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ブラック・エンジェル・ユニバース  作者: Leon Black Angel


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400/411

「友よ… ホイッスルが鳴るまで」

予選を勝ち抜き、いよいよ幕を開けた第二ステージ。

実力伯仲の戦いが続く中、静かな夜に一人の王女は思いを巡らせ、そして誰もが予想だにしない組み合わせが、運命のように決まる――。

今回は、絆が試される瞬間を描いてみました。

挿絵(By みてみん)

夜が明け、穏やかな朝が訪れた。

数日間で初めて――

爆発も、

空を裂くエネルギーも、

絶叫もない。

国際拠点が、ようやく息をついたかのようだった。

だがその平穏の裏には、

張り詰めた空気が流れていた。

第二ステージが始まったのだ。

そしてこれからは、

もはや「弱いチーム」など存在しない。


北の山々は静寂に包まれ、

冷たい風が岩肌を撫でていく。

そこに四つの影が現れた。

それぞれの種族の代表。

ブズ、

ヴァルダリア、

黒き炎、

そして中央にはソル。

変装した三人のンハリスがひざまずく。


「我らが姫よ」偽のヴァルダリア人が告げる。

「派遣した工作員は、

全員排除されました」


ソルは真剣な面持ちで言う。

「ガブリエル……」

ブズの姿をしたンハリスがうつむく。

「その名は、伝説の中でしか知られておりませんでした。

ただの物語だと思っておりました。

だが彼は実在し、

K11を守護しているということです」


風がソルの髪をなびかせる。

彼女は黙り込み、考えを巡らせる。

レオン、

ララ、

ダラム、

ジュン、

ナンドのことを。

笑い声、

ふざけ合い、

言い争い、

音楽、

そこにいた人々のことを。


「危険すぎる……」ソルが囁く。

「もしこの地が、本当に創造主に守られているのなら……

一度でも不手際を犯せば、

全員の正体が暴かれてしまう」

彼女は腕を組む。

「何もするな。

情報を集めるのは私に任せろ。

ダラムから、

ララから、

チーム全体から、

何か手がかりを探す。

わかったか?」


「はい、姫」

三人の影は、たちまちに消え去った。


静寂だけが残る。

ソルは一人、空を見上げる。

雲がゆっくりと流れていく。

「本当に神様が、この場所を守ってくれているの?」

返事はない。

「なら……

お願い。

もう、どうすればいいのか、わからないの……」


彼女はうつむき、

心の中の空白と、

決められない思いに、

涙を浮かべる。

「この一年が、

終わらなければいいのに……」


昼間だというのに、

一筋の星が輝いた。

小さく、

遠く、

だが確かに輝いた。

ソルはその星を見つめ、

しばらく佇んだ。

そしてゆっくりと、

両手を広げて仰向けに倒れ、

空を見上げた。


「もしかしたら……

聞いてくれているのかもしれない。

返事はなくても。

それとも……

それこそが答えなのかも。

わからない。

だけど……

ありがとう。

彼らを、

私には値しないけれど、

出会わせてくれて。

この時間を、

少しの間だけでも、

生きさせてくれて。

ありがとう。

神様。

創造主。

どんな呼び方でも。

ありがとう。

この場所を。

そして彼らを。

何よりも……

彼らを」


「一人で何を言ってるの?」

ソルはびくりと跳ね起きた。

「ひゃっ!」

ダラムが後ろに立って、腕を組み、くすくす笑っている。


「びっくりさせないでよ! 死ぬかと思ったじゃない!」

「ごめんごめん」

「全然ごめんじゃない! 何の用よ?」

「レオンに呼んで来いって頼まれた。今日はみんなでうちに泊まるんだ」

「えっ? 嫌。一人で寝る」

「いつもそう言って、いつも来るくせに」

「寝顔、汚いから」

「嘘つけ」

「うるさい。行く」

「行かない」

「行くってば!」

「ソル」

「ダラム!」

「ララはもう知ってるって」

「……」

「レオンが伝えておいたって」

「……それで?」

「キラも来る」

「……」

「ナンドも」

「……」

「それに、レオンがピザ用意するって言ってたぞ」


ソルがぱっと起き上がる。

「何をぐずぐずしてるの! 早く行きなさいよ!」

ダラムが声を上げて笑う。

「本当、単純だな」

「うるさい!」


――場面転換。ダラムの家。夜。

テーブルは食べ物でいっぱいになっている。

ナンドが夢中で食べ続けている。


「ナンド……もう八枚目だぞ」

「負けたんだ。取り返さないと」

「そういう問題じゃないでしょ!」ララが突っ込む。

レオンは楽しそうに笑い、ジュンは呆れたように首を振り、リュウはコーヒーをすすり、レニはその様子を眺め、ケルは笑い、ヴィニは部屋を走り回っている。


ソルは静かに座り、

ただその輪を見つめ、

その瞬間を心に刻みつけていた。

まるで、

この時間がかけがえのないものだと、

知っているかのように。


レオンが立ち上がる。

「よし、戦術の話だ」

全員が真剣な顔になる。

