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ブラック・エンジェル・ユニバース  作者: Leon


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364/449

第360話:『同盟と嘘』

作者コメント:

いつも『黒い天使(Anjo Negro)』を応援いただきありがとうございます。第360話をお届けします。

活気づく惑星K11で動き出す武闘トーナメントのチーム結成、そしてクリザード城で交錯する思惑とラウラの「嘘」。最後に現れた予想外の来訪者まで、息つく暇もない展開をお楽しみください!

惑星K11は、確実に変貌を遂げつつあった。

かつては荒涼とした空地と軍事施設しかなかった場所に――。

今、巨大な建造物が次々と姿を現している。

天を突く巨大クレーン。

展開されるエネルギーフィールド。

宙に浮かぶ無数のプラットフォーム。

多種多様な種族からなる数千人の労働者たちが、未来のトーナメントアリーナの建設に向けて汗を流していた。

その場所には、確かな「希望」と、心地よい「闘争心」が息づいていた。

K11 — トレーニングエリア

レオン、ララ、レニ、ナンド、リュウ、ジュン、ジラ、そしてキラが集まり、遠方にそびえ立つコロッセル級のアリーナを眺めていた。

ナンドが感心したように口笛を吹く。

「うわぁ……めちゃくちゃデカいな、これ」

レニが腕を組み、レオンに視線を向けた。

「それで、ルールはどうなってるんだ? トーナメントは3人1トリオのチーム戦なんだろ?」

不敵な笑みが、レニの唇に浮かぶ。

「なら、俺とお前とナンドで組むか」

ナンドが破顔した。

「いいじゃん! チートチームの完成だな!」

すかさずララが手を挙げ、割って入る。

「あ、ダメ」

彼女はレオンの腕をぐいと引っ張った。

「レオンと私は、いつだって一緒って決まってるの」

キラがこれ見よがしにため息をつき、目を丸くした。

「うわぁ、見てられないわね」

それからララに向き直る。

「ねえララ、いっそのこと女子だけのチームを作らない? 私と、あなたと、そこのジラで」

ジラがにやりと笑う。

「いいわね、乗った」

ララが少し考え込む。

その時、レオンが両手をポケットに突っ込んで笑った。

「実はさ……」

全員の視線が彼に集まる。

「俺、自分のチームは自分で集めたいんだよね」

沈黙が流れた。

レニが怪訝そうに眉を上げる。

「どういう意味だ?」

レオンの瞳に、好戦的な輝きが宿る。少しだけ彼のオーラが揺らめいた。

「俺のこのトーナメントでの目標はさ――」

「お前ら全員をぶっ倒すことだから」

ナンドが目を剥いた。

「うおっ、言ったなー!」

レニはふっと笑みを漏らし、背を向けた。

「面白い。なら、俺も自分のチームを作るまでだ」

その瞳が真剣なものに変わる。

「俺は、我が一族……『黒き炎(Chamas Negras)』の者たちと戦う」

すかさずナンドも手を挙げた。

「じゃあ俺も! 俺の『ブズ(Buz)』の一族と一緒に出るわ!」

リュウが静かに腕を組んだ。

「ジュンは、俺と組むな?」

ジュンが微笑む。

「当然でしょ。ヴァルダリアンの中から、もう一人強い奴を選んでよ」

ジュンは腕を組み、不敵に笑う。

「強い奴にしてね? 私がこのトーナメントで優勝するんだから」

レオンが笑った。

「自信満々だな」

ジュンが彼を指さす。

「当たり前よ」

キラがレオンを凝視した。

「それで、あんたは誰を呼ぶつもりなの?」

レオンは少し考え込み、それからミステリアスな笑みを浮かべた。

「まだ秘密……だけど、もう頭の中に一人、候補がいるんだ」

ナンドが指を差して野次馬根性を出す。

「うわぁ……そのニヤニヤした顔、絶対まともな奴じゃないな」

レオンは全員を見渡した。空気が一気に引き締まる。

「それと、お前らのやる気にさらに火をつけてやるよ」

「――ヴァロンも参戦する」

全員の目が見開かれた。ナンドにいたっては、ショックで後ろにひっくり返りそうになる。

「な、なんだって!?」

レオンは言葉を続けた。

「しかも、彼が組む相手は『時の双子(Gêmeos do Tempo)』だ」

絶対的な沈黙が場を支配した。

次の瞬間、ナンドが絶叫した。

「それはガチで反則だろ!!」

レニが目を細める。

「興味深いな……」

彼は小さな笑みを浮かべた。

「決勝でそいつらと戦うのが楽しみだ」

キラがすぐに不機嫌そうな視線をレニに飛ばす。

「は? 何言っちゃってんの?」

彼女はレニを指さした。

「まずはこの私を倒してから言いなさいよ」

ナンドが爆笑し始める。

「おいおい……このトーナメント、とんでもないことになるぞ」

ララがレオンのシャツをそっと引っ張った。

「ねえ、レオン……」

彼女は愛らしく微笑む。

