人が集まっていた。
広大なホールには七百人以上の女性と子どもたちが並び、不安と安堵が入り混じった空気が漂っている。
その前に、リーが立った。
彼は静かに全員を見渡し、口を開く。
「まず、神に感謝する。
誰一人、命を失わずに済んだ」
人々の表情が少し和らぐ。
「この施設は五千人まで収容できる。
ここにいる全員が暮らす場所はある。安心してくれ」
安堵の涙を流す者もいた。
リーは振り返る。
「リウ、ララ。彼女たちを案内してくれ。
食事と休息の準備を」
二人は頷き、女性たちを連れていく。
そしてリーはレオンを見る。
「レオン、お前は訓練室へ――」
だが、ララがすぐに彼の腕を掴んだ。
「その前に検査よ」
レオンは顔をしかめる。
「え?」
「宇宙に直接出たのよ?放射線を浴びていたらどうするの」
彼女は半ば強引に連れて行く。
レオンはため息をつきながら引きずられていった。
会議室。
リーとラウラは、年老いた女性と少女の前に座っていた。
アンシア・ジュと、その娘ジュンだった。
リーが尋ねる。
「何があった?
君たちが通常の航路から外れていた」
アンシア・ジュは震える声で答えた。
「突然、襲撃を受けました……
自らをK9910Kと名乗るアンドロイドに」
彼女の手が震える。
「子どもを十人、連れ去ろうとしたのです。
五人の男児と、五人の女児を」
ラウラの表情が強張る。
「私たちは戦いました。
しかし……強すぎた」
彼女は目を閉じた。
「二十二人の戦士を失いました」
室内に沈黙が落ちる。
「そして子どもたちを船に乗せ、
岩の重力エンジンを破壊したのです……私たちは小惑星帯へ流されました」
ジュンが拳を握る。
「……死ぬかと思った」
アンシア・ジュはリーを見つめる。
「また、あなたに救われました。
どうか望みを言ってください。私たちは応えます」
リーは少しの間考えた後、静かに言う。
「ならば――ここに残ってくれ」
二人が驚く。
「組織は人手不足だ。
私が総司令になってから、多くが去った。私はクライザディアンだからな」
彼は天井を見上げた。
「だが、神が私をここへ導いたと信じている。
君たちが言う“世界を喰らう者”――
おそらく、それが君たちの星を滅ぼした原因だ」
ジュンが立ち上がる。
「違う!
神は私たちを助けなかった!」
ラウラが間に入る。
「大事なのは、今みんなが生きていることよ。
ここで働いてほしいの。給与も出るし、子どもたちも守られる」
アンシア・ジュの瞳に涙が浮かぶ。
「……祈りは、届いたのですね」
小さく呟く。
「ありがとう、イェシュア……」
医療室。
レオンはベッドに座らされていた。
ララが検査機器を操作している。
「異常なし……でも」
彼女は腕を組む。
「無茶はやめて。宇宙は遊びじゃないのよ」
レオンは視線を逸らす。
「分かったって……」
ララはため息をつく。
彼は苦笑した。
その頃――
遠く離れた惑星。
大地は金属の森に覆われ、空は緑色に光っている。
二人の巨大な戦士が立っていた。
猿のような体格に、機械装甲を纏っている。
「次の侵攻に使う」
ギンが低く言う。
「価値ある星を見つけた。
我々の利益のためにな」
もう一人が笑う。
「どうせ最後は我々が勝つ」
不気味な雲が空を覆う。
宇宙のどこかで、静かに新たな脅威が芽生えていた。
第16話 終わり
後書き:
第16話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
今回のエピソードでは、戦闘ではなく“守ること”や“居場所”をテーマにしています。
アルファ組織は戦うだけの集団ではなく、多くの人が生きるための場所でもある――そんな一面を描きました。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
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