第367話:「過去と未来」
皆さん、こんにちは!「暗黒の天使」第10シーズン、ついに367話目です。今回は伝説の「時の賢者」たちがついに戦場に降り立ちます。彼らの圧倒的な力と、忍び寄る不穏な予感……物語は一気に加速していきます。ぜひ最後までお楽しみください!
惑星オルダン9は燃えていた。
宇宙からでも、破壊された都市、炎に包まれる海、そして大気中を切り裂く電磁嵐が確認できた。
組織の宇宙船内は、重苦しい沈黙に支配されていた。
レオンはホログラムを見つめ、ヴァンダーの説明を聞いていた。
「3日前、ドラクシオンという侵略種族がこの惑星を占拠した」
画像が切り替わった。
画面に巨大な怪物が映し出される。
黒いプレートに覆われた身体。
長い腕。
赤い眼。
そして身体を脈動する紫色のエネルギー。
ダリアムは目を細めた。
「強そうだな……」
ララが即座に答える。
「ええ。強すぎるわ」
別のホログラムが現れた。
50名以上のエージェントの遺体。
壊滅した基地。
クレーターと化した都市。
ララは表情を引き締めた。
「で、ミッションは何?」
ヴァロンが腕を組む。
「生存者を救出し、ドラクシオンがポータルを完全に開く前に侵略の中枢を破壊する」
ナンドがニヤリと笑った。
「なら、ボコボコにするってことだな」
「今回は違う」とヴァンダーが告げた。
一同の視線が集まる。
そして……
部屋の扉がゆっくりと開いた。
コン……
コン……
コン……
二人の老人が静かに歩いてきた。
一人は金色の刺繍が施された濃紺のチュニックを纏っている。
長い白髪。
銀色の瞳。
もう一人は歩くたびに色を変える銀色のマントを羽織っている。
頭部にはルーン文字が輝いていた。
金色の瞳。
レオンは目を見開いた。二人が放つ圧倒的なエネルギーを肌で感じたからだ。
ヴァロンが笑みを浮かべる。
「ようやく着いたか」
カエルが軽く頭を下げる。
「最後のミッションから、随分と経ったな」
サエルはただ、沈黙の中で全員を見渡した。
ジュンが小声で呟く。
「あれって……時の賢者たちか?」
リュウがゆっくりと頷く。
「指一本動かさずに軍勢を壊滅させたという伝説の……」
ナンドは疑わしそうに鼻を鳴らした。
「呼吸をするだけで腰を折りそうな年寄りたちに見えるけどな」
カエルが静かに微笑む。
「若者はいつも、年齢と弱さを混同する」
サエルがナンドを見つめた。
「……ちょうど7分後、君はその言葉を後悔することになる」
静寂。
ナンドは目を丸くした。
「はぁ?」
通路を通りかかった稲妻の双子の一人、カエンが足を止め、呆然と呟いた。
「マジか……今の、怖すぎだろ」
場面転換。
宇宙船がオルダン9に着陸した。
扉が開いた瞬間……
カオスが広がっていた。
爆発。
叫び声。
破壊されたビル群。
ドラクシオンたちが空を飛び回り、紫色の閃光を放っている。
レオンは即座にオーラを活性化した。
「行くぞ!」
一行は破壊された街を駆け抜ける。
ヴァロンが先導し、レオン、ララ、ダリアム、ナンドがそれに続く。
カエルとサエルはゆっくりと歩いている。
まるで何事も起きていないかのように。
すると……
ドォォォォォン!!
巨大な怪物が彼らの目の前に墜落した。
体長は10メートルを超えている。
四本の腕。
背中には骨の刃。
怪物が咆哮した。
ナンドが笑った。
「やっとか!」
彼が突撃する。
ドォォォォォン!!
拳が怪物の胸に突き刺さる。
しかし……
怪物は動じない。
ナンドは目を見開いた。
「何だって?!」
怪物が凄まじい一撃を繰り出した。
ナンドは吹き飛ばされ、三つのビルを貫通した。
レオンが続いて突撃する。
腕を稲妻が覆った。
「雷神拳!」
衝撃が怪物の一部を吹き飛ばした。
しかし、怪物は即座に再生を始めた。
ダリアムが表情を強張らせる。
「これは普通じゃない……」
ドラクシオンが咆哮する。
破壊された街中から、何百もの小型の怪物が現れ始めた。
ララがエネルギーを活性化させる。
「多すぎるわ!」
ヴァロンが一歩前に出た。
だが、誰かが攻撃する前に……
カエルが手を挙げた。
時間がゆっくりと流れるように感じられた。
すべてが静まり返る。
爆発音さえも遠のいた。
レオンは目を見開いた。
「何が……?」
カエルが静かに語った。
「過去は常に爪痕を残す」
銀色の瞳が輝いた。
『時代の共鳴』
フィールド全体が巻き戻された。
怪物たちは数秒前の位置へ戻された。
ナンドを吹き飛ばした攻撃さえもやり直された。
怪物は意思に反して同じ動きを繰り返し、その結果、仲間を攻撃してしまった。
ドォォォォォン!!
ドラクシオンたちが爆発した。
全員が衝撃を受けた。
ララが後ずさる。
「彼……時間を巻き戻したの?」
サエルがついに動いた。
サエルを背後から攻撃しようとドラクシオンが現れたが……
サエルは攻撃が起きる前にその場を離れていた。
まるで未来を知っているかのように。
攻撃は空を切った。
『予言の眼』
サエルが指を立てた。
「君は左から攻撃するつもりだったね」
ドラクシオンが目を見開く。
サエルがその胸に触れた。
怪物はそのまま倒れ、息絶えた。
静寂。
ダリアムが息を呑む。
「攻撃すら見えなかった……」
ナンドが瓦礫から這い出てきた。
「……おいおい、化け物かよ」
カエルが笑う。
「君は言葉を後悔したね」
ナンドが凍りついた。
「待て……もう7分経ったのか?!」
カエルが静かに頷いた。
レオンが笑い出す。
「本当に、先読みしていたんだな」
空からさらに怪物が現れる。
数十体。
いや、何百体か。
ドラクシオンのリーダーが街の上空に浮かび上がった。
紫のエネルギーに覆われた巨大な存在。
「下等生物ども……」
その声だけでビルが震えた。
「この惑星はドラクシオン帝国のものだ」
ヴァロンが表情を険しくする。
「あれが将軍か」
怪物が手を挙げた。
紫の流星が空から降り注ぎ始める。
ララが目を見開いた。
「街が消し飛ぶわ!」
サエルがカエルを見る。
二人は頷き合った。
そして……
初めて……
二人のオーラが同時に爆発した。
大地が割れ、空が歪んだ。
そして、時間は……
止まった。
文字通りに。
流星は空中で凍りついた。
爆発は消え失せた。
風さえも止んだ。
レオンは言葉を失った。
「彼ら……時間を止めたのか……?」
カエルが目を閉じる。
「過去」
サエルが腕を広げる。
「未来」
二人が声を合わせた。
「『無限の輪廻』」
世界全体が歪曲した。
ドラクシオン将軍は動こうとした。
しかし、囚われた。
同じ動きを繰り返す。
一度。
二度。
三度。
ループだ。
怪物は絶望に咆哮する。
抜け出そうとしても、同じ一瞬に固定されたままだ。
ナンドは完全に唖然とした。
「反則だろ、それ!」
レオンは圧倒されて見守っていた。
賢者たちと出会って初めて……
彼は感じた。
真の恐怖を。
カエルがゆっくりと目を開いた。
「若きレオンよ」
レオンが彼を見る。
「はい」
「力よりも恐ろしいものが存在する」
サエルが続けた。
「時間だ」
ドラクシオン将軍はループの中で急速に老いていった。
皮膚がひび割れる。
エネルギーが弱まる。
その身体は砂へと変わり――
ついに……
完全に消滅した。
絶対的な静寂。
残された怪物はパニックに陥り、逃げ出した。
ヴァロンが敬意を込めて二人を見つめる。
「……圧巻だ」
ナンドが二人を指差す。
「こんな相手とトーナメントで戦うのかよ?!」
カエルが笑う。
「戦わないかもしれない」
サエルが答える。
「あるいは、生き残るか」
全員の間に緊張が走った。
場面転換。
数時間後。
避難が完了したオルダン9。
レオンは空を見上げるカエルとサエルを見つめていた。
ヴァロンが近づく。
「今回の任務の後では、あなたたちと共に戦えることが誇らしい」
カエルが答えた。
「トーナメントは多くのことを明らかにするだろう」
サエルが目を閉じる。
「悲劇さえもな」
レオンはその言葉を聞いた。
背筋に奇妙な悪寒が走る。
まるで、未来が彼ら全員を観察しているかのように。
ナンドが食べ物を持って現れた。
「……認めよう。アンタたちは怪物だ」
カエルが笑う。
「謝罪を受け入れよう」
ナンドが隣に座った。
「それでも、トーナメントではアンタたちに勝ってやるからな」
サエルが彼を見る。
「勝てないよ」
静寂。
ナンドが憤慨する。
「おい!」
一同が笑い始めた。
しかし、レオンは……
笑えなかった。
心の奥底で……
この二人の老人は、見た目以上に巨大な何かを隠していると感じていたからだ。
そして多分……
トーナメントは、ほんの始まりに過ぎないのだろう。
第367話 終わり。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
ついに登場した時の賢者、カエルとサエル。彼らの力の深淵は、物語の核心に深く関わってきます。ナンドの不憫な(?)キャラも健在ですが、物語は徐々にシリアスな展開へ……!
次回の更新も楽しみにしていてください!
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それでは、次回の第368話でお会いしましょう!




