第394話 「生き残り対伝説」
第11シーズン第394話をお届けします。
傷つきながらも立ち向かうナンドと、あらゆる次元を超えた圧倒的な存在・ライカー。
「速さ」「力」「経験」——すべての差が明らかになるとき、本当の強さとは何かが問われます。
そして予選最終戦、次なるステージへの扉が開かれます。
スタジアム全体が立ち上がった。
誰も座らない。
誰も瞬きしない。
空気は重く、
危うく、
張り詰めていた。
アリーナの片側には——
ナンド。
一人きり。
傷つき、
荒い息をついている。
その背後には、
ナナとダラム。
敗れて倒れている。
反対側には——
叔父ライカー。
微動だにしない。
黒いブレスレットがまだ地面に転がっている。
彼を取り巻くエネルギーは、空間そのものを歪めていた。
金色の稲妻が空を裂く。
実況アナウンサーが唾を飲み込んだ。
「皆様……
私たちが目にしているのは、
ただのエージェントなのか、
それとも生きる災厄なのか……」
ヴァロンは厳しい表情で腕を組んだまま言った。
「これで分かるだろう。
なぜ俺がこの男を敬うのかが」
レオンは見つめていた。
視線を外さずに。
ソルも同じく。
レニは笑った。
「どこまでやれるか、見てみたい」
カエルとカエンは奥に控え、
二人の双子は今や完全に沈黙していた。
ナンドは口の血を拭い、
笑みを浮かべた。
「よし……
なら、いこうぜ」
BOOOOOOOOOM!!
ナンドが消えた。
最高速度。
ブズ族の生命力が爆発する。
ドン!!
最初の一撃。
ライカーが片手で受け止めた。
静寂。
スタジアムが凍りついた。
ナンドは目を見開いた。
「な……んだ……」
ライカーは微動だにしない。
「いい力だ」
ドン!!
膝蹴り。
ナンドは腕を組んで防御した。
それでも——
BOOOOOOOOM!!
数十メートルも吹き飛ばされた。
地面が砕け散る。
レオンが手すりを握りしめた。
「すげえ……」
ララが険しい表情で言った。
「彼を一ミリも動かせてない……」
ナンドが立ち上がる。
荒い息をつきながら。
「そうか……
そういうことか」
エネルギーが爆発した。
さらに強く。
さらに速く。
さらに激しく。
BOOOOOOM!!
今度は四方八方から現れる。
右。
左。
上。
下。
数十、数百、数千の打撃が乱れ飛ぶ。
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!!
スタジアム全体が揺れる。
煙がすべてを覆い尽くした。
静寂。
そのとき——
ライカーの瞳が浮かび上がった。
動かず、
冷たく。
「終わりか?」
スタジアム中が固まった。
ナンドの動きが止まる。
「そんな……
ありえない……」
ライカーが目の前に現れた。
速すぎて捉えられない。
「技は……
経験には勝てない」
ドン!!
拳が突き刺さる。
ナンドが血を吐く。
ドン!!
また一撃。
ドン!!
さらにもう一撃。
BOOOOOOOOM!!
スタジアムの床が裂けた。
「ナンド!!」ララが叫ぶ。
ケルが立ち上がる。
「やめてくれ!!」
ヴィニは手を握り締め、祈るように呟いた。
「立って……
立ってくれ……」
ナンドは立ち上がろうとする。
だが——
ライカーが現れる。
毎回。
必ず。
ドン!!
肋骨。
ドン!!
腹。
ドン!!
顔。
ドン!!
胸。
スタジアムの観客は気づき始めた。
これは……
もはや勝負ではない。
絶対的な支配だ。
レニが初めて険しい顔になった。
「マジかよ……」
ヴァロンが低い声で言った。
「言っただろう。
彼はまだ本気を出していない」
ヴァンダーが頷く。
「ライカーは本当の戦場を生きてきた。
こんな大会のために鍛えられた男じゃない」
ナンドが再び立ち上がる。
体を震わせ、
血を流しながら。
「まだ……
終わってない……」
ライカーが見つめた。
初めて、
その瞳に敬意が宿った。
「お前は粘り強い。
本当に、並外れてな」
沈黙が流れる。
「だが、粘り強さだけでは……
足りないんだ」
BOOOOOOOOOOOOM!!
エネルギーが爆発し、ライカーが消えた。
レオンが目を見開く。
「消えた?!」
ヴァロンが答える。
「いや。
お前が追いつけなくなっただけだ」
ドンッ!!
