第368話:「痕跡を残さぬ灰」
皆さん、こんにちは!第368話をお届けします。今回は物語の裏側で進行する「潜入」と、Leniたちの圧倒的な力が交錯する緊迫の回です。黒い炎がすべてを消し去る時、彼らが隠している秘密とは……?ぜひ最後までお見逃しなく!
K11の上空は激しい雨に見舞われていた。
組織の本部基地の巨大な金属の廊下を、雷光が照らしている。
戦略室には、数名だけが集まっていた。
ヴァロン。
ヴァンダー。
リュウ。
そしてレニ。
空気は張り詰めていた。普段以上に重苦しい。
ヴァロンは腕を組み、部屋中に投影された数々のホログラムを見つめていた。
惑星。座標。秘密基地。武器庫。シェルター。研究センター。
レニは静かにすべてを観察していた。
「これは?」
ヴァロンは画面から目を離さずに答えた。
「私の過去の隠れ家すべてだ」
レニが目を細める。
「すべてか?」
「いや」とヴァロンはため息をついた。「少なくとも……私が覚えている限りはな」
沈黙が場を支配する。
ヴァンダーがゆっくりと窓際まで歩いた。
「アレスは過去に私の組織へ過度なアクセス権を持っていた……特にヴァロンの人生についてはな」
リュウが険しい表情になる。
「なら、奴はその基地の場所を知っている可能性がある」
ヴァロンが頷く。
「その通りだ」
彼はホログラムの一つを指差した。
「旧式の兵器、戦略データ、禁じられた技術。古いエージェントに関する情報だ」
別のホログラムが現れる。
「もしアレスがこれを手に入れたら……奴は我々の弱点をすべて把握することになる」
レニが腕を組んだ。
「なら、すべて破壊するまでだ」
ヴァロンはレニを真っ直ぐに見据えた。
「だからこそ、君たちが必要なんだ」
部屋の扉が開いた。
最初に現れたのはカレン。黒い長髪に、冷たい眼差し。
その背後にはレナとケレが続いた。
「黒き炎」チームの3名だ。
最後に、老賢者カミがカムと共に姿を現した。
レニはすぐに違和感を覚えた。
新しく来た3人は静かすぎる。すべてを観察し、すべてを分析している。まるで捕食者のように。
ヴァロンが続けた。
「普通の炎は痕跡を残す」
彼はレニを見た。
「だが、黒き炎は……存在そのものを焼き尽くす」
レニが静かに答える。
「灰さえも残らないってことか」
「その通りだ」
ヴァンダーが地図を起動した。宇宙に散らばる15以上の赤い点が浮かび上がる。
「これらの隠れ家をすべて、今日中に消し去る必要がある」
カレンが控えめに微笑んだ。
「楽しそうね」
だが、その微笑みの裏には……別の意図があった。
なぜなら、カレン、レナ、そしてケレは……本物の「黒き炎」ではなかったからだ。
彼らは「ナリス」。アレスが送り込んだ潜入者だった。
場面転換。
宇宙船が凄まじい速度で宇宙を駆けていた。
船内。レニは一人で座り、星々を見つめていた。
カムが近づく。
「緊張してるのか?」
レニは見向きもせずに答えた。
「この感覚が嫌なんだ」
「どんな?」
「何かが間違っているような気がしてならない」
カムは沈黙した。
老賢者カミがゆっくりと目を開く。
「炎は、隠れた場所で何かが燃えている時、いつも警告を発するものだ」
カレンは遠くからそれを見つめていた。あらゆる言葉、あらゆる振る舞い、あらゆる詳細を記憶するために。
レナが密かにカレンに近づく。
「すべて収集している?」
カレンは唇をほとんど動かさずに答えた。
「ええ」
ケレはメインパネルのヴァロンを注視していた。
「彼は本当に多くの秘密の惑星を知っているんだな……」
カレンが真剣な眼差しを向ける。
「アレスはこの情報を気に入るはずよ」
場面転換。
最初の隠れ家。惑星ノックス7。黒い雪に覆われた、打ち捨てられた月。
ヴァロンが先導する。
「ここはスピルリとの戦争中、極秘の医療センターだった場所だ」
レニは氷に埋もれた古代の施設を観察した。
「ここで何人の人間が死んだ?」
ヴァロンが低く答える。
「多すぎる」
施設の巨大な扉がゆっくりと開く。
中は空っぽで、静寂が広がっていた。古い機械が今も点滅している。記録、武器、秘密データ。すべてを消し去る必要がある。
ヴァロンは黒き炎のチームを見た。
「やれ」
レニが手を掲げる。
黒い炎が現れた。普通の火とは違う。暗く、重く、まるで光を食らうかのように。
カレンたちも自らの炎を活性化させる。
ヴァロンは驚きとともに見つめた。まさか、あの3人がこれほど完璧に種族を模倣できるとは思ってもみなかったのだ。
炎がすべてを喰らい始めた。壁、コンピュータ、金属、エネルギー。地面さえも消失していく。まるで最初から存在しなかったかのように。
カムはそれを見て微笑んだ。