「私があなたのこと、大好きなの知ってるよね?」

レオンが苦笑する。

「出たよ……」

ララは顔を近づけ、囁いた。

「でも、それとこれとは別。トーナメントでは容赦なくあなたを叩き潰すからね」

ジラが大声で笑い出し、キラが拍手を送った。

「やっとまともな口を利くようになったじゃない」

ララはさらに笑顔を重ねる。

「でも、負けて落ち込まないように、終わったら美味しいものでも奢ってあげるから」

レオンはわざとらしく拗ねた顔をしてみせた。

「そりゃどうも」

彼は笑い、その瞳を鋭く輝かせた。

「まあ、見てろって。俺もお前ら全員と戦うのが、今から待ち遠しくて仕方ないんだからな」

数時間後 — 組織の巨大宇宙船

レオンは、豪華な装飾が施された回廊を歩き、一枚の重厚な金属扉の前で足を止めた。

トントン、とドアを叩く。

ゆっくりと扉が開き、姿を現したのはダリアムだった。

そこに立つレオンの姿を見て、ダリアムは目を見開いた。

「レオン……?」

レオンが微笑む。

「入ってもいいか?」

ダリアムが頷き、彼を迎え入れる。

室内は広大なスイートルームだった。エックスプリア(XP)の最新テクノロジー機器が並び、本やホログラム、そして故郷ドリアの貴重な骨董品が大切に保管されていた。

レオンがそれらを一通り見渡すなか、ダリアムが扉を閉めた。

「それで……どうしたんだ?」

レオンは両手をポケットに入れた。

「トーナメントの話、もう聞いてるだろ?」

ダリアムは頷いた。

「ああ」

彼は自嘲気味に、微かな笑みを浮かべる。

「惑星中がその話でもちきりだからな」

レオンは彼を真っ直ぐに見つめた。

「お前も出ろよ」

ダリアムは虚を突かれた表情になった。

「俺が……?」

彼は視線を泳がせる。

「いや、遠慮しておくよ。今回は強い奴らばかりが出るんだろ。俺はお前に二度も負けている身だ」

ダリアムは深く息を吐いた。

「それに、実は……エックス(XP)に戻ろうと考えているんだ」

レオンが眉を上げる。

「マジか?」

ダリアムが頷く。

「あっちで、親父の遺したビジネスを引き継ごうと思ってな。……で、それがどうして俺への誘いに繋がるんだ?」

レオンが微笑んだ。

「俺のチームに、お前を誘いたかったからさ」

沈黙。

ダリアムは完全にフリーズした。

「待て……何だって?」

レオンが笑う。

「俺とお前と……」

彼は頭をかいた。

「本当はララも誘うつもりだったんだけどさ、キラとジラに取られちゃって。俺、フラれたんだよ」

ダリアムが思わず吹き出した。

「本当にそんな理由か?」

レオンがドラマチックにため息をつく。

「捨てられた男の哀愁ってやつさ」

ダリアムはまだ笑っていたが、徐々にその表情から笑みが消えていった。

「レオン……」

彼は視線を落とす。

「俺がチームに入ったら、お前の足を引っ張るだけだ」

レオンが静かに歩み寄った。

「そんなわけないだろ」

その瞳には、嘘偽りのない誠実さがあった。

「競い合うってのは、お互いが全力を尽くすから意味があるんだ。それに……お前の親父さんだって、俺たちが上手くやってる姿を見たいはずだろ」

ダリアムの身体が硬直した。

脳裏に、父・ドリアの最期の言葉が蘇る。

『レオンのほうが、お前よりもよっぽど誇り高い……』

ダリアムの瞳が、熱い感情で潤んだ。彼はゆっくりと頭を下げた。

「……分かったよ」

レオンが笑みを深める。

「乗ってくれるか?」

ダリアムは深く息を吸い込み、顔を上げた。

「ああ、受けて立つ。親父のために」

「よし、決まりだ!」

ダリアムがふと疑問を口にする。

「ところで、3人目のメンバーは誰にするんだ?」

レオンは再び、あのミステリアスな笑みを浮かべた。

その瞳が妖しく輝く。

「いいアイデアがあるんだ。きっと、全員のひっくり返る顔が見られるぜ」

クリザード — 王城

ソルは凍てつく回廊を歩き、アレスの寝室の前で足を止めた。

彼女はノックもせずに扉を押し開けた。

――そして、その場で完全に凍りついた。

ベッドの上、アレスの隣にラウラが腰掛けていた。二人の距離は、どう見ても「そういう関係」であることを物語っている。

ソルの目が驚愕に見開かれた。

「ちょっと……何よこれ!?」

アレスが苛立ち交じりにため息をつく。

「扉を叩けと何度も言っているはずだ」

ラウラは沈黙を守ったまま。

アレスは静かに、しかし威厳を持って告げた。

「私とラウラは、共に生きることを決めた。何か問題でもあるか?」

ソルは信じられないといった様子で拳を握りしめた。

「父上……」

彼女は怒りを抑えるように深く息を吸い込む。

「いい加減にして。調子に乗らないでよ」

彼女はラウラを鋭く指さした。

「母上の言った通りだわ。あなたはいつも、そのエックスプリア(XP)の女に操られているのよ!」

ソルは怒りに任せて踵を返し、扉を乱暴に閉めて去っていった。