静寂。
ナンドの動きが止まった。
拳が腹に突き刺さっている。
視線が定まらなくなり、
体がくの字に折れる。
ライカーは彼が倒れる前に支えとめた。
「お前の戦い方は見事だ。
お前の種族も、誇りに思うだろう」
そして——
BOOOOOOOOM!!
ナンドはアリーナの端から端まで吹き飛び、壁に叩きつけられた。
完全なる静寂。
審判は信じられない面持ちで見つめていた。
「な……
ナンド……」
反応はない。
ケルは涙を浮かべ、
ヴィニはうつむいた。
レオンは歯を食いしばり、拳を握りしめた。
信じられないほど、強く。
ララが心配そうに呼びかける。
「レオン……?」
彼は答えなかった。
ナンドが立ち上がろうとする。
一度。
二度。
三度。
倒れる。
また試み、
また倒れる。
呼吸が乱れ、体はボロボロだ。
それでも——
まだ、挑もうとしている。
ライカーは沈黙した。
カエルが笑う。
「終わりだな」
カエンが腕を組む。
「最初から相手になってなかった」
レニが立ち上がった。
「おい」
二人が振り向く。
レニは不敵に笑った。
「お前らは負けたんだ。
黙ってろよ」
カエンが鼻で笑う。
「そうか?
じゃあ次にお前らが相手するときは——
もっとひどい目に遭うぞ」
レニは牙を見せるように笑った。
「待ってるよ」
カムが腕を組み、にっこり笑う。
「楽しみだな」
審判が手を挙げた。
「ナンド……
これ以上は戦闘続行不可能……
ライカーの勝利!!」
BOOOOOOOOOOOOM!!
スタジアムが歓声で沸き返った。
彼を敵に回そうとしていた観客までもが、
総立ちで拍手を送る。
ありえない、
圧倒的な、
支配的な戦いぶりに。
ライカーはただ深く息をつき、
転がっていたブレスレットを拾い上げ、装着した。
まるで何もなかったかのように。
レオンがゆっくりと階段を下り、
ナンドのもとへ駆け寄り、肩に手を置いた。
「お前はすごかった」
ナンドがかすかに笑う。
「ボロボロにされただけだよ……」
「違う」レオンははっきりと言った。
「お前は伝説と戦って、最後まで立ち上がったんだ」
ナンドが息をつく。
「あの人……
マジで化け物だ……」
レオンはアリーナを見た。
ライカーが何事もなかったかのように、穏やかに歩き去っていく。
そのとき、小さく、だが心からの笑みが浮かんだ。
ララが気づく。
「やる気になったのね」
「ああ」レオンは目を輝かせた。
「あの人と戦ってみたくなった」
ソルが驚いて叫ぶ。
「正気?!
「そうね……」
「レオン、あの人はナンドをあと一歩のところまで追い詰めたのよ?」
レオンはにっこり笑う。
「なら、もっと面白そうだ」
レニが声を上げて笑う。
「こいつは懲りないな」
ヴァロンは黙って見つめ、
ヴァンダーが隣に立つ。
「同じことを考えているか?」
「ああ」
「もしレオンがライカーと戦うことになれば……
この大会史上、最大の一戦になるだろうな」
巨大スクリーンが切り替わる。
ランキングと、
予選通過チームの名前が表示される。
予選リーグ——
終了。
実況アナウンサーが声を響かせる。
「皆様!!
予選リーグが——
ついに終了しました!!
これから先は——
一歩も間違いは許されない!!
頂点を目指す者だけが——
次のステージへ進むのです!!」
光と炎と歓声が渦巻く。
期待が高まる。
レオンはアリーナを見渡した。
ライカーの姿はもうない。
だが初めて、
心から戦いたいと思える相手がいることを感じた。
そして通路の奥で——
ライカーは歩を進め、
ふと立ち止まって振り返り、
初めて笑みを浮かべた。
「レオン……
お前の本当の実力を、見せてもらおう」
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。限界を超えて戦うナンドの姿、そして伝説の実力を見せつけたライカーの存在感を少しでも感じていただければ幸いです。
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また、今回の激闘についてのご感想やご意見など、コメントをいただけますと作者として大変励みになります。
次回からは決勝トーナメントが開幕します。「怪物たちが戦い始めるとき、英雄たちは自らの限界を超えなければならない——」さらに激しい戦いが待ち受けていますので、どうぞお楽しみに!




