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ブラック・エンジェル・ユニバース  作者: Leon Black Angel


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403/409

第399話 「隠されし王」

仲間同士の激闘が、ついに最終局面を迎える。

積み重ねた絆、隠し続けた力、そして誰もが知らなかった真実――

この一戦が、トーナメントの常識を塗り替える。

どうぞ、最後まで見届けてください。

挿絵(By みてみん)

スタジアムの観客は総立ちになり、誰一人として落ち着いて呼吸する者はいなかった。

アリーナの地面は徹底的に破壊され、

砕けた黄金の結晶、

散らばった影の痕、

炎の焦げ跡、

無数のクレーターが広がっている。

まるで戦場の縮図だ。


その中央には、

ソルとキラが、

荒い息を吐きながら、

傷つきながらも、

なお立ち続けていた。


反対側には、

レオン、ララ、ズィラ。

観衆は未だに状況を飲み込めずにいる。

ララが無数の黄金の光の構造物を展開し、

ズィラが幾重もの幻を生み出している。

だがララは、すべてを計算し尽くしていた。


「ズィラ、今よ!」

ズィラが手を挙げると、

影がアリーナ全体を覆い尽くす。

十五、三十――

無数のズィラが姿を現す。


「どれが本物だ?!」レオンが叫ぶ。

「考えすぎるのよ」ララの声が響く。

同時に黄金の光の弾が四方から爆発する。

ドゴン!

レオンは一つ、二つ、三つと弾き飛ばす。

だがその背後――

ズィラが真に現れる。


「見つけたわ」

紫の鎖が彼の両足を巻き締める。

そしてララが真正面から迫る。

「ごめんね、レオン」


バシッ!

鋭い一撃。

さらに一撃。

そしてもう一撃。

ドゴォォォォン!!

レオンは地面を削りながら吹き飛ばされた。

静寂が会場を包み、

次の瞬間、スタジアム全体がどよめく。


「ララとズィラ、決めたか!!」

「ついにレオンを倒した!!」


ソルが目を見開く。

「レオン!」

だがレオンはゆっくりと立ち上がり、

ただ静かに状況を見つめている。


ララが肩で息をしながら言う。

「やったわ」

ズィラは微笑む。

「まだだけどね」


その時、別の場所では――

キラがただ一人、ソルだけを見つめていた。

他の誰も、何も、目に入っていない。


「まだ終わってないわ」

紅蓮の炎が彼女の周りで立ち昇る。

ソルもまた、黄金の炎を纏って応える。

「やっとね」

「チームもなし、

邪魔もなし、

私たち二人だけで」

キラが拳を握りしめる。

「この時をずっと待ってたんだから」


閃光。

二人の姿が一瞬で消える。

ドゴォォォォォン!!

衝撃波がアリーナを揺るがし、

紅の炎、

拳、

蹴り、

そして大爆発が連続する。

スタジアム全体が激しく揺れ、

観客は声を上げる。


「速すぎて見えない!!」

「追いつけない!!」


リュウが真剣な面持ちで頷く。

「あの二人、本当に大きく成長した」

ジュンが腕を組む。

「もはやただのライバル心じゃない。

誇りをかけた戦いだ」


キラが回転し、鋭い蹴りを放つ。

ソルがそれを受け止める。

キラが微かに笑う。

「強くなったじゃないか」

「そっちこそね」

ドゴン!

爆発と共に二人は後ろへ弾き飛ばされ、

地面に倒れ、

そして同時に起き上がる。


「どうしてあんたは、こんなに私の癪に障るんだ?!」キラが叫ぶ。

ソルが荒い息の中で答える。

「あんたは、かつての私を思い出させるからよ」


沈黙。

キラの動きが止まる。

「え?」

「私は勝つためだけに作られた。

壊すために、

決して負けないために。

それは――

あんたと同じなのよ」


キラが再び突進する。

「私を一緒にしないで!!」

ドゴォォォォン!!

二人は全力でぶつかり合い、

炎が閃光となってスタジアムを白く染め上げる。


煙が晴れた時、

二人は並んでひざまずいていた。

息も絶え絶えで、

まばたきすらままならない。

起き上がろうとして、

その力が尽きる。


審判が手を高く掲げる。

「ソル、キラ――

両者、戦闘不能!!

引き分け!!」


スタジアムが歓声と驚きの声で満たされる。

「引き分けだと?!」

「二人とも同時に倒れたのか!!」


ララが目を見開く。

「キラ…」

ズィラが駆け寄り、彼女を支える。

「本当に凄かったわ」

ソルもキラも互いを見つめる。

笑顔はない。

だが初めて、

憎しみの色も消えていた。


ここに残ったのは三人。

レオン、ララ、ズィラ。

レオンは二人を見て、

穏やかに微笑む。

「さあ、

俺たち三人だけだ」


ララが拳を固く握りしめる。

その瞳が、

徐々に黄色く、

狼のような光に変わっていく。

ソルが息を呑む。

「まさか…

ララって…」

キラが囁く。

「知らなかったのか?

彼女はハイブリッドなんだ」


黄金の光が爆発的に広がり、

光の槍や盾、

クリザードの爪、

エクスプリアンのエネルギーが次々と現れる。

ズィラがララの隣に立つ。

「全力でいくわよ」

レオンが嬉しそうに笑う。

「それが聞きたかった」


ドゴォォォォン!!

ララが最高速で突進する。

爪、

光の構造物、

閃光が一斉に襲いかかる。

ズィラは背後から影、幻、精神干渉を放つ。

だがレオンは、

一歩、また一歩と、

あらかじめ分かっていたかのように難なくかわしていく。


「当たらない!!」ララが絶望する。

ズィラも目を見開く。

「まさか…

彼、全部見えてるの?!」


彼の瞳もまた、

狼のような黄金に輝いていた。

動きも、呼吸も、心の奥底の考えさえも、

すべてを見透かしている。

天の剣が蒼く輝く。

カキンッ!

