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ブラック・エンジェル・ユニバース  作者: Leon Black Angel


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黒き天使 第11シーズン 第382話 「影に抗う時間」

いよいよ第11シーズンが開幕します。ついに幕を開けた「星々の大トーナメント」。第一試合から、時の守護者たちとヴァーロンが、その次元の違う実力を見せつけます。彼らが織りなす圧倒的な力の差を、ぜひお読みください。

挿絵(By みてみん)

ついにその日がやってきた。

数ヶ月にわたる準備、特訓、数多の任務、喪失、そして変化。この宇宙で最大規模となるトーナメントがいよいよ幕を開ける。巨大母艦の中は、まるで一つの生き物のように脈動していた。

廊下は人波で溢れ、鎧の調整をする者、最後の打ち合わせをする者、冗談を言い合う者、そして死への恐怖を隠す者。

ナンドが廊下を駆け抜ける。

「急げ! 開幕に間に合わなくなるぞ!」

「あんた、お菓子を買いに行く子供よりはしゃいでるわね」ソルが腕を組んで呆れ返る。

「当然だろ!」

レオンが笑い、その横をラーラが並んで歩く。ダーリアムは少し後ろを歩いていた。ソルがチラリと彼を見て、すぐに視線を逸らす。

「相変わらずぎこちないな」レオンが囁くと、「ええ、本当に」とラーラが微笑んだ。

レニやカム、ケル、そしてヴァーロンも続き、古の賢者カエルとサエルが静かに後に続く。彼らが姿を見せるだけで、周囲の参加者たちは張り詰めた緊張感に包まれた。

目の前に現れたのは、巨大なスタジアムだった。数百万の観客を収容できるコロッサルな建造物。空にはホログラムの巨大スクリーンが浮かび、何十もの種族の旗が掲げられている。かつては憎しみ合っていた者たちが、今日は隣同士で席を並べていた。

中央にナレーターが姿を現す。

「ご列席の皆様!! ようこそ、『星々の大トーナメント』へ!!」

スタジアムが揺れるほどの歓声が爆発する。ナンドが興奮のあまり観客席から落ちそうになる。

「最高だ! 最高すぎる!!」

「少しは落ち着きなさい」ソルが冷たく言い放つ。

「嫌だね」

「突き落とすわよ」

「本気じゃないだろ?」

「本気よ」

ヴァンダーがヴァーロンの隣に現れた。「考え事か?」

「ただ見ているだけだ」

「心配なのか?」

「いいや」

だが、ヴァーロンの胸中には確かな予感があった。このトーナメントの後、全てがこれまでとは別物になることを。

巨大スクリーンが明滅し、最初の組み合わせが抽選される。

『第一試合――』

静寂。名前が回転し――止まった。

『時の双子とヴァーロン』 vs 『ラグナリス・ヴェルカー・ノクティラ』

会場が沸騰する。

「なんてカードだ……!」ナンドが叫ぶ。

「最初から飛ばすわね」ソルが表情を硬くした。

ナレーターが吠える。

「闘技場へ入場せよ! 『時の守護者』たち!!」

ゲートが開き、カエルがゆっくりと、静謐な足取りで現れた。藍色の法衣を纏い、銀の瞳を持つ彼。続いてサエルが、銀の外套に身を包み、黄金の瞳を輝かせながら現れる。

最後に、緑の爆風と共にヴァーロンが降臨した。緑の装甲を纏い、魔法エネルギーを纏った彼が現れただけで、周囲の空気が押し潰されるような重圧が走る。

対するゲートからは、霧と影が溢れ出した。

ラグナリス、ヴェルカー、ノクティラ。闇の騎士たちが姿を現すと、ラグナリスが邪悪な笑みを浮かべた。

「老いぼれどもが」

サエルが淡々と答える。「その言葉、23秒後に撤回することになるぞ」

「何だと?」

カエルは静かに目を閉じ、「若者というのは、どうしてこうも焦るのか」と呟く。

ヴァーロンが溜息をついた。「5分以上はもたせてくれよ」

「――開始!!」

BOOOOM!!