静寂が部屋に舞い戻る。

ラウラが視線を落とした。

「ごめんなさい……問題を隠すつもりはなかったの」

彼女は息を整える。

「私はここにいられればそれでいい。公の場に出る必要なんてないわ」

アレスは彼女の横顔をじっと見つめていた。

そして、冷徹なほどに低い声で言った。

「ラウラ……」

深紅の瞳が、危険なまでの真剣味を帯びる。

「もしお前が私を欺き、弄んでいるのだとしたら……その時は、相応の恐ろしい代償を払ってもらうことになるぞ」

ラウラは拒むことなく彼に近づき、再びその唇にキスを落とした。

そして、耳元で囁いた。

「言ったはずよ。裏の計画なんて何もないって」

彼女はアレスの頬に手を添える。

「盲目的に私を信じてなんて言わない。疑いたければ、いくらでも疑えばいいわ」

彼女の瞳が、真っ直ぐにアレスを射抜く。

「ただ……私にあなたの『計画』は話さないで」

アレスが眉をひそめた。

「何だと?」

ラウラが微かに微笑む。

「だって、もし聞いてしまったら……私はあなたの『悪事』を全力で止めようとしちゃうから」

アレスは唖然とし、それから信じられないといった風に、低く笑い声を漏らした。

「……まるで夢を見ているようだな」

ラウラはただ、優しく微笑み返した。

アレスが立ち上がる。

「ここにいろ。後で戻る」

彼は寝室を後にした。

中央回廊。

ソルがイライラした様子でアレスの隣を歩いていた。

「説明して、父上。あれはどういうこと?」

アレス自身、どこか困惑しているようだった。

「私にも分からん。彼女がいきなり私の部屋に現れたのだ。衛兵の目をどう潜り抜けたのかすら分からん」

ソルが目を細める。

「もしかして、私たちが『ニャリス(Nharith)』について動いているのを察知して、先手を打ってきたんじゃないの?」

アレスの表情が引き締まる。

精神感応者センシティブを呼べ。真実を確かめる」

数分後。

「ニャ(Nhã)」の種族である3人の感応者が、寝室でラウラを取り囲んでいた。

彼女たちの精神エネルギーが、ラウラの脳内に侵入し、リンクを確立する。

次の瞬間――。

精神世界のなかで、ラウラは彼女たちの前に平然と立っていた。

穏やかな笑みを浮かべて。

「こんにちは、みんな……」

3人の感応者が息を呑み、怯えた。

ラウラは言葉を続ける。

「あなたたちの恐怖が伝わってくるわ」

周囲の精神世界に、ビジョンが浮かび上がる。

かつての女王たちから虐げられ、罰を受け、痛みと屈辱に涙を流す彼女たちの凄惨な過去。

ラウラは彼女たちの目をじっと見つめた。

「どれほど苦しんできたか、よく分かるわ」

3人の目から涙が溢れ出した。

「そして……『炎の女帝(Senhora do Fogo)』が戻ってくることを、どれほど恐れているかもね」

ラウラは柔らかく微笑みかけた。

「私に協力して。そうすれば、二度と誰にもあなたたちを傷つけさせないと誓うわ」

感応者たちが互いに顔を見合わせる。

ラウラがさらに畳みかける。

「私の目的は、アレスの心を変えること。多くの命を救うためにここにいるの。――あなたたちの命もね」

一人の感応者が、涙ながらに声を震わせた。

「私たちは……創造主クリエイターに救いを求めていました……いっそ、死んでしまいたいと……」

ラウラがその手を優しく握りしめる。

「もう一人じゃないわ」

3人の感応者たちは感情を昂ぶらせて泣き崩れ、そして深く頷いた。

精神のリンクが切れる。

玉座の間。

ソルがアレスを見つめた。

「……彼女の感情に、偽りはありません。本物です」

アレスが、ゆっくりと玉座から立ち上がった。

その深紅の瞳には、彼には滅多に見られない感情が宿っていた。

それは――「希望」だった。

「……本当に、そうなのか?」

ソルは気まずそうに視線を逸らした。

「はぁ……。もういいわ、私は部屋に戻る」

その時だった。

玉座の間の巨大な重厚扉が、何の前触れもなく勢いよく開け放たれた。

周囲の衛兵たちが一斉に緊張を走らせる。

現れたのは――レオンだった。

彼は何の警戒も見せず、のんびりとした足取りで歩を進めてくる。

その顔には、不敵な笑みが浮かんでいた。

「よお、アレス」

彼は隣にいるソルにも視線を向けた。

「元気か、ソル。調子はどうだ?」

次の瞬間、衛兵たちの武器が、一斉にレオンの首元へと突きつけられた。

(第360話 おわり)

作者コメント:

第360話をお読みいただきありがとうございました!

ダリアムをチームに誘ったレオンが、まさかの単身クリザードの玉座の間へ!? そしてラウラが感応者たちを籠絡した手鮮やかな「嘘」と「真実」……。

緊迫するアレスとの再会、レオンの真の狙いとは? 次回の第361話もどうぞお見逃しなく!

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