第361話 「予想外の同盟」
いつも『黒き天使(Anjo Negro)』を読んでいただきありがとうございます。
今回は、レオンがソルを仲間として迎えに行くお話です。
敵同士でありながら少しずつ変化していく関係。
そして裏では、ヴァロンがXPの政治問題と向き合っています。
それぞれの想いが交差する第361話をお楽しみください。
クリザード帝国の玉座の間は静寂に包まれていた。
黒氷の巨大な柱が天井を支え、赤い炎が壁に揺らめく。
その最奥――
皇帝アレスは玉座に腰掛けていた。
冷徹。
威圧的。
まるで戦争そのものが形になったような存在。
その前に立つのはレオン。
周囲を数十人の親衛隊が囲んでいる。
重苦しい殺気が空気を支配していた。
アレスが口を開く。
「ローラを連れ戻しに来たのなら諦めろ。」
レオンは肩をすくめた。
「それなら安心してください。」
「彼女がここにいること自体は問題ありません。」
アレスの眉がわずかに動く。
「ならば何の用だ。」
レオンは真っ直ぐソルを見た。
「ソルのことです。」
「……は?」
ソルの顔が一瞬で赤くなる。
レオンは笑顔のまま続けた。
「K11で大会を開くんです。」
「三人一組のチーム戦で。」
「だから――」
彼は指を向けた。
「ソルに参加してほしい。」
玉座の間が凍り付いた。
「なっ!?」
ソルは真っ赤になったまま父を見る。
アレスは腕を組んだ。
「我々は敵同士だ。」
「知ってます。」
レオンは即答した。
「でも彼女と過ごした時間は楽しかった。」
「それに優勝するためには必要なんです。」
しばらくの沈黙。
そしてソルは小さく息を吸った。
「私は……行きたい。」
親衛隊たちがざわつく。
アレスは目を閉じた。
「ソル。」
「お願い。」
父娘の視線がぶつかる。
やがてアレスは深くため息を吐いた。
「……好きにしろ。」
「本当!?」
ソルが飛び上がる。
しかし次の瞬間。
アレスの覇気が玉座の間を揺らした。
「ただし。」
「何か企んでいるなら和平は終わりだ。」
「全員狩る。」
レオンの瞳も金色に輝いた。
「その言葉、そのまま返します。」
「ローラを泣かせたら――」
「俺がクリザードに攻め込みます。」
空気が震える。
二人の怪物が睨み合った。
ソルは頭を抱えた。
「お願いだから喧嘩しないで……」
結局。
ローラの後押しもあり、アレスは許可を出した。
ソルはレオンの腕を掴む。
「行くよ!」
「今すぐ!」
「父さんが気が変わる前に!」
こうして二人はK11へ戻った。
◇
K11。
ポータルが開く。
現れたのはレオンとソル。
その瞬間。
全員が固まった。
キラが叫ぶ。
「はぁぁぁぁぁ!?」
レオンは笑顔だった。
「みんな、紹介するよ。」
「俺のチームメンバーだ。」
まずダリアムを紹介する。
そして――
「最後の一人。」
「ソル。」
ソルは腕を組んだ。
「久しぶりね。」
キラが即座に立ち上がる。
「なんであんたがここにいるのよ!」
「レオンが必要だって言ったの。」
「あなたを倒すためにね。」
「上等じゃない!」
レオンが慌てて割って入った。
「落ち着け二人とも!」
周囲は大爆笑だった。
ラーラも嬉しそうに駆け寄る。
「来てくれて嬉しいよ、お姉ちゃん。」
「誰がお姉ちゃんよ!」
顔を真っ赤にするソル。
その様子を見てさらに笑いが広がった。
久しぶりにK11は平和な空気に包まれていた。
◇
その頃。
XPでは別の戦いが始まっていた。
ヴァロンは政治家たちに囲まれていた。
「あなたは指導者を辞めるべきだ!」
「アレスと妥協しろ!」
「我々を危険に晒すな!」
怒号が飛び交う。
だが――
ドォォォン!!
ヴァロンが机を叩いた瞬間。
会議室は静まり返った。
「私を排除する前に調べるべきことがある。」
彼の瞳が鋭く光る。
「アレスと繋がっている者が誰なのかを。」
重い沈黙が落ちた。
戦争は終わっていない。
ただ形を変えただけだった。
◇
その夜。
K11の湖畔。
ソルとダリアムが並んで座っていた。
ダリアムは過去を語る。
ラーラとの婚約。
リーの戦い。
そしてレオンとの出会い。
静かに聞いていたソルは最後に笑った。
「レオンとラーラって。」
「やっぱり運命なんじゃない?」
ダリアムも笑う。
「俺もそう思う。」
月明かりが湖を照らしていた。
戦争ではなく。
未来を語る時間。
ソルは初めて思う。
もしかしたら――
世界は変われるのかもしれない。
第361話 完
第361話を読んでいただきありがとうございました!
今回はシリアスな政治パートと、ソルたちの少し穏やかな日常を描いた回でした。
敵対していたはずのソルがレオンたちと行動を共にすることで、新しい関係が少しずつ生まれ始めています。
一方でXPでは、アレスによる影響が政治の世界にも広がり始めました。
平和に見える今だからこそ、水面下では様々な思惑が動いています。
次回は大会へ向けて各チームの準備が本格的に始まります。
引き続き『黒き天使(Anjo Negro)』をよろしくお願いします!