黄金の構造物を一刀両断し、

影を切り裂き、

精神の結界を打ち砕く。


「ありえない!!」ズィラが叫ぶ。

「思考まで読まれてる!!」


ララがさらに力を込め、速く、激しく襲いかかる。

レオンは笑いながらかわし続ける。

「ララ…

本当に強くなった。

だけど――

まだ考えすぎてる」


ドゴン!

彼女は後ろへ弾き飛ばされる。

ズィラが深呼吸し、決意を固める。

「なら、彼の心の中に入るわ」


紫のエネルギーと共に暗闇が広がり、

彼女はレオンの意識の奥へと踏み込む。

そこにはただ、

果てしない暗闇が広がっていた。

だが次の瞬間――

彼女はそれを見た。

紅い瞳、

五本の尻尾、

漆黒の翼、

そびえ立つ巨大な狼の姿。

カイロス。


彼が目を覚ました瞬間、

圧倒的な威圧がすべてを覆い尽くす。

「お前は――

ここには来る資格がない」


ズィラの全身が凍りつく。

「う、そんな…!」

カイロスが一歩踏み出し、彼女の首筋を掴む。

「出ていけ」


ドゴォォォォン!!

ズィラは意識の世界から弾き飛ばされ、

現実でもひざまずく。

呼吸が乱れ、エネルギーが不安定に波打つ。

「何なの…あれは…!

あんたの中に、一体何がいるの?!」


レオンは悲しそうに、だが真剣な表情で言う。

「ごめん。

だが、少しだけ――

俺のララと、二人きりにさせてくれ」


ドゴォォォォン!!

彼が足を一歩踏み鳴らすと、

衝撃波がズィラを捉え、

アリーナの外へと吹き飛ばした。


「ズィラ、失格!!」

キラが駆け寄る。

「ズィラ!大丈夫?!」

彼女は咳き込みながら囁く。

「やっと…

分かったわ…

ララ…

あんたの言う通りだった…

私たち、彼を甘く見すぎてた…」


静寂がアリーナを包む。

ララが一人、その場に立ち尽くす。

スタジアム中の視線が、

彼女とレオンに注がれている。

レオンが彼女の真正面に立ち、

穏やかに微笑む。

「さあ、

本当に俺たち二人だけだ」


ララが深呼吸し、

狼のような瞳が強く輝く。

「絶対に勝つ。

これが最後だとしても、勝ってみせる」


ドゴォォォォン!!

彼女が最高速で襲いかかる。

爪、光、すべてを叩きつける。

レオンは一度、二度、十回、五十回と、

すべてを寸前でかわし続ける。


「いや!

当たってよ!!

レオン!!」

その時、彼は突然彼女の目の前に現れ、

両腕を優しく掴む。

ララの動きが完全に止まる。

「あんた…

本当に…

強くなった。

強すぎるくらいだ」


彼女が震えながら叫ぶ。

「なら、本気で戦ってよ!!」


沈黙。

レオンが優しく微笑み、

彼女を強く抱きしめる。

スタジアム全体が凍りつく。

「え?!」

そして彼は、そっと唇を重ねた。


次の瞬間、スタジアムは歓声で爆発する。

「レオン?!

今、試合中だぞ?!」

ナンドが飛び跳ねる。

「さすが俺の友だ!!」

レニが呆れたように呟く。

「こいつ、本当に規格外だな」

ソルもただ見つめ、

そして初めて、柔らかく微笑んだ。


レオンが一歩下がり、

瞳が蒼く輝き、

クリザードのオーラが渦を巻く。

ドゴォォォォォン!!

ララが黄金の盾を構えるが、

その盾はひび割れ、

そして砕け散り、

彼女はそのままアリーナの外へと弾き飛ばされた。


完全な静寂。

審判がゆっくりと手を掲げる。

「勝者――

レオンチーム!!」


スタジアム中が総立ちになり、

拍手と歓声が鳴り止まない。

ライコーが初めて満面の笑みを浮かべる。

「そうか…

こいつ、ずっと隠してたんだな」

カエルが真剣に頷く。

「やっと分かった」

カエンが楽しそうに笑う。

「実に面白い」

ヴァロンはただ見つめ、

心の底から驚いていた。

レニは長い間、レオンの姿を見つめ続け、

やがて囁く。

「レオン…

これが、お前の本当の姿だったのか」


レオンは駆け寄り、ララを手伝って立たせる。

ララが笑う。

「あんたと戦うのは、本当に嫌いだわ」

「知ってる」

「でも、あんたが一番凄かった」


巨大スクリーンに文字が浮かび上がる。

次のステージ――準決勝


そして、この瞬間、

誰もがようやく理解した。

ララがいつも言っていた通り、

このトーナメントで最も危険な相手は、

ヴァロンでもなく、

ライコーでもなく、

時の双子でもなかった。

レオンだったのだ。


(第399話・完)

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

今回は仲間同士の戦いが、絆と真実を露わにする一戦となりました。隠された力、種族の秘密、そして戦いの中で変わらずにある想い――多くの伏線が回収され、いよいよ準決勝へと向かいます。


もしこの物語を気に入っていただけましたら、ブックマークやお気に入り登録をお願いいたします。また「今回一番心に残ったシーンはどこですか?」「準決勝では誰と誰が戦うと思いますか?」など、どんなご意見やご感想でもコメントで教えていただけますと、本当に励みになります。


次回は、トーナメント最強の戦士たちがついに正面からぶつかり合います。どうぞお楽しみに!

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