影が炸裂し、ヴェルカーとノクティラが姿を消す。ラグナリスが凄まじい速度で突進した。

「消えた!」ナンドが叫ぶ。

「いや」カエルが小さく呟く。

ラグナリスがカエルの背後に現れ、致命の一撃を放つ。――斬り裂いた。はずだった。

しかし、カエルは既にそこにはいなかった。ラグナリスが目を見開く。

サエルの金色の波動がラグナリスを吹き飛ばし、追い討ちをかけようとしたヴェルカーの刃を、ヴァーロンが緑の魔法障壁で防ぎ止める。

「禁忌魔法……」ヴェルカーが絶句する。

ノクティラが影を炸裂させ、数十、数百の分身を作り出す。

「戦略的ね」ソルが評価する。

カエルが杖を掲げた。

「『悠久の共鳴』」

時が揺れ、アリーナが黄金に輝く。影の分身たちは強制的に十数秒前へと巻き戻された。

「戻っただと!?」ナンドが叫ぶ。「時間を巻き戻したのか!?」

「短時間だがな」レオンが答える。「だが、反則的な強さだ」

サエルが目を輝かせた。「十秒。それだけあれば十分だ」

彼はラグナリス、ヴェルカー、ノクティラの攻撃を全て、予見していたかのように避ける。

ヴァーロンが右手を掲げると、緑のエネルギーが爆発し、巨大な鎖や槍、浮遊兵器が無数に出現した。

「禁忌魔法:裁きの庭」

アリーナが震え、広大な領域を緑の構築物が埋め尽くす。ラグナリスが叫ぶ。「全部叩き壊せ!!」

だが、何も壊れない。

「ああいう連中を相手にするのか」レニが顔をしかめる。

カエルとサエルが同時に手を掲げた。

「時を――止めよ」

世界が静止した。ノクティラもヴェルカーもラグナリスも、全ての動きが凍りつく。

「過去」「未来」

二人が重なる。

「『無限の輪廻』」

現実が歪む。攻撃を仕掛けては戻り、逃げては戻り、影たちは永久に完結することのないループの中に囚われた。

ヴァーロンがゆっくりと歩み寄り、立ち尽くす三人の前で言った。

「戦略なき力、知性なき速度、目的なき影。――弱すぎる」

ヴァーロンが手を振り抜くと、凄まじい爆発が起こり、三人は意識を失って地へと叩きつけられた。

「勝者!! ヴァーロン、カエル、サエル!!」

会場が狂乱の渦に飲み込まれる。カエルは茶でも飲んできたかのように穏やかに歩き去り、サエルはレオンとすれ違いざまに言った。

「未来が見ているぞ」

「え?」とレオンが振り返った時には、もう姿はなかった。

ヴァーロンもレオンのチームの前を通り過ぎる際、一言だけ残した。

「勝ちたければ……早く成長することだ」

静寂。

「……終わったな」ナンドが溜息をつく。「俺たち、全滅させられるかもな」

ソルが静かに答え、「同感ね」と呟いた。

ラーラが拳を握る。「次は、私たちの番よ」

スクリーンに次の対戦相手が表示される。会場の熱狂は冷めるどころか、ますます過熱していく。

レオンはアリーナの中央を見つめた。

この戦争は、まだ始まったばかりなのだと確信しながら。

(第382話・完)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

第11シーズン第1話、いかがでしたか? 圧倒的な「賢者」と「ヴァーロン」の強さの前に、チーム・レオンがどう立ち向かっていくのか。

今後もキャラクターたちの成長と戦いを描いていきます。

挿絵で各キャラクターの勇姿を視覚的に楽しんでいただけるよう準備中です。皆さんの記憶に彼らの顔を焼き付け、物語に没入していただければ幸いです。いつかこの物語がアニメ化され、皆さんに動くキャラクターたちを届けられるよう、精進します!

次回もお楽しみに!応援よろしくお願いします!

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