第374話:荒野の狩り
第374話「荒野の狩り」を執筆しました。
今回は平和な惑星開拓の裏で巻き起こる、強者たちによる賑やかな競争回です!ソルやキラたちのライバル関係、そして予想外の怪物との激突をお楽しみください!
K11の空は、その朝、透き通るような青に染まっていた。
巨大な母艦の頂上では、惑星全土を映し出す巨大なホログラムが浮かんでいる。豊かな緑、雄大な山脈、透き通る海。そして、未開拓の広大な地域。
ラーラはホログラフィックテーブルの前に座り、未来の都市計画を調整していた。その隣で、レオンが地図を見守る。
「こうして都市を配置すれば……」ラーラが地図を拡大する。「誰かが孤立することはないわ。全員が平等に資源へアクセスできる」
背後からクロスアームで現れたソルが尋ねた。
「何をしてるの?」
「惑星の地図を完成させているところよ」ラーラが微笑む。
ソルがホログラムに顔を近づけた。
「ふうん……」
レオンがマーク箇所を指し示す。「空き地が多いんだ。すべてを標準化しようと思っている」
「標準化?」
「ここでは、金持ちだとか貧乏だとかを言う者は誰もいなくなる」ラーラが説明した。「誰もが同じ機会を得るのよ」
ソルは数秒沈黙した後、顔をしかめた。
「興味深いけど……すごく退屈ね」
レオンが笑う。
「そう言うと思ったよ」
ソルが髪をかき上げる。「何かをぶっ壊すような任務はないの?」
ラーラが目を丸くする。「本当にアレスの娘ね」
レオンがニヤリと笑みを浮かべた。「実は……あいつらと競争の約束をしていてね」
ソルの目が輝いた。「競争?」
「この位置に、危険な生物で満ちた地域があるんだ。燃料製造に必要な鉱石が見つかったから、生物たちを別のエリアへ移動させなきゃならない」
ソルが楽しそうに笑みを浮かべた。「ようやく面白くなってきたじゃない」
レオンが続けた。「生物たちはこの惑星の元々の住人じゃない。宇宙ゴミや異星の有機物が降ってきたせいで変異してしまったんだ」
ラーラが呆れたように腕を組む。「で、それを『普通の人たち』みたいに解決するつもり?」
レオンが答える。「もちろん、そんなわけないだろ」
ソルが既にやる気満々だ。「気に入ったわ」
「ルールは簡単。捕獲数が少なかった奴が、今日の飯代を払う」
ソルが人差し指を立てる。「乗ったわ」
ラーラが小さく笑う。「本当に大丈夫? あの子たち、正気じゃないわよ」
ソルは傲慢な笑みを浮かべた。「私はアレスの娘よ。挑戦に負けたことなんてないわ」
数時間後。紫の霧が立ち込める森のそばに、巨大な船が降り立った。大地が揺れ、遠くから獣の咆哮が響く。
ナンドが真っ先に飛び出した。「最高に楽しそうじゃねえか!」
続いてレニが現れる。「あんた、後先のことなんて考えないわね」
キラが周囲を見回す。「手応えのある奴がいるといいんだけど」
ソルが腕を組む。「弱いやつらなら、途中で帰るからね」
レオンが谷を指さした。「あそこにいる」
木々の間を巨大な影が動いていた。四本の腕を持つもの、黒いクリスタルに覆われた巨大なトカゲのような怪物。
一匹が咆哮すると、衝撃で周囲の空気が爆発した。
「気に入った!」キラが駆け出す。
「考えてる暇はないわ!」ソルも追う。
BOOOOOOM!