「いつ見ても美しいな」
カミが答える。
「黒き炎は物質を破壊するだけではない」
「歴史を消し去るのだ」
レニは沈黙のまま、考え込んでいた。
その間にも……
カレンは密かに隠されたターミナルに手を触れ、データをコピーしていた。レナは別のセクターで同様に行い、ケレは星系座標を分析していた。すべては後にソルへと送られることになる。
場面転換。
第二の隠れ家。惑星アーケオン。砂漠に隠された地下都市。
第三の隠れ家。凍りついた海中の基地。
第四の隠れ家。小惑星内部の要塞。
エピソードはほとんど映画のようなシーケンスで進んだ。
黒き炎のチームがゆっくりと歩く背後で、すべてが消費されていく。都市全体を覆う黒い炎。消滅する研究所。無に帰す兵器。爆発もなく、煙もなく、残骸もない。ただ、虚無が残るだけだ。
だが、ミッションが進むにつれ……レニは奇妙な感覚を強めていった。
8番目の隠れ家にて……
彼はついにカレンと向き合った。
「お前の戦い方は奇妙だな」
カレンは冷静さを保った。
「奇妙? どういうこと?」
「お前の炎だよ」
彼女は微笑んだ。
「実戦からはしばらく遠ざかっていたからね」
レニは疑わしげに見つめ続けた。
だが、彼が言い返す前に……アラームが鳴り響いた。
ヴァロンが目を見開く。
「敵の動きだ!」
ドォォォォォン!!
隠れ家全体が揺れた。巨大なクリーチャーたちが金属の壁を突き破ってくる。宇宙傭兵たちだ。
ヴァロンが表情を険しくする。
「アレス……」
カムがオーラを活性化した。
「奴ら、俺たちより先に場所を特定したのか」
戦闘が始まった。傭兵たちがエネルギー兵器で攻め込む。だが、黒き炎のチームは怪物じみていた。
カレンが黒き炎で敵を貫くと、その体は単純に消滅した。レナは回転しながら周囲を破壊し、ケレは弾丸が触れる前にそれを焼き払った。
レニは驚愕とともに見守った。
「強い……」
カミがわずかに笑みを浮かべる。
「強すぎるな」
ヴァロンも彼らの側で重力波を操り、敵をなぎ倒していく。
だがその時……
基地の中心に巨大な金属の巨人が現れた。体長は20メートルを超え、その眼には赤いエネルギーが宿り、両腕には大砲を備えている。
「ターゲット確認」
ロボットが発砲した。
ドォォォォォン!!
爆発が施設の半分を吹き飛ばした。
レニがグループの前に現れ、黒き炎で攻撃を受け止めた。彼の瞳が輝く。
「ここから離れろ」
カムが目を見開いた。
「レニ——」
「今すぐだ!」
全員が後退した。レニは一人で突撃する。
黒いオーラが激しく爆発した。地面が溶け、壁がひび割れる。ヴァロンさえも感嘆した。
「あいつ、強くなったな……」
ロボットが攻撃する。レニは回避し、機械の頭上へと飛び、その胸に手をかざした。
静寂。
「消えろ」
黒き炎がロボットを丸ごと飲み込んだ。爆発も、破片もない。ただ、それが存在しなくなっただけだった。
全員が沈黙した。
カレンはそれを注視していた。
「あの力……」
レナが低く答える。
「アレスがなぜ、あれほど彼を監視したがるのか、今わかったわ」
場面転換。
最後の隠れ家。惑星の環の間に隠された小さなステーション。
ヴァロンが静かにすべてを見つめていた。
「これが最後だ」
レニが彼のもとへ歩み寄る。
「これで終わりだな」
ヴァロンが頷く。
「これでアレスは私の過去へのアクセス権を失った」
カレンはそれを見て、物思いに耽った。
『いいえ……彼は今、より多くの情報を得たのよ』
黒き炎が最後の基地を飲み込み始めた。
すべてが消え去る中……カレンは密かに収集したデータを送信した。
送信先:ソル、クリザード。
場面転換。
グループは隠れ家が完全に消え去るのを見守った。
何の痕跡も残っていない。ただ宇宙の虚無があるだけだ。
ヴァロンが深く息をついた。
「ありがとう」
カムが笑う。
「楽しかったよ」
老賢者カミは炎がゆっくりと消えるのを見つめた。
「過去は死ななければならない……さもなくば、未来を破壊する」
レニは静かに宇宙を見つめていた。
だが心の奥底で……彼の本能はまだ叫び続けていた。
何かが……まだ間違っている、と。
第368話 終わり。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
任務は完了したように見えましたが、Karenたちの正体……そして彼らが送ったデータの行方は?物語はさらに危険な領域へと足を踏み入れます。
この展開、ドキドキしませんか?ぜひ**「ブックマーク」と「評価」**で応援してください!皆さんの声が、次なる「暗黒の天使」の執筆を加速させます。
それでは、次回の第369話でお会いしましょう!