ホログラムが浮かび上がり、第二ステージの組み合わせと、残ったチーム名が表示される。


「もはや相手になめられる相手はいない。

これからは、ほんのわずかな差が勝負を分ける。

チームワーク、

心の制御、

それが何より大事だ」


キラが腕を組む。

「手短に言って」

「情報によると、

能力を無効化するチームもいるし、

持久戦で追い詰めてくるチームもある。

だから、

どんな相手にも対応できるように備えないといけない」


――場面転換。ララの部屋。

キラ、ズィラ、ララの三人。

地図を広げ、メモを取り、作戦を練っている。


「キラ、もしレオンたちと当たったら……

冷静になること。

特にソルとは、絶対に感情的にならないで」

キラが目を閉じる。

「わかってる。

台無しにしたりしない」

「約束して?」

「約束する」


ズィラが微笑む。

「だってキラが暴走したら、

ララもつられちゃうでしょ。

そうなったら終わりだもん」

「ちょっと!」

三人は声を上げて笑った。


――場面転換。レニの部屋。

カム、カミ老人と共に。

「やっぱりヴァロンが本命だな。

時の双子も強敵だ」

レニが腕を組む。

「関係ない。

誰が相手だろうと、

倒すだけだ」

カムがにっこり笑う。

「自信満々だな」

「そうじゃない。

無駄な時間はもう嫌なだけだ」


――場面転換。翌朝。スタジアム。

満員の観客で埋め尽くされ、

先日よりもさらに熱気が高まり、

張り詰めた空気が会場を包んでいる。


「皆様! こんにちは!

ようこそ、第二ステージ開幕戦へ!」

歓声が轟音となって湧き上がる。

ナンドが興奮して叫ぶ。

「いけー!」

レオンは深呼吸をし、ソルは真剣な面持ちで、ララは腕を組んで見つめる。


巨大スクリーンが輝き、

抽選が始まる。

チーム名がぐるぐると回り続ける。

回る、回る、回る――

そして止まった。

スタジアム全体が、一瞬で静まり返る。


レオンが見つめ、ダラムが見つめ、ソルが見つめ、ララが目を見開き、キラが立ち上がり、ズィラが動きを止める。

スクリーンに表示された文字は――


レオン・ダラム・ソル

VS

ララ・ズィラ・キラ


静けさが会場を支配する。

「嘘だろ……!」ナンドが叫ぶ。

「このタイミングでかよ!」

ジュンも驚きを隠せない。

「これはすごいことになるぞ……」

リュウが真剣な顔で言う。

「胸が痛むな……」


キラがゆっくりと、

まっすぐソルを見つめる。

ソルも見返す。

二人の脳裏に、

共に過ごした訓練、

言い争い、

からかい合い、

競い合った日々がよぎる。


ララが深呼吸をする。

「キラ、

さっき話した通りだからね。

感情的になったら、

チーム全体が危ない」

「わかってる」

「でもソルは私に任せて。

倒すのは、

私だから」


ソルが腕を組み直す。

「やっとだね」

ダラムが唾を飲み込む。

「さあ、行こうか」


レオンが歩き出し、

二つのチームがアリーナ中央に進み、

向かい合う。


ララがレオンを見て、にっこり笑う。

「手加減しないでよ」

レオンも笑い返す。

「いつもしてないだろ」

「嘘つき」

「そうだな。少しだけなら」

「レオン」

「ん?」

「全力でやって。

あなたもね」


ズィラが楽しそうに言う。

「これは面白くなりそうだわ」

キラが拳を握りしめ、ソルも同じように握りしめる。

ダラムがララを見つめる。

「恨みっこなしだぞ」

「もちろん」

「試合が終わったら……

ピザだ」

「ピザね、約束よ」


観客席からナンドが叫ぶ。

「レオーン!

彼女に負けるなよー!」

「うるさい、ナンド!」レオンが返し、

スタジアム中が笑いに包まれる。


ヴァンダーが見つめ、ヴァロンも見つめる。

「いい試合になるな……」

ヴァロンが腕を組む。

「いや、

歴史的な試合になる」


実況者が腕を高く掲げる。

「さあ、選手の皆さん、準備はよろしいですか!

第二ステージ、

いよいよ――

開始!!」


六つのオーラが一斉に噴き上がる。

青、

黄、

紅、

緑、

影、

炎。

スタジアムの観客全員が立ち上がり、

そして初めて、

友が、

仲間が、

敵として向かい合う時が来た。


(第396話・完)

次回予告:「友よ… 最初の一撃が鳴る時」

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

いよいよ始まった第二ステージですが、まさかの展開に驚かれた方も多いのではないでしょうか。仲間同士が戦うことになった時、彼らは何を想い、どんな戦いを見せてくれるのか。今後の展開にぜひご期待ください。


もしこの物語を気に入っていただけましたら、ブックマークやお気に入り登録をお願いいたします。また、「最近どのキャラクターが一番気になる?」「これからどんな活躍を見てみたい?」など、どんなことでもコメントで教えていただけますと、作者として大変嬉しく、執筆の励みになります。


次回はいよいよ試合開始です。どんな一撃が飛び出すのか、どうぞお楽しみに!

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