大地が爆発し、二人は同時に弾け飛んだ。レオンが顔を覆う。
「……もう始まったか」
競争は即座に混沌と化した。ナンドは超高速で木々を突き抜け、両肩に巨大な怪物二匹を担いで走る。
「一匹! 二匹! 三匹!」
石につまずき、怪物が遠くへ吹き飛ぶ。レニが後ろから追いついた。「あんた、動物ね」
その裏で、キラとソルが独自の戦争を繰り広げていた。
巨大な怪物が二人の間を駆け抜ける。
「私の獲物!」二人が同時に叫んだ。
キラが火の連打でテレポートし、ソルは赤い炎を纏って爆発する。
BOOOOOM!
怪物は恐怖のあまり、その場で気絶した。
レオンが遠くから見つめる。「あいつら、もう怪物のことなんて気にしてないな」
日が沈み始める頃、新たな収容エリアでエネルギーゲートが作動した。
怪物を次々と収容していく中、突然、大地が激しく揺れ始めた。誰もが表情を引き締める。山脈の向こうから、巨大な咆哮が響き渡った。
ナンドが目を見開く。「……嘘だろ」
地面を突き破り、一匹の怪物が姿を現した。巨大な黒い装甲に覆われ、無数の赤い目を持つ、怪物の中の怪物。
ソルが笑みを浮かべる。「ようやく……」
キラも笑う。「ようやく面白くなってきたじゃない」
レオンが溜息をつく。「……惑星の半分をぶっ壊すなよ」
怪物が猛進する。ナンドが先陣を切った。拳が爆弾のように怪物を捉える。
BOOOOOOOM!
怪物が数十メートル吹き飛ぶ。レニが頭上から呼びかける。「『黒い炎:地獄の牢獄』!」
黒い鎖が怪物の足を縛る。ソルが赤い炎に包まれて空から降下した。
「どきなさい!」
怪物の頭部に渾身の蹴りが叩き込まれる。大爆発が起きた。キラはテレポートで怪物の背後に回り込み、装甲を砕く火炎弾を放つ。
怪物が狂ったように咆哮する。レオンがその前に立ちはだかった。黄金のオーラと輝く瞳。
「……もう十分だ」
大地を力一杯に踏み抜く。土、雷、風、水、火。五つの元素の波が爆発し、怪物を収容エリアへ叩き込んだ。
BOOOOOOOM!
静寂。全員が肩で息をしていた。
ナンドが笑い出す。「……最高に楽しかったぜ!」
ソルも笑う。「……認めるわ。悪くなかった」
キラが腕を組む。「……私の戦いを邪魔しかけたわよ」
ソルが即座に言い返す。「あなたのほうがヘタクソだったんでしょ」
レニがホログラムのカウンターを確認する。
「集計するぞ……」
ナンド:18匹
レオン:16匹
レニ:15匹
キラ:14匹
ソル:14匹
沈黙。キラとソルがゆっくりと睨み合う。
レオンが笑い出した。
「引き分けだな」
ナンドが腹を抱えて大笑いする。
「二人とも、飯代を払わなきゃだな!」
「……何ですって!?」キラが目を見開く。
ソルが即座に指をさす。「全部あいつのせいよ!」
「私のせい!? あなたが私の獲物を横取りするからでしょ!」
「あなたが数え方も知らないだけじゃない!」
レオンは笑いすぎて転げそうになり、レニは笑いをこらえて背を向ける。ナンドは地面に転がって大笑いしていた。
その夜。K11の特設屋台で、とんでもない量の食事が四人の前に並べられた。
キラとソルは離れた席に座り、ふくれっ面をしている。
「……私のせいじゃないわ」
「あなたが夢見てるだけよ、私より上手くなれるなんて」
ラーラが笑いながら近づいてくる。
空の彼方では、K11の空が美しく輝いていた。
(第374話・完)
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は、強者たちが怪物を相手にどんちゃん騒ぎを繰り広げる、コメディ回でした。キラとソルの負けず嫌いな性格が爆発していましたが、楽しんでいただけたでしょうか?
次回の展開も気合を入れて書きますので、ぜひブックマークやコメントでの感想をお待ちしています!




