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ブラック・エンジェル・ユニバース  作者: Leon


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第362話 『静かな嫉妬』

いつも『アンジョ・ネグロ』を読んでいただきありがとうございます。

今回は大会へ向けた訓練の裏側で生まれる感情のお話です。

再会した同族との絆。 そして、大切な人を失うかもしれないという不安。

ジュンの心は揺れ動きます。

それでは本編をお楽しみください。

K11の人工太陽が、建設中の巨大闘技場を明るく照らしていた。

数百人もの作業員たちが、それぞれの種族の技術を持ち寄りながら、惑星史上最大規模の大会会場を作り上げている。

その中心では――

リウが深く息を吐いていた。

淡い青色のオーラが身体を包み込む。

向かい側では、カタリナが自信に満ちた笑みを浮かべていた。

短い黒髪。

鋭く輝く瞳。

そして自然と人を惹きつける存在感。

彼女はエネルギーランスを軽々と回した。

「準備はいい? リウ」

「今日は少し手加減してくれ」

リウが苦笑する。

しかしカタリナは笑った。

「昨日負けた人のセリフとは思えないわね」

次の瞬間――

彼女の姿が青い閃光となって消えた。

ドォォォォン!!

凄まじい衝撃。

リウは辛うじて防御する。

地面が大きくひび割れた。

そこから始まったのは超高速戦闘だった。

エネルギー弾が飛び交い。

爆発が連続し。

作業員たちですら手を止めて見入ってしまう。

「やりすぎだろ!」

「あなたが集中してないだけ」

カタリナは笑いながら胸元へ蹴りを叩き込んだ。

ドォォン!!

リウの身体が数十メートル吹き飛ぶ。

「その調子じゃ大会で負けるわよ?」

その様子を高い鉄骨の上から見つめる少女がいた。

ジュンだ。

腕を組み。

黙ったまま。

そこへザイラがジュースを持って現れる。

「おーおー」

「空気が重いねぇ」

「黙って」

「でもあの子、美人だよね」

ジュンの眉がぴくりと動いた。

「殺すよ」

ザイラは楽しそうに笑う。

視線の先では、カタリナがリウの手を取りながら技術指導をしていた。

距離が近い。

近すぎる。

ジュンは思わず視線を逸らした。

「嫉妬してる?」

「してない!」

即答だった。

しかしザイラはさらに笑う。

「してるしてる」

「してないってば」

ジュンはそっぽを向く。

「ただ……あの人が気に入らないだけ」

「へぇ?」

ザイラは面白そうに目を細めた。

ジュンは小さく呟く。

「リウ、すごく楽しそうだから」

その言葉には寂しさが混じっていた。

「同族に会えて嬉しいんだよ」

ザイラは優しく言った。

ジュンも理解している。

だが――

それでも胸の奥が苦しかった。

夕方。

訓練は続いていた。

しかしジュンの様子は明らかに変わっていた。

冷たい。

素っ気ない。

リウとほとんど目を合わせない。

そんな中。

カタリナがリウの腰に手を添えた。

「姿勢が違うわ」

その瞬間。

ジュンの拳が震えた。

ドォォォォン!!

地面が砕ける。

全員が振り返る。

「……ごめん」

ジュンは短く言うと、その場を離れていった。

夜。

湖畔。

ジュンは一人で石を投げていた。

「バカ……」

そこへリウが現れる。

隣へ腰を下ろした。

静かな時間。

やがてリウが口を開く。

「今日ずっと変だったよな」

「別に」

「いや、変だった」

ジュンは唇を噛む。

そしてとうとう感情が溢れた。

「カタリナばっかりじゃん!」

「え?」

「訓練も! 会話も!」

「ずっと一緒にいるし!」

リウは目を丸くする。

そして。

ある結論に辿り着いた。

「……もしかして嫉妬?」

ジュンの顔が真っ赤になった。

「違う!」

「いや絶対そうだろ」

「違うって!」

リウは思わず笑う。

すると胸を叩かれた。

「笑わないで!」

「ごめんごめん」

しかしリウは優しく彼女の手を握った。

「ジュン」

彼女は黙る。

「俺は君が好きだ」

その言葉に胸が大きく跳ねた。

だが。

「だったらカタリナをチームから外して」

リウは困った顔になる。

「それは無理だ」

「ほら」

ジュンは手を振り払う。

「やっぱり」

背を向ける。

だがリウは腕を掴んだ。

「違う」

真っ直ぐ見つめる。

「君は一番大切な人だ」

ジュンの瞳が揺れた。

その時だった。

「やっぱり私、邪魔だったみたいね」

背後から声が響く。

二人が振り向く。

そこにはカタリナが立っていた。

彼女は静かに語り始める。

「長老たちに頼まれていたの」

「リウを同族側へ戻すために」

二人は驚いた。

「リウは王家最後の純血だから」

風が吹く。

湖面が揺れた。

「他種族と距離を取らせるべきだと考える人もいる」

重い沈黙。

しかしカタリナは続けた。

「でも」

彼女はジュンを見る。

「あなた、本当にリウが好きなのね」

ジュンが真っ赤になる。

カタリナは初めて優しく笑った。

「安心して」

「奪うつもりはないから」

リウが安堵の息を漏らす。

だが次の瞬間。

「でもチームは抜けないわ」

「はぁ!?」

ジュンが叫んだ。

カタリナは振り返りながら笑う。

「優勝したいもの」

リウは頭を抱えた。

「二人とも絶対俺を殺す気だろ」

すると――

「黙れ、リウ!」

二人の声が完全に重なった。

夜空の下。

湖は静かに揺れていた。

そしてこの瞬間。

三人はようやく本当のチームになり始めていた。

第362話を読んでいただきありがとうございました!

今回はジュンの嫉妬回でした。

リウ、ジュン、カタリナの関係は今後の大会編でも重要になっていきます。

そして背後で動き始めているヴァルダリアの思惑も少しずつ明らかに……。

次回もよろしくお願いします!

それではまた次話でお会いしましょう!